最近読んだ漫画5タイトルまとめ『金剛番長』『王様ゲーム』『俺の作ったゲーム、クソだってよ。』『中村工房』『A・Iが止まらない!』
記事にしなかった漫画を含む5タイトル分まとめます。基本的にネタバレ無し。
①金剛番長
面白かった。詳細は下記note。
作者:鈴木央
巻数:全12巻
個人的な点数:73点
ジャンプの流儀をサンデーのキャラでこれでもかと踏襲している漫画。なにかジャンプ漫画に対する作者のこだわりのようなものを感じる。作者は「バイバイジャンプ」の言葉で知られる『鈴木央』。
読んでいると「これ『北斗の拳』で見たやつだ!」とか「これ『HUNTER×HUNTER』でやったとこだ!」となる。だから二番煎じで面白くないかと言われるとそうでもなく、この漫画自体「テンプレートを必要以上に踏襲した」という面白さが生じてしまっている。それを個性的な、サンデー的なキャラクターでやっているので全然漫画として成立していた。
序盤は結構つまらなかったし、「23区各区から番長を選出してデスマッチを行い勝者が日本政府の全権を手に入れる」という無理がありすぎる設定には「これほんまに面白くなるんか…?」と不安を抱かざるを得なかったが、話が進むにつれて成長していくキャラクターとなにより「卑怯番長」のかっこよさが光り輝いたことで、間違いなく駄作ではない漫画に成り上がった。拳ちゃんが可愛い。
②王様ゲーム
めちゃくちゃつまらなかった。
作者:金沢伸明、連打一人
巻数:全5巻
個人的な点数:42点
作画は結構良かったが、携帯小説である原作をなぞったストーリーがかなりつまらなかった。簡単にあらすじを記すと、主人公の通う高校のクラス全員にメールで王様からの指令が届くようになる。誰かの悪ふざけで王様ゲームを画策したのだと気にもとめないルームメイトだったが、指令を無視した者の死を目の当たりにし、次第にクラスは王様ゲームに翻弄されていく……、といった感じ。
思ったこととしては、終始セックスを無理強いされているなと感じた。他にもキスや胸を触るだったり、性的な行為を強要して拒んだら死という描写が多かったし、セックスや死といったインパクトが強い故に簡単に扱えてしまうやり方で進んでいくシナリオはチープでつまらなく感じた。最終的に王様ゲームを仕組んだ黒幕が明かされるが、明らかに設定不足で、ツッコミどころを多分に残したまま幕引きとなる。前述した通り作画は良く、切迫した人物描写は見ていて手に汗握るものがあったが、続編まで買って読もうとは思わない。「セックスなんてみんな死ぬまでにいろんな奴とクソほどやんだよ‼︎」という主人公のセリフの歌詞に共感できなくて泣いた。
③俺の作ったゲーム、クソだってよ。
レポ漫画かと思いきやギャグ漫画だった。
作者:シナガワ
巻数:全1巻
個人的な点数:67点
ゲーム業界人がクソゲーを作ってしまったレポ漫画かと思って買ったが、単にクソゲー会社の社員の日常をテーマにしたギャグ漫画だった。レポ漫画を期待して買うと落胆してしまうかもしれない。
大きく2つの構成にわかれており、ゲーム会社の日常パートと、ゲーム会社の作ったゲームで一般ユーザーが遊んでいるパートがある。面白いのは後者で、男性社員しかいないにも関わらず乙ゲーを連発して作ってしまうゲーム会社に文句を言いながらも友人に勧められゲームを進めていく様が描かれる。単純に乙ゲーのバカさ具合が面白く、ギャグ漫画として満足。しかし日常パートはキャラクターの個性の強さありきのマジキチ行動を描いているだけといった感じで、あまり面白くは感じなかった。ダメ人間なのに主人公がディレクターやってるダメさは好き。続編があったらちょっと読みたい、乙ゲーパートがあるなら。
④中村工房
『荒川アンダー ザ ブリッジ』でおなじみのキャラクターたちの元となる姿が見れて良かった。
作者:中村光
巻数:全3巻
個人的な点数:65点
とにかくキャラクターを生んでは使い捨てるギャグ漫画と中村光の極めて誇張されたエッセイ漫画が交互に掲載されている。中村光のバイブスを『荒川アンダー ザ ブリッジ』を通して知っているのでエッセイ漫画は結構面白く感じたけど、『中村工房』が中村光との初めましてだったら退屈に感じたかもしれない。
村長(中村工房では『河童』)やエスパー兄弟、星やシスターなど、『荒川アンダー ザ ブリッジ』では顔馴染みのキャラクター達の原型となる姿が描かれており、荒川ファンにとっては嬉しいかもしれない。僕はシスターが好き。
この頃はガチでお便りがこなかったらしく、「不幸の手紙を出す人数が足りなかった時とかべんりだよ!」「嫌がらせでもいいからお便りを出そう‼︎」と自ら書いてしまっている自己肯定感の低さと隠しきれない承認欲求がむしろ潔くて良いと思った。
⑤A・Iが止まらない!
フォーティちゃんへの想いが止まらない。詳細下記note。
作者:赤松健
巻数:全9巻
個人的な点数:74点
赤松健の初連載作品。『ああっ女神さまっ』のオマージュ感も否めないがこちらはパソコンから実体化したAIとの生活を送るという点で異なっている。さすがは赤松健でキャラクターが可愛い。特に『ああっ女神さまっ』ではスクルドちゃんに相当するポジションの「フォーティ」ちゃんが可愛い。フォーティちゃんはあるきっかけで男の人格と女の人格が入れ替わるという完全オリジナル設定のキャラクターで当初は6頭身くらいあった身長も徐々に3頭身くらいにナーフされていくが人間(AI)としての成長が目覚ましく8巻ではそれを示唆する描写があり心打たれた。
非常に時代を感じる作品で、各話の合間には読者の構成しているコンピュータの環境を投稿し、それに対して赤松健がコメントをするコーナーがある。当たり前にパソコンとWindows VISTAが用意されていた現代人の自分からすると想像することしかできない環境だが、リアルタイムなコンピュータの変遷を漫画から感じ取ることができる貴重な作品。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?