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RMTC2023に参加して

弊焙煎所は、先日SCAJで行われたRMTC(Roast Masters Team Challenge)に参加しました。
その結果も公式に発表されましたので、その辺りの私的な総括を兼ねてお話ししたいと思います。

まず、この内容は個人的な感想になります。
その辺りをご理解の上読み進めてください。
また、チーム内の話は基本的には除外とします。
もし、参加を検討されている方の一助になればと思いますし、どんなものかなと興味のある方に一意見として参考になればと思っております。

内容は毎年変わりうるので、実際の応募は諸々確認の上お願いします。


概要

目的等

まず、RMTCはコンペティション(競技会)ではありません。
このイベントの趣旨は、日頃孤独な活動をしているロースターの人たちが交流し、焙煎技術を向上することにあります。
ので、何位だったという事よりも、焙煎に関して話しのできる仲間を作る事、そしてこの機会を通じて焙煎技術が向上する事が目的となります。

運営

運営は業界関係の方がボランティアで行っています。
運営に色々と不備もあるのですが、ボランティアの方々が運営しているのでその辺りは了承したうえでの参加になると思います。
たぶん長年勤められている方々なんだろうな、という印象で、身内のノリの様な印象もありました。

費用等

参加費用はかかります。
SCAJの会員で18,000円、非会員で23,000円です。
生豆は一チーム30kg提供されます。
2000円/kgの豆と仮定(生豆問屋さんに提供お頂いていたので多分もっと安いとは思います)して、60,000円。
59名、9チームでしたので、一チーム平均6名と考えると、1人当たり生豆代が10,000円。と試算されます。

また、焙煎豆を販売用にパッケージにまとめて提供します。(10kg程度)
こちらの売り上げは、参加者には戻って来ません。

因みに、この販売豆は複数バッチのMixでOKと規定されているだけで、同じプロファイルでなければいけないという事は規定されていないです。
今回、焙煎担当の方の厚意で私たちのチームは同じプロファイルのものを提出していますが...このあたりは参加チームのモラルが問われると思います。

販売用のパッケージ一式は送付されてきますので、参加者側は小分けでパッキングを行う必要があります。
ラベルは各チームで作成になります。
期日までにパッキングしたものを運営側に送付します。

チーム分け

チーム分けは運営側が行います。
基本的には、地域ごとのチームになります。
が、人数が多い地域は複数のチームに分かれます。

で、どの様に分けたのかは...運営の人でないとわかりません。
そもそも対象としたローストレベルや生豆のグレード、対象消費者が異なる場合には、それだけで意見の違いが出てしまいます。
センサリースキルもバラバラなので、その辺りもすり合わせの難しさにつながると思います。

また、1バッチで1kg以上の提供を要求されるので、基本はそのチームの保有している焙煎機に縛られます。
その辺りどう考えて配分しているのかも謎です。

テーマ等

今年のお題は「消費者に好まれる酸」でした。
その辺りの説明を兼ねたzoomのkickオフミーティング後、期日までに焙煎豆(評価用、販売用)とプロファイルやら集合写真やらを提出します。

評価


評価は、招待した方々のカッピングによる評価(審査員賞)とSCAJ当日のギャラリーによる投票(オーディエンス賞)の2つで行われます。

審査員賞


審査員は(多分)このお題は関係なく点数化したものと推測しています。
審査員は、なかなか豪華な面々で、日本のスペシャルティコーヒー業界でも重要な位置を占める人が参加されています。
もちろん、通常のカッピングで評価を行います。
私たち参加者も、別途他チームのコーヒーをカッピングしています。
審査員の評価は各チームそれぞれの合計点数が公開されています。
スコアシートを見せて欲しいと委員にはお願いしたのですが却下されています。
SCAJの当日に、委員の方からコメントの一部(?)を口頭で聞かされるだけです。
ので、何が良くて何が悪かったのか?正しくは分からないという状態です。
個人的にはここが一番の不満ですね。

オーディエンス賞+感想

オーディエンス賞の場合、参加者が直前にフレンチプレスで抽出した液体を貯めておき、試飲カップで提供して投票を行っています。
今回抽出に関してレギュレーション違反の指摘があり色々揉めたそうです。(多分ストレーナーの使用とかかな?、攪拌した人とか居たのかな??)
スコアシートの件で事務局の人とやり取りをしましたが、この件のせいか結構ナーバスさを感じる固い回答が多かったと思います。
でもまぁ、高度60-100の水と規定しつつ、会場の水で浄水器をかけたものを使うとか結構いい加減なレギュレーションだと思うんですよね。
抽出の大会ではないというのは分かりますが、やっぱりここの工夫って大きく影響しますね。
貯めておいた後に微粉がたまったところを提供なんてしてしまったら...とかも。
余興としては面白いですが、ガチで考えたら色々問題があるのは確かで、まぁその程度と考えるべきものかな?と言う印象で居ます。

それよりも気になるのは。オーディエンス賞の結果が例年審査員賞と異なる事です。
(一致したのは一回だけでしたか?)

このオーディエンスは、平日の昼間にSCAJの会場に足を運んでいます。
ので、飲食関連とかの提供側の人(業界関係者)か、平日休みをもらって遊びに来る消費者側とはいえコーヒーへの関心の高い人ではないかと思います。
せっかく投票しているのですから、投票用紙に簡単なアンケートを付けてみるのも面白いデータが取れるのではないかと思うのですけどね。
いずれにせよ、それなりにコーヒーを知っている人になりそうです。

で、一位のチームのカッピングでの私の印象は、明るくて綺麗だけど、少しウィークで、甘さを感じず、テクスチャーもウォータリーで、アフターが短いものでした。
それ以外の上位チームも、似たような傾向(明るさ、クリーンさ)があるのかな?と思っています。
ですが、オーディエンス賞一位のチームは、審査員賞の下位に沈んでいます。
それはそうですね、私のコメントを見てもネガティブの方が多いのですから。
焙煎をしている人が聞いたら、明らかなアンダーデベロップメントですね、と言いそうです。

要は、オーディエンスの人たちのレベルに課題があるのではないか?と自分は考えました。
もちろん、コーヒー好きな素人さんは問題ないのですが、コーヒーを提供する側で考えた場合です。

良くコーヒーをフレーバーで表現しますよね。それに偏り過ぎではないかな?と思うわけです。
提供する人が、どのような観点で消費者にそのコーヒーを説明していくのでしょう?
正確にするならば、カッピングプロトコルに合わせるのでしょうが、それだと難しいですよね。
そうした場合でも、カッピングプロトコルの主要な項目に合わせたコメントを並べて、そのコーヒーを説明すべきでしょう。
そして、その用語がフレーバーを示す用語ではなくて、その項目を正しく表現する言葉で行うべきではないかと思います。
そうすることで、提供側のレベルも引き上げ、マーケットに対して高品質はコーヒーを啓蒙していくには大切なのではないのか?
そんな風に思いました。
(とか書くならば、自分のコーヒーの表記はそうしろよなという事になりそうです。)


さてさて、少しは参考になったでしょうか?
私的には、PCRC2023への参加の方が勉強になったなぁと思っています。

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