戯言

探偵兼Vtuberとして奇天烈な事ばかり試みている最近は、喜んでくれるリスナーのコメントに頬を緩ませると同時に、母上にどう思われてるのかが心配でならなかった。

最初から分かっていた事だが、母上から授かった身体は僕にはあまりに過ぎた物で、コンプレックスだった声と性格も含め「イメージと違う」と実際の配信を見て外見で興味を持ってくれた方々が離れていってしまうのが怖くて仕方がなかった。夢にまで出てきたほどだ。

そんな不安を抱えつつ泣き言をいっても始まらないと、地声と素のキャラクターで勝負をはじめて早4ヶ月が経った。

まだ4ヶ月?周りからそう言われる度に「もう4ヶ月も経ってしまったのか」と自分の中では焦りに焦る。ただ1日足りともVtuberとして手を抜いた日はない。

まだまだ成功への見通しはつかないが、こんな僕でも「面白いです」「そのままで居てください」と視聴者から嬉しい声を少しずつだが貰えるようになってきた。

さらには「夫婦や家族で見てます」なんて驚きのコメントを頂いた時にふと思った。

僕のゲーム実況を見てくれたお子さんが、お父さんお母さん、さらにはおじいちゃんおばあちゃんにまで天宮を紹介してくれた時に、ゲーム以外の何か他のコンテンツがあった方が家族で笑って貰えるんじゃないか?と。

音楽なら年代を問わず伝わりやすいし、さらには散歩動画なら年配の方にも楽しんで貰えるかもしれない。

そんなキッカケからゲーム実況以外の事をはじめた。勿論Vtuberとしての観点から見るならそれは邪道なのかもしれない。

けど探偵と兼業している点をズルく使わせてもらって、出来ることは全てやってもがいてやろうと思った。でないと絶対にこのまま星の数ほど居るVtuber・配信者の中の一人として芽も出せないまま埋もれてしまう。

音楽や散歩の動画を投稿してみると、予想外に反響があった。ゲーム実況をしていただけでは興味を持ってくれなかった人達がチャンネルを訪れてくれたりもするようになった。

勿論、皆が皆興味を持ってくれる訳ではない。そんな事やって意味があるのか?宣伝になるの?考えたらキリがない。

車を運転していて高速道路から見える無数の看板に対して、果たしてどれだけのドライバーが景色の一部としてではなく中身に興味を持ってくれるのだろうか。

母上と事務所には、いつか結果を出せた日に謝ろう。そしてお礼も伝えよう。



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