雲部!vol,29 雲うた「雲」(唱歌)
最近、保育園の園舎などから「にじ」※1という歌が聴こえてきます。空の虹を題材にした歌で私も大好きなのですが、これ卒園ソングらしいのです。
「にじ」を聴きながら「そういえば”雲”を歌ったうたって何があるっけ?」と考えてみました。
すぐ思いつくのはやはり荒井由実作・歌の「ひこうき雲」です。そして、子どもの頃に歌った「はばたけ鳥」※2も思い出されました。
♪くもに さわって みて ごらん
きっと すてきな 宇宙船♪
という歌詞が好きでした。
ただ、その他にさがしてみても、綿雲のもくもくした感じや、雲の白さをうたうものは多いのですが、もう一歩踏み込んで雲を愛でているような歌詞のものは、なかなか見つかりません。
そこで唱歌の中から探してみたところ、幾つかありました。その中でも『尋常小學読本』の4年生用とされている曲の歌詞がなかなか素敵です。
曲名は「雲」。文部省唱歌ですので、歌詞をすべて載せてみますね。※3
1 朝日に燃ゆれば もみの絹
夕日に映ゆれば錦にて
晴れたる空の白無垢は
雨降る前に墨染と
かはるぞ不思議、雲のいろ
2 時には連る峰となり
時にはかさなる波と見え
あるひは獣、鳥のほね
魚のうろこと種々に
變るぞ不思議 雲のさま
3 遙けき山の端 遠き沖
しづかに休むと見るうちに
大空わらたり海を越え
あらしを起し 雨をよび
變るぞ不思議 雲のわざ
雲の色をうつりかわりを愛で、次々と変わる形に驚き、天気を動かしていくそのわざを観察している歌詞です。
この歌詞を書いた方とはきっと友達になれる気がします。
この方はふだんからクラウドウォッチングしてた人にちがいありません。
歌詞から、雲への親しみの気持ちが伝わってきますから。
お名前もわからない方ですが、友達になれそうな方を見つけるのは嬉しいものです。
雲を愛でるうた、もっともっと探してみたいものです。
※1 「虹」新沢としひこ 作詞 中川ひろたか 作曲
※2 「はばたけ鳥」宮国留理 作詞 瀬戸匡弘 作曲
※3 「雲」の歌詞は『唱歌大事典』(東京堂出版 2017年)を参照しました。
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