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「女優」「うぐいす嬢」「肌色」は、避けるべき言葉?~要配慮表現について~

『記者ハンドブック』の改訂版(第14版)が2022年3月15日に発売されました。

『記者ハンドブック』は、新聞記者の人が迷ったときに基準にする(参考にする)という目的で作成されている本です。

(といっても、会社ごとに細かい決まりがあって、実際にはそちらのほうで書いているので、そのハンドブックどおりの表記がなされているわけではありませんが。)

私は、まだ、実物は見ていません。

私が見たのは、

「記者ハンドブック」6年ぶり大改訂 「ジェンダー平等への配慮」新規収録、「肌色」はNG表現に
2022年03月14日19時35分 

https://www.j-cast.com/2022/03/14433037.html?p=all

というネット上の記事です。

それによると、

気を付けたい表現として、「女優」は「俳優」、「うぐいす嬢」は「場内アナウンス係」(球場の場合)、「車上運動員」(選挙の場合)などとするのが望ましいとされているようです。

また、差別語として「肌色」が挙げられるようになったそうです。


その変化をどう思うかは個人の領域です。だから個人的な意見として、それに納得できないとか、「それはどうかと思う」という意見があってもいいとは思います。

しかし、言葉は、公共の場で使われることも多いので、他人の価値観に配慮する気があるということは大事なことです。

言葉に関わる仕事をしている人は、言葉に対する意識の変化に敏感であることが求められますし、その変化を意識しておくことは大事ではないかと思います。
(教育等も含めて、コミュニケーションに関わる仕事をしている人は、世の中の移り変わりに敏感であることが求められると思います。)


他に、ハッシュマークとシャープ記号の違いに注意しているとのことです。

(ちなみに、上記のj-castの記事が出された3月14日19時35分直後の版では、記号は両方ともハッシュマークが使われていたので、知らない人は読んでもわからないような書き方になっていましたが、3月15日に見てみると、修正されていました。)

みなさんは、ハッシュタグなどで使うハッシュマーク「#」と、音楽で使われるシャープの記号「♯」の区別は付いていますか。

これについては、ネット上で、多数の記事がありますので、そちらを見ていただいてもいいのですが、ついでですので、その二つの違いについて、書いておきます。



ハッシュマーク「#」は、横棒が地面と平行で、縦棒が傾いているのですよね。

シャープの記号「♯」は、縦棒が地面と垂直になっていて、横棒が(右肩上がりに)傾いているのですよね。

それで見分けることができます。

以前、私は「表記」関連の授業で取りあげたことがあったのですが、「知らなかった・・・!」という人が必ずいました。


ハッシュマーク「#」は、元は、次に続く数字が、番号であることを表すときに使うもので、番号記号とも呼ばれます。

(「#1234」は「せんにひゃくさんじゅうよん」なのではなく、「いちにさんし」であることを示します。)

シャープの記号「♯」は、楽譜で使って、半音上げることを表す記号(つまり変化記号の一種)です。



それでは、ここでクイズ。

電話番号のボタンキーで、数字とともに書いてあるのは、ハッシュマークでしょうか、それともシャープでしょうか?




そうですよね。番号記号という説明をしたことで、ほとんど答えを言っているようなものですが、もちろん、ハッシュマーク「#」のほうです。

以前は、自動応答電話で、アナログ回線の人向けに、「押しても反応がないときには、最初にシャープのボタンを押してください」などと言っていたので、それも混乱のもとになったのかもしれません。

厳密に言えば、「シャープのボタン」は誤りです。しかし、「ハッシュマークを押してください」と言われても、何がそのマークなのか(何を指すのか)わからない人が多数いたでしょうから、類似の「シャープ」のボタンと言っておいたのでしょう。

「シャープ」ならば、音楽の時間にでてくるでしょうし、わかる人が多い。だから、その表現を使った、ということだったのだろうと思います。


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