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怒りに任せて家を飛び出すと、大抵は一つ目の信号あたりですでに正気に戻っている。 ただ引っ込みがつかぬから、なけなしの意地を張って、ブックオフやゲームセンターで「さすがにあいつらは心配するかしら?」と思う程度に時間を潰して帰るのが定石だろう。ドラッグストアの店内を無意味に歩き回りながら、宗太はほんの30分前の憤怒をいかに持続させ、あの理解の無い両親に後悔させるか、思案に暮れていた。怒りが持続すれば、腹も減らないだろうし、ゆえに金もむやみに使わずに済むからだ。しばらくノイローゼ