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ヒメフチトリゲンゴロウ

今回はこの種類を軽く紹介していきたいと思います。


南西諸島を代表する大型ゲンゴロウの一角です。
通称ヒメフチと呼ばれることが多いです。

同属では他にフチトリゲンゴロウ、トビイロゲンゴロウ、コガタノゲンゴロウが生息していますが、フチトリに次ぐ大きさ。

野外個体。沖縄島にて。
平均的な大きさは30mmくらい。

フチトリは日本国内での野外個体はほぼ絶滅状態とのことᵕ᷄≀ ̠˘᷅
ヒメフチトリも八重山諸島では激減しているようです。
沖縄島では多産地がいくつかあるようで、安定して観察できるそうで。

繁殖個体。甲羅干しをしています。

奄美大島、徳之島、竹富町では条例により採集禁止となっています。当該地域では観察のみに留めましょう…
ᵕ᷄≀ ̠˘᷅

繁殖個体。33mmのメス。
水中で見るととんでもなく大きく見えます。

体型は本州のゲンゴロウ(ナミゲンゴロウ)よりも少し小さいのですが、体に厚みがあります。上から見たシルエットもより丸っこい感じです。

腹面の斑紋も異なり、ナミゲンゴロウでは腹面全体が黄色いのに対し、ヒメフチは胸部まで黄色の斑紋が入り、腹部は黒地ベースです。

ヒメフチトリゲンゴロウ、腹面。
胸部は鮮やかな黄色になります。
ヒメフチトリゲンゴロウ、野外個体。沖縄島にて。
腹面の斑紋は上半分(胸部)までです。
繁殖個体。右からコガタノゲンゴロウ、ヒメフチトリゲンゴロウ、ゲンゴロウ(ナミゲンゴロウ)です。


泳ぎ方もナミゲンゴロウに比べるとゆったり泳ぐ印象があります。
ただ、逃げる時はナミゲンゴロウに負けず劣らず、非常に素早く泳ぎます。

水草がたっぷりある池沼で見かけやすいです。
たまーーに田んぼにも居たりしますが、偶発的なものだと思います。

野外個体。水が張られた田んぼを泳いでいましたが、繁殖できる環境ではなかったので、どこからか移動してきたかと。

成虫はオールシーズン観察できるようですが、個体数は季節によりけっこう変わります。
幼虫は夏によく観察できます。

ヒメフチトリゲンゴロウ幼虫。野外個体。


繁殖は非常に簡単…なはずなのですが、繁殖させる地域によって難易度に差が出る可能性があります。

南西諸島での繁殖は、あたりまえといわれればそれまで
なのですが…非常に簡単です。

卵の期間は2週間、幼虫期間は1ヶ月、上陸〜羽化までは1ヶ月半くらい。

幼虫は動くものを手当り次第食べていき、ガンガン育っていきます。

孵化して1日後の幼虫。この時点でもう大きいです。
初齢幼虫。頭部の模様が独特なので、そこで比較的簡単に見分けがつきます。
2齢幼虫。背面のラインがわかりやすいです。
3齢幼虫。

幼虫ですが、ゲンゴロウ属の例に漏れず、噛まれると初めの数分はやや強い痛みがあり、その後45分ほど鈍い痛みが続きますᵕ᷄≀ ̠˘᷅
繁殖個体よりも野外個体のほうが攻撃的で、痛みも強い傾向にあります。

※ナミゲンゴロウ幼虫では蜂窩織炎にまで至った症例も報告されています。マネしないでください!!


私がゲンゴロウ含む水生昆虫にはまったきっかけになった、思い出深い種類です( ´灬` )

2021年から繁殖を始めて今年で4シーズン目になりますが、大きな問題もなく累代することができています。

幼虫の飼育風景。


今年もぼちぼち繁殖を始めていきます。

オスの新成虫。繁殖個体。
深い緑色がとても美しいです。

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