2023年読んで良かった漫画
2023年ももうすぐ終わりですね…(もうすぐ終わり!??!待ってくれ、まだ終わらないで…。)
というわけで、2023年(1月〜12月)のうちに読んでみてめちゃくちゃ好きだった!と思った漫画を書き残しておきたいと思います。他にも色々良かったなと思うものはあったのですが、今回は特に印象に残っている6つ!
※この記事には、各漫画のネタバレが多分に含まれているのでご注意ください!
大奥 よしながふみ(1〜19巻)完結済
有名すぎる名作。有名すぎるのでここでわざわざ内容については詳しく書く必要はないですかね。読みたいな読みたいなと思っていて、Xのフォロイーさんの影響でついに今年読みました!ドラマ化もあり、今年はかなり大奥イヤーで良いタイミングでしたね。本当に本当に良かった…。将軍が代替わりするたびに異なる味わいの話になるのに、どの将軍の話もめちゃくちゃ良いんですよね…。
私が特に好きなのが将軍・綱吉。後継ぎを産むという父の期待のために閉経してもなお男とまぐわり続けることを強いられる様が壮絶すぎて…大奥を読み始めて1番最初にどデカい衝撃を受けたつらいシーンだったかなと思います。
それから家光も良かった…。元々大奥を読みたいなと思ったきっかけがXでフォロイーさんが大奥と源氏物語(あさきゆめみし)を絡めて話をされているのを見たからなんですが、家光のパートは源氏物語を意識しているのかなと思いました。有功様はよく光源氏に例えられるし猫ちゃんの名前も若紫ですしね。でも光源氏に例えられる有功様がポジション的にはめちゃくちゃ紫の上を感じさせて切ないんですよね〜…!子どもができず、いつ変わってしまうかもしれない上の心ひとつだけを頼りに生きなければならない…。源氏物語の若菜の帖以降がめちゃくちゃ好きな私にはこの辺がすごく刺さりました。
あとはやっぱり家定と阿部正弘のエピソードも泣きました…。父親から性的虐待を受けていた家定を守ろうとする正弘の関係性が本当に良すぎて…。一緒にカステラを作るシーンはマジで号泣しました…。「そなたが来るようになってから月に四度あった嫌な事が二度になった …それで私はじゅうぶんだ もうこれで良い」のシーンの家定の、まだこんなに悲惨な状態なのにこれで良いという悲壮な諦めと感謝の痛々しさ…、それを聞いて自分は何をやっていたのかと一層の覚悟を決める正弘、めちゃくちゃ良かった…。この二人がカステラを作るシーン尊とすぎて、思わずカステラを買って食べてしまいました。
本当に大奥は物語全体としてもすごいし、男女逆転というかなり大胆な設定なのに史実と繋ぎ合わせてくる技がすごいし、というか漫画としてシンプルに面白いし、最高の女女関係が出てくるし、男女関係も男男関係も最高なのあるし、どこをとっても素晴らしいいい漫画でしたね…いや〜読めて良かった。
ガールクラッシュ タヤマ碧(1〜7巻)連載中
これはマジでちょっと良すぎる。まず 絵の躍動感が本当にすごい!モノクロの画面なのに、色が、光が伝わる。静止画なのに動きが伝わる。少しの表情のニュアンスの違いも全部伝わってくる!
