【駄文】ぬくもり
血の通ったあたたかさへ両腕と心を添わせたい。
透明で冷たい無機物では代えられないけれど。
透明で冷たい無機物を拾い上げるみたいに私の懐へ仕舞い込みたい。
ポケットの中で居所悪そうに揺れる拾い上げたそれを左手で撫でてみる。
そうすると、それは私だけのために鈴の音に近い心地よい音を鳴らした。
けれどそれは海から来たもの。
都合の良いように砂浜から取り上げることはできない。
それを海へ還す時はいずれ訪れてしまう。
せめて最後に、君のあたたかい手のひらで優しく撫でて。
どうせ冷たい海へ還っていくのだから。
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