『チーズはどこへ消えた?』

2000年に発行されたベストセラーの書籍、『チーズはどこへ消えた?』を読みました。

書籍の存在自体は10年以上前から知っており、数年前に知り合いから「おすすめだから読んだ方が良い」と言われていたにも関わらず、なんとなく読まずにここまで来てしまいました。

そんな私が本を読むきっかけになったのが、また中田敦彦さんなのですが(影響受けすぎ)、たしかトヨタの危機に関する動画の中でこの本の話がチラッと出て、気になって読んでみました。

物語の概要

『チーズはどこへ消えた?』の中に出てくる登場人物は以下の4名(正確には2人と2匹)。

  • ホー(小人)

  • ヘム(小人)

  • スニッフ(ネズミ)

  • スカリー(ネズミ)

この世界の中で「チーズ」は単なる食料であるだけではなく、幸せをもたらす存在とされている。そのため、2人の小人と2匹のネズミは、チーズのあるチーズステーションを求めて迷路のなかを歩いていた。

ある時、チーズステーションで特別なチーズを発見。一生分困らないほどの量があったため、この場所を発見してからは毎日探し歩くことをせずにここへ通うことが日課になった。

ネズミのスニッフとスカリーは毎日ここに通うようになり、小人のホーとヘムはステーションの近くに引っ越して腰を据えることにした。しばらく安泰だと慢心する2人。一方でスニッフとスカリーは、チーズの異変になんとなく気付いていた。

ある日、しばらく無くなることは無いだろうと思っていたはずのチーズが姿を消してしまう。突然の出来事に驚き、気が動転するホーとヘム。しかしチーズの異変に気付いていたスニッフとスカリーは、慌てることはなくすぐにまた新たなチーズを探しに出かけた。

取り残されたホーとヘムは、なぜチーズが消えたのか、チーズはどこへ消えたのかと慌てふためく。そんな2人にも変化が訪れる。

ホーは、ここにじっとしていても仕方ないと気づき、新たなチーズを探しに出る。しかし、ヘムは絶対に動こうとはしない。ヘムを説得しようと試みるも、新たなチーズが見つかる保証はないと立ち上がろうとしなかった。

ホーは1人でチーズを探しに迷路へ出る。もちろん、そう簡単にチーズは見つからない。道のりは苦しかったが、少しずつ変化が生まれる。新しいチーズを見つけた時のことを思い描きながら探していると、気持ちも前向きになっていた。

そうして長い時間をかけ探していると、ある時大量のチーズがあるチーズステーションにたどり着く。そこには既にスニッフとスカリーがいた。

ホーは嬉しくなってヘムを呼びに行こうとするが、ヘムは既に居心地の良くなっていたあの場所を動こうとしないのではと思った。ヘムをここへ連れて行くには、自らの意志で動きたいと思ってもらわなければならない。ホーは、チーズを探す中で感じた自身の考えをメモのように書き綴った。それを見て、自らの意志で前進してくれることを願ってヘムを待つ。

変化に対する恐怖感

この物語を見ていると、「ヘムはなんて頑固で臆病者なんだ」と、もどかしく思いますが、きっとヘムが普通の人間の考え方なんだろうなと感じました。

人間の多くは変化を恐れるものだと思います。自分が突然会社をクビになったら、病気や事故で家族を失ったら、地震や戦争で街が無くなってしまったら……。私自身、今ある平穏が崩れることなく、ずっと同じ日が続けば良いなと思っていることがよくあります。平和ボケってやつですね。

『チーズはどこへ消えた?』は、簡単に言えば「変化は常に起こるものだと理解し、それに備えて新たな道を進んでいこう」ということを伝えたいのだと思います。「現状維持は後退」なんて言葉がありますが、自分が止まっているうちに刻々と環境は変化していて、気づけば取り残されてしまうなんてことはよくあります。

とくに今の日本は、「失われた30年」なんていわれるように、アメリカや中国、インドなんかがどんどん成長していく中、他国で行われているような大きなイノベーションを起こすことなく、過去の技術に頼りながら経済を回し続けてきたように感じます。その結果が今なんだろうなと。

気付けばインターネットが当たり前のように生活の中に溶け込み、いつの間にか携帯電話がスマートフォンになったのと同じように、エンジン車が無くなってEV車に変わり、テレビが無くなってYouTubeに変わって……なんて変化がどんどん起こっていくんだろうと思います。

自分の会社でいえば、今の事業ではSEOのコンテンツ制作をメインに行っていますが、昨今におけるChatGPTを始めとした生成AI技術の急激な成長は大きな影響を及ぼすことはまず間違いないと思います。わかりやすいところでいえば、GoogleのSGE導入。検索結果ではなく、質問形式で生成AIが答えを出してくれるなら、ユーザーにとってはそちらの方が楽です。来年、再来年にすぐSEOの仕事が無くなるかはわかりませんが、このたった1年での成長度合いを見ていると、ユーザーが検索画面にキーワードを入力して情報を探しにいく……という行為そのものが古くなるのは時間の問題だと思います。

まさにチーズの話で、「まだ大丈夫だろう」とチーズステーションに腰を下ろしている間に、突然チーズが消えてしまうかもしれません。

時代の変化を早めに察知し、行動を起こしていく。時代は必ず変化していくもの。ということを常に頭に置いて行動したいですね。

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