お話もめちゃくちゃアツいスポ根的ストーリーで本当に面白いです。完璧主義で努力家でなんでもハイクオリティーにこなせる天花ちゃんが主人公で、無垢でひたむきでK-POPが好きっていう気持ちに溢れていて、粗削りで垢抜けてないんだけどなんだか人を惹きつけるものがある、他の作品であれば主人公だろうというキャラの恵梨杏ちゃんがライバルっていうのが良い。
3巻以降のストーリーはK-POP事務所の練習生になってデビューを賭けて競い合っていく、みたいなかんじなのですが、登場するキャラがどの子も好きになっちゃうような子たちで…。ダンスが得意なTHEカッコいい女の子・ジウも、気弱で甘えん坊で色々ダメダメだけど歌だけは最強なミンチェも本当に良い。この3人がチームとして頑張ったり、時にはライバルになったり、別々の場所で頑張ったり、すごくいい関係なんですよね…。
そして私が圧倒的に好きなのは練習生の中の最年長の先輩のスアさん!最初は天花ちゃんの上位互換と言われ、練習生の中でも圧倒的な存在感を放っている面が強調されていましたが、そのバックグラウンドが明らかになる最新巻の7巻が本当に良くて、思わず読んで泣いてしまいました。
スアさんはすごく真面目に、誠実に、規則を破らず、卑怯なことをせずやってきたのに、「誰かを貶めるやり方をする子はアイドルになんかなれない」と自分の信念を通して正しく清く努力すれば報われると信じたのに、そうやって出来たのはデビューできないまま何年も練習生の中に残り続ける、恋も遊びも知らないままの20歳の女の子。
そんなスアさんが真面目なままでいては自分はずっとこのままなんだ、と天花ちゃんを陥れようとする回、その結末にめちゃくちゃ泣きました。スアさんのこと応援せざるを得ない。
「規則に従って誠実に生きようとしているのにこの世界で報われるのはそういう人じゃない」っていうことに苦しんでいる人はスアさん刺さると思います。私はそう。スアさんのことこんなに好きにさせておいて彼女が報われる姿が見られなかったらつらすぎるので、今後の展開で、どうか、頼みます。スアさん幸せになってくれ。
爛漫ドレスコードレス 佐悠(1~3巻)連載中
可愛い着物の着こなしがいっぱい出てきて「着物着てみたい!!」と思わせてくれる漫画。着物に対する、伝統を重んじる/好きに楽しむ両方の価値観をどっちも大事にしつつバランスよく描かれている感じがするのが良い。
着物初心者の撫子ちゃんの着物が毎回新しいものとかじゃなくて少ない手持ちでアイテムを変えながら着回したり、じわじわ買い足して増えていくかんじなのがリアルで良いんですよね…。親近感が湧いて着物入門してみたい〜ってなる。毎回新しい着物を見せてくれる役割は響さんがやってくれてるから、いろんな柄を見る楽しみもありますしね!
そして何よりキャラも魅力的で…。主人公の二人・撫子ちゃんと響さんが天真爛漫な女の子&クールなお姉さんコンビで最高〜〜〜に可愛いんですけど、他のキャラクターたちもめっちゃ良い…。
なんといっても伝統を重んじる呉服屋の若店主・誠次郎がズルい…。お店ではいつも営業スマイル&家の方針で着物の伝統性を重んじているけど、オフの日はカジュアルな着こなしも好きなクールで嫌味なキャラ…このギャップ、嫌いなわけがなかろうて!主人公たちにツンケン接しながらも誰よりも着物に真摯に向き合ってて心の中で色々ぐるぐる考えてるところとか、良いキャラすぎる!
最初は電子版しかなかったようなのですが、紙の本も出版され、紙でも欲しいなあ…って思っているところです。
あなたよりちょっとマシな私でいたい。 とあるアラ子(1巻)完結済
最高に面白い。立場や価値観が違う女同士の重感情!!これマジで私の好きなやつ!!同作者さんの「ブスなんて言わないで」も今熱いと思うんですが、個人的にはこの作品が1巻の中に色んな内容がぎゅぎゅっと詰まっててめちゃくちゃ好きですね。
独身OLと専業主婦、立場の違う二人がそれぞれに一生懸命生きていて互いにモヤモヤした感情も感じながらぶつかり合って友情して…百合って言ってしまうとなんか違うのかもしれないんですが、女と女の強い感情・友情の話で好きすぎる。好きとか惹かれるだけじゃない、妬ましさとか羨ましさとか嫌いとか見下しとか色々な重い感情をぶつけ合ってる女女で最高です。ナツミもフユミもいい面もあるんですがかなり嫌〜な面もあって、リアルでたまんないんですよね…。一見WEB広告とかSNS漫画にありそうなマウント取り合いレディコミみたいな雰囲気を放ってますが、読後感もめっちゃ良くて、最終的には女同士の友情最高〜ってなるし、すごくいい話だと思います。おすすめです。
ばあじん♪おんど しらいしあい(1〜9巻)完結済
まず、あらすじを改めて読んでみて驚いたんですが、「1980年代、少年少女の性が今ほど乱れてなくて、恋愛がもっと素敵で牧歌的だった時代」って書いてあるけど、この漫画かなり乱れてません!?(笑)牧歌的じゃないよ!!この漫画!
