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二股結婚発覚の日

好きだった彼が結婚していたことを
Facebookで知りました。

ちょうど7年前のことです。その日は彼の誕生日。お友達からお祝いのコメントとか来ているかな。と彼のFacebookを覗いてみたところ。
いくつかお祝いのメッセージが。
その中のあるコメントを見て、私は文字通り凍り付きました。

そこには、こう書いてあったのです。

「新婚でお誕生日なんて、素敵ですね」。

新婚でお誕生日…。
新婚……
新婚……
し、ん、こ、ん。

そのコメントに対して、彼は
「そうですね。ありがとうございます」。
と、返していました。

何だか棒読みのような言葉ですが、まぎれもない肯定です。
彼が………まさか……結婚してる?

数日前もうちにいたのに。
私は特別な存在だって言っていたのに。

頭の中は真っ白で、どんどん手足が冷たくなっていきます。それでも、「彼に確かめなきゃ」と思った私は、震える手で携帯を手に取り、彼にLINEを送りました。

「Facebook見たよ。
新婚で誕生日なんて素敵ですねってコメントがあったけどどういうこと?」

LINEを打った後も気持ちが落ち着かず、コメントの言葉だけが何度も頭の中を巡ります。

彼が結婚してる?絶対何かの間違いだ。そんなわけない。でも、もしそうだったら?彼が今この瞬間も、他の誰かと暮らしてるんだとしたら?
そんなことを考えるだけでも、頭がおかしくなりそうでした。

もしかしたら、友達の冗談かもしれない。
からかってるだけかもしれない。
どうか、何かの間違いであって欲しい。

そんな私の期待をよそに
しばらくして彼からこんな返信がありました。

「ごめんね。でもあなたへの気持ちはまったく変わってないから」。

結婚したけど好きって何だ!?
黙ってシャッターを下ろした私

ごめんね。ということは、彼は紛れもなく結婚していたということです。しかも、ごく最近。

その返信を見たときの私の気持ちは、悲しみと怒りが交じり合ったような、何とも表現しがたいものでした。

最初に出てきたのは「結婚したけど気持ちは変わってないって、バカなの!?ってか。私、何枠ななわけ?ふざけんなーーーーーーー!!!!!!!!!!!」

という激しい怒り。そして、大好きな人に裏切られたという大きな絶望と悲しみ。

でも何よりもつらかったのは、大好きな人が、今この瞬間も別の誰かと一緒に生きているのだという事実でした。

こういうとき、相手に対して取るアクションは様々なのだろうと思います。電話して罵倒する人もいるでしょうし、何なら相手の職場に押しかけたり、結婚相手を特定して、文句を言いに押し掛ける。なんてパターンもあるのかも知れません。

ちなみに私の場合は、そのいずれでもなく。ただ静かに心のシャッターが下りたという感じでした。

彼から事情を聞く気も起きず、即座に彼のLINEとFacebookをブロックし、携帯の着信音をオフにしたのです。

「いつ?」「誰と?」「いつから?」

そんな5W1Hをイチから聞くなんてことは、考えるだけで嫌でした。詳細を聞けば、相手の女性がどんどん現実の存在として浮かび上がってきてしまう。そんなことになったら、心が壊れてしまいそうだったのです。

しばらくして携帯を見ると、彼からの着信履歴がずらりと並んでいました。普段は電話なんてしてこない人なのに、よほど必死だったのでしょう。「きっと、結婚相手の女性に連絡されたり、職場に連絡されたりするのが怖いに違いない」私はそう思いました。

そして、大きな喪失感と一緒に襲ってきたのが、「ああ、私は愛されなかったんだ」という深い深い絶望です。彼が私よりも他の人を選んだということは、私はその誰かに負けたということだ。その誰かよりも、愛される価値がなかったってことなんだ。

その誰かの方が美しかったのかもしれない。優しかったのかもしれない。若かったのかもしれない。魅力的だったのかもしれない。会ったこともないその「誰か」の存在が、私の中でどんどん大きく膨れ上がっていきました。

「私は愛されなかった」
そんな自己否定に打ちのめされた夜

そして同時に、自分を攻撃する声も強くなっていきます。私が若くないから、美しくないから。だから愛されなかったんだ。彼の一番になれなかったんだ。私は愛されない存在なんだ。

失恋の恐ろしいところは、愛する人を失うと同時に、自分の中のコンプレックスがいっきに噴き出してくることかもしれません。すでに傷ついている心を、さらに自分自身で攻撃してしまうのです。

自分を責める声に滅多打ちにされ、立っている気力もなくなった私は、そのままベッドに倒れ込んでしまいました。少し寝てはつらさで目が覚め、また少し寝て、起きての繰り返し。

そんなこんなで夜が明け、携帯を見ると、彼からの着信がさらに増えていました。留守番電話も入っているようですが、怖くて聞くことができません。なのに着信拒否にできなかったのは、私の中にほんの少しだけ、何かを期待する気持ちがあったからなのかも知れません。

もしかしたら、親が決めた好きでもない結婚相手なのかも?
ただの一度の過ちでデキ婚せざるを得なかったのかも?

そんな淡い期待は、そのあとすぐに打ち砕かれることになるのですが…。

















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