くじらが飛ぶ街

排気音 揺れる空気の音
弾ける陽 カーテン越し 人の気配
今日も狭い部屋で一日が始まる

くじらが飛んでいた
快晴の空 光を乱反射させて
嗚呼 空を揺蕩う 幾頭のくじら
漫然と飛んでいる

くじらが飛んでいた
カーテン越しの外 見ることもなく
ただ 飛んでいた 幾頭のくじら
まだ居るのだろうか

衣擦れの音 滞留した空気
淀んだ時 カーテン越し 人の気配
今日も狭い部屋で一日が終わる

いつの日か 何頭いるのか
くじらよ
数えることもなくなってしまった

いつからなのか そんなことを
思うこともなく
くじらが飛ぶ街で カーテンを引き寄せる

くじらが飛んでいた
快晴の空 光を乱反射させて
嗚呼 空を揺蕩う 幾頭のくじら
漫然と飛んでいる

くじらはまだ飛んでいるのだろうか
それを確認する術はもうなく
嗚呼 空を揺蕩う 幾頭のくじら
どうか どうか
そこに有って欲しい

くじらが飛ぶ街で
黄昏る空の下で
目を閉じて
カーテンを引き
光り輝く くじら達は歌う

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