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日記とつぶやき

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#古典

チェーホフ「犬を連れた奥さん」(再録)

家にあったチェーホフの全集の中で、中学生の時に最初に読んだのがこれ。 もっと桜の園とかを先に読めばよかったのかもしれないが、短編でサクサク読めるのが良かった。 奥さんが、まだ若い時にそれが当たり前~の流れで結婚した夫と、今頃になって距離感が微妙だなと感じている。 彼女は感じやすくて繊細な人で、夫はそういう所を全く理解しない。 心の隙間に、男は当然のように付け込む。 男の方の嫁さんも事務的で冷たくて、鈍いというより、現実的にすぎる。 詩情やこの世の美しさ、優しさを敏感に感じ

鏡の中の花 ヘンリー・ジェイムズ「デイジー・ミラー」読了感想2(ネタバレ!)

長かったのと、ネタバレ回避のために記事を二つにわけました。 この記事は超絶ネタバレですので、ぜひ先にどうぞお読みください。 ぜひ! 「読了感想1」はこちらです。 投稿してから気がついたが、記事のリンクも割と内容が見えてしまいうっかりネタバレをぶちかますので、気を付けないといけないなと思いました。(追加文) *  *  * 読後は、煙に巻かれて何が何だかわからない。 えっ、そういう終わりかたなの? そこでぽろっと? 言葉一つも交わさずに?? このような唐突かつ強引に

鏡の中の花 ヘンリー・ジェイムズ「デイジー・ミラー」読了感想1

ノートルダムの続きがすっとんでしまったため、こちらを先にあげることにした。 グループホームに入ったおばあちゃんが家に残した膨大な本は、すべて持って来ることは出来なかった。 距離も遠く時間もなく、処分するしかなかった。 これはいまだに悔やんでいる。 連絡してすぐ来てもらえそうな古本屋さんもなく(馴染みの古本屋は軒並み廃業していた)、本自体も古いため処分されるだけですよと言われた。 トラックの荷台いっぱいに積まれて、こぼれてしまうため周囲に木枠まで張って破砕所へ持ち去られた。

おすすめフランス文学

唐突ですが、おすすめフランス文学は?とのフォロワーさんのツイートをみかけて衝動的にメモったものです。 「ローランの歌」 シャルルマーニュ大帝のお話。大河ドラマ。 ラブレー「ガルガンチュワとパンタグリュエル」 しもねたいっぱい。うんこ系。お酒飲みすぎで下がゆるい。 「きつね物語」 驚くほどえっち。節操なし。 この三つは創元社の少年少女文学全集で読んだ。 今思えばこの全集、世界の名作をほぼ網羅していて訳もすばらしく違和感がないという、おそろしいほどの名著。 この全集から、

読みかけ「ノートルダム・ド・パリ」 進捗 5 頭空っぽのイケメンがたぶんすべて持って行く

グーテンベルクのリンクです。(英語版・フランス語版) フランス語は読めないので英語の翻訳で挑戦。 訳したのはIsabel F. Hapgoodさん 進捗のまとめ記事 前回の記事 前回までのおさらい: ・フロロ弟はパリピのくず。 ・偶然にも兄がエスメラルダに萌えている現場を見てしまった。 ・その萌えネタを使い、兄をゆすって金をむしろうとしている。 ・フロロ拒否!→泣き叫んで「オロロロロロイ」 以下、ネタバレを含みます。 *  *  * フロロのオカルト友達(手下)

読みかけ「ノートルダム・ド・パリ」 進捗1 冗長な冒頭

本当は今、すごく読みたいのはバルザックのふくろう党+アーサー・ランサム全集なのだが、中途半端に読みかけで残しているノートルダムの鐘…。 ど~しても気になるA型。 結局ノートルダムに戻ってきた。 そうだ読みながらnoteに進捗を投稿しよ~! こちらがグーテンベルクのリンクです。(上から英語版・フランス語版) フランス語は読めないので英語の翻訳で挑戦。 なぜこんなん四苦八苦して読んでるのかというとだ。 図書館に置いてなかったー!!! ユーゴ―のノートルダムの鐘を置いてい

「フォーサイト・サーガ」 後半

総領のおじいちゃんが家出をしていた息子ジョリオンを許して財産をゆずる選択をした。 このあたりまで惰性で読んでいたが、ちょっとこれはどうなるのか?と続きを期待する気になってきた。 テーマ自体は、フォスターのハワーズ・エンドと似たようなものだと思う。(映画も名作!) 切り口が違う。 財産家の方からの視点なところや、アイリーンのキャラなど。 名作「天井桟敷の人々」で 『愛は貧乏人の特権です!』 とアルレッティ演じるガランスが言う。 金持ちが美人や芸術品を所有することについて

「フォーサイト・サーガ」 前半

映画化されているようだが…。 感想を検索したが、なんとなく見た人も「???」という感じだった。 無理もない。 このお話を理解するには、描かれていない部分を推察する必要がある。 そこを原作と同じようにふわっと曖昧にしていては、この物語の主軸は決してつかめない。 話は富豪のフォーサイト家のパーティからはじまる。 「The Man of Property」 どっしりとしたおじいちゃんが一家を束ねているが、年は隠せない。 あとつぎ息子のジョリオンは以前、妻子も後継者の地位もすべ

クレイ・フォーサイトから連想した。「フォーサイト・サーガ」

プロメアで、プロメテウス神話からなるものだ!との考察がにぎやかに湧いている中でひとり、ずーーーーっと考えている。 フォーサイト…「フォーサイト」 どうしてフォーサイトを持ってきたんだろう。 気になる。なぜクレイはフォーサイトだったんだろう。 本当に、長いこと心に残っていて考えさせられた本だった。 「フォーサイト家の人々」 2011年3月に読み終えてちょっと忘れかけているが、再録に手を入れてもう一度紹介してみたいと思う。 ここでプロメアの名前からこちらに流れてきた人も