少女漫画のテンプレート(一途な恋)を想像して読み始めたので主人公はさみちゃんのシゲカヨ(ハッピーマニア)ばりの移り気ぶり(それでいて少女漫画的世界観なのですごい)に驚きながらも、「愛してるって何?」「愛してる人とCをしたい」「あなたは私を本当に愛してるの?」「するのを断ったから冷たくされた?好きならシておけば良かった?」「相手が例え自分のことを遊びだと思っていても、自分が本気で好きならはじめてをあげちゃってもいいんじゃないの?」など、若い女の子の「はじめて」に対する真面目な(?)問いが絶えず発せられているのが良かった。
最終的にはさみちゃんが選ぶ男がまあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜最悪(笑)で、はさみちゃんのために親身になってくれた誠実な男性を選ばなかったのが「おい!!!はさみ!!!!不誠実すぎるって!!」ってなったんですが、こいつ(はさみちゃんが選んだ男)最悪なんだけど、はさみがはじめてを捧げそうなのはこいつだよな、わかるよ…っていうかんじがある。
この、感情を揺さぶられるかんじが読んでて面白かったですね…。久々に読みながら「おいはさみ!そいつはやめとけ!」「この人を選べーーーーー!」とかマジになれる少女漫画で面白かったです。(現代の価値観的にどうなのか!?ってかんじなところはあるので、人にはおすすめはしません…笑)
ピアニシモでささやいて 石塚夢見(1〜8巻)完結済
歌手(シンガーソングライター)デビューすることとなった主人公・朱の書いた曲が悪のライバル会社によってパクられてリリースできなくなったり、コンサートで衣装がビリビリに破られたりと序盤はかなり古典的な陰湿芸能モノかな?という始まりだったのですが、お話が加速するにつれて様々な困難の中で研ぎ澄まされていく朱の姿にめちゃくちゃ引き込まれた(なんといか、「成長」とかじゃなくて、研ぎ澄まされてくってかんじ… 鋭利になっていくイメージなんだよな…)。
朱が紙に書いたら曲が盗まれるかもしれないから、と暗闇の中で何度も考えた歌を復唱し、「次のアルバムもねえ 次の次もねえ 構成たててるの 数年後まで計算してるの……」と痛々しい表情で言う姿とか、朱の音楽に対する気迫を感じてたまらなかった。
朱はその複雑な生い立ちから、常に自分の居場所を求めて止まない孤独を抱えた少女なんですが、必死に居場所を求める朱の痛切なセリフはどれもめちゃくちゃ良い。私が特に好きなのがコンサートのMCのセリフ。
朱美のセリフはどれもめちゃくちゃ真に迫っていて気迫があって、良い。
あと、キャラ同士の関係性も良くて、朱と、この漫画のヒーローである一意の関係性もめちゃくちゃ良いんですけど、個人的には特に朱とライバルの香菜ちゃんの関係がめっっっちゃ好き。爽やかで熱いぶつかり合いとかじゃなくて、読んでて緊張するくらいヒリヒリの関係性のライバルをやってる。お互い研ぎ澄まされすぎて、なんかもう怖い。しかし、バチバチでありながらも、この領域にたどり着いた者同士「この気持ちをわかるのはお互いしかいない」みたいな関係性でめっちゃエモい。
1番好きなのシーンが、香菜ちゃんが最愛の父を亡くした時に、「最後の呼吸している父親を見ながら…死んじゃった瞬間も…なに考えてたと思う… ”どうやって” ”詞にしようか”」と、どんなに悲しい経験をしてもそれを歌に昇華させることばかり考えてしまう冷たい自分がいる、こんな自分が嫌だという本音を朱に吐露するところ。朱も同様の経験を語り、「ひとはこういうの”才能”なんて呼ぶんだろうか だから歌うたいくらいしにかなれなかっただけだよね わたしたち」と返すのが、この二人はお互いにしかわからない高み・孤独の中にいるんだとわかってめちゃくちゃ良い。ラストで数年後、色々なことを経験して大人になった朱と香菜ちゃんで締められるのがすごく良かったな…。
以上、2023年読んでよかった漫画でした。
そんなかんじで、今年もいい漫画にたくさん出会えました!
来年もいろんな漫画を読めたらいいな〜と思います。