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シングルマンとスロウトレインと±Conclusion

2作品を観たので、更新します。

Xまたはmixi2に投稿して吐き出してしまおうかと思ったのですが、ちょっと長文になりそうだったのと、ただ自分が何かの形でアウトプットしたかっただけなので、こちらに。


シングルマン

1962年のキューバ危機下にあったロサンゼルス。長年の同性愛の恋人だったジムを8か月前に交通事故で失い、生きる価値を見失っていたイギリス人の大学教授ジョージはピストル自殺を企てる。大学のデスクを片付け、弾丸を購入。「ネクタイはウィンザーノットで」と遺書をしたため、準備を進める。しかし、ジョージの教え子ケニーがジョージにゆっくりと近づいていく。

「シングルマン(映画)」Wikipediaより


そもそもなぜ観ようかと思ったかというと、たまにお邪魔させていただくブティック?に、この映画を元にした香水が売られていたから。

かれこれ1年くらい前にお店で出会い、”いつかこれを身につけて舞台に立ちたいな”とうっすら想いを馳せておりました。

途中で売れてしまったらご縁が無かったんだなと思っていたのですが、まだあるんですよね。

しかも小さいサイズは売れてしまったけど、大きいサイズはまだ残っておりまして。

先日、年始にお邪魔した時に「これは頑張ってお迎えしよう」と決めました。
さすがにお値段がファビュラスなので、ちゃんと貯めてから。

お迎えに行く前に、せっかくだから香りの元になった映画を観ようと思ったのが、最大の間違いであり最高の出会い。
とにかくこの想いを語りたかっただけなので、作品の内容には触れずに書きます。


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裏切られた。
思ってた終わり方と違った。

あらすじを読んで、「いやに釈然としない書き方だな」と思っていました。
どんでん返しがあるような書き方。

観て分かった。
それはそう。ああ書くしかない。

メガホンを取った監督は世界的ファッションデザイナーらしく(すみません存じ上げませんでした)。
確かに、作中”情景”の描き方がとっても彩り豊か。なんだろう、視覚の誘導が上手だったのかな。

あと、演劇とか小説とか、物語を創作している人にとっては大博打的だなと思いました。そういった意味でファッションデザイナーの作品だなと思いました。

私は演出脳はないけど、少なからず制作脳はあって、そういった目線で考えると、あまりに怖くて出せない。

希望とか絶望とか、そういったものでは語れない。
もはや正解か不正解を問わせるような鋭利さがありました。
正解も不正解もないけど。

そうだ、鋭利だった。いま書きながら整理しています。
でも総じて美しい。

だけど終わりに向けて作り手に作り上げさせられた、作品への想像力とか期待みたいなものを、すごい綺麗なナイフで刺された感覚でした。
すごいニュアンスです。

とにかく、すごいものをみた。



スロウトレイン

鎌倉に住む葉子(松たか子)、都子(多部未華子)、潮(松坂桃李)の姉弟は、交通事故で両親と祖母を一度に亡くした。月日は経ち、二十三回忌の法事の帰り道。都子が突然「韓国に行く!」と葉子と潮に告げる。この告白をきっかけに、三者三様の姉弟に、“人生”という旅路の分岐点が訪れる。
それまでの「3人での幸せ」から、「それぞれの幸せ」と向き合っていく葉子、都子、潮――。
そして物語は日本の鎌倉から韓国の釜山へ。
変わりゆく時代の中でも普遍的に在り続ける「家族」を通して、痛快で、ドキドキして、最後には思いっきり笑顔になれる、宝物のような新時代のホームドラマ『スロウトレイン』をどうぞお楽しみに!

「スロウトレイン」公式HPより


ところ変わってスロウトレイン。

これを観たのは本当にたまたまで、寝れなかったからちょっと観てみようかな、くらいの気持ちでした。

野木さん脚本ですし。
星野源さん出てますし。
井浦新さん出てますし。


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観終わった感想としては、「なんでいま観た?」

内容を知らなかったから仕方がないのですが、
シングルマンからのスロウトレインは、流石にしっかりとしたダメージを受けました。

スロウトレインの内容自体は、とても温かいものでした。
寂しさとか孤独感を受容してくれるような。

現代のさまざまな思考とか生き方を、否定も肯定もせず、ただ受容してくれる。
野木さんからの、ちょっとした嫌味も含まれているのかな、なんて思う感じの。

お正月帰省する人もいる中でこの作品はとても素敵だし、ある意味挑戦的だなと思いました。



ただ、今じゃなかった。
これは私の事情です。

シングルマンからのスロウトレイン、ちょっとつらい。

最後、葉子ねえソロターンになってからの情景が、あまりにも幸せの形が明確すぎて、温かく描かれれば描かれるほど、脳裏にシングルマンが呼び起こされる。

シングルマン観てから間を開けて観ればダメージは少なかったのかもしれませんが、時すでに遅し。

ただ前提として、どちらも本当に素晴らしい作品でした。
素晴らしいの定義は分からないけれど、少なくとも私にとっては素敵な作品でした。



±Conclusion

満月の夜に、若い女性が被害に遭う連続殺人事件が起きている。その特徴は「被害者の体が欠損している」こと。刃物による致命傷とは別に、被害者の体が一部、あるいはごっそりと持っていかれているのである。手や足だけに留まらず、内臓や骨も対象になっていることから、「食べられているのでは」という憶測が憶測を呼んだ。満月と獣から連想したのか、巷では「人狼事件」と呼ばれている。
「特殊犯罪対策係」に捜査一課から異動となった桂木と、その相棒である望月は、「人狼事件」唯一の生存者である被害者の少女・水鏡に話を聴こうとするが、彼女は事件のショックで視力と記憶を失っていた。捜査を進めるにつれ、事件の謎はより深くなっていく。真実に辿り着いたとき、彼らの取った行動は……?

「±Conclusion」あらすじより


突然の±Conclusion。
こちらは、演劇ユニットHORIZONが次回やる作品です。

開演前に、お客様に投票を行っていただき、その内容によって結末が変わるというダブルエンディングシステムを採用しています。

そろそろ本格的にクリエイションがスタートします。

こちらの作品は、復讐の是非を問うものです。
もちろんそれ以外にテーマ的なものはありますが。

何度読んでも、答えを見つけさせない構成だなと思って読んでいます。

「いやでも、やっぱりこうだよね」と答えに行きつこうとすると、他の思考が良い意味で妨害してくる。だから一生その答えには辿り着けない。

辿り着くことだけが正しいわけじゃないけど、煙とか霧が目の前にずっと見えているような居心地の悪さがある作品だと思っています。
視界がずっと明瞭にならない、というか。

前述の2作品に通ずるものがあるなと思いました。
そういった意味でも、このnoteに書いた作品に出会えてよかった。



まとめ

お付き合いありがとうございました。

とんでもない作品たちに出会えてよかった。
そしてすぐに感想を吐露できてよかった。

とりあえず、自分への誕生日プレゼントだと思って、今月中には香水をお迎えに行きたいと思います。




天野仁

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