記事一覧
人生そんなに苦くない
生まれてくる子供の名前を
「麦」と名付けるのはどうか
お腹の中の子が安定期に入った頃
なおちゃんがそう提案した
なおちゃんは僕の奥さんで、大のビール好きだ
彼女の部屋に初めて泊まった朝のこと
朝食をこしらえてもらっている際に
ちらりと冷蔵庫の中身が目に入った
瓶詰めの鮭フレークと半分にカットされた大根
3連パックの納豆
食品と呼べるものはそれくらいで
残りのスペースにはびっしりと
色取り取りのク
甘く浮く醸造への道⑥
第6回 生きるのに必要ではないが、魂には不可欠なもの泳ぐのに、安全でも適切でもありませんが、禁止はされていないので川に入っている。そんな毎日です。
2020年4月上旬。
そう綴った自身のInstagramの投稿が示す通り、僕は正直困憊していました。
コロナ禍における外出自粛の影響は北関東の小さな街でも例外なく押し寄せ、お店を開けても閑古鳥が鳴く日々。酒場というのは生活必需ではない場所なんだとい
甘く浮く醸造への道⑤
第5回 「ななくさナノブルワリーさんとの出会い②」2020年2月。
自身の醸造研修を兼ねた甘く浮く初のオリジナルビールを仕込むため、いざ福島県二本松市へ。
今回仕込んだのは、りんごをふんだんに使用したフルーツエール。150L仕込みのうち、りんご果汁を60L使用。良好な泡持ちとジューシーな舌触りを得るために麦芽量の1割ほどオーツ麦を投入。瓶内二次発酵時に添加する砂糖の替わりにもりんご果汁を投入する
「甘く浮く醸造」への道④
第4回 「ななくさナノブルワリーさんとの出会い①」こんな時期に備忘録なんて書いている場合じゃない事は重々承知なのですが、ななくさナノブルワリーさんの事が書きたくて始めた連載だし、これを書かないでオリジナルビールを皆さんにお披露目するのにも情報が不十分だし、何より日頃甘く浮くを応援して下さっている皆さまから「続きが楽しみ」とのありがたいお言葉をかけて頂けたので、書くことにしました。
文章を読むと免疫
「甘く浮く醸造」への道③
第3回 「優雅な足踏み」
人生は時に色々な事が同時に起こるものなのですね。
2018年秋。島根から帰った数日後、僕たち夫婦は念願の赤ちゃんを授かった事を知ったので、醸造所立上げの準備はしばらくお休みして出産や育児の準備に専念する事に。
商売に於いて計画遂行のスピードは時にとても重要なのかもしれませんが、結果的にこの足踏み期間は実に優雅な実りある時間となりました。
子供を授かって以降、僕たち夫
甘く浮く醸造への道②
第2回 「石見麦酒へ醸造研修」2018年9月某日。
早朝那須塩原駅から新幹線とモノレールを経由して羽田空港へ、そこから(当時33歳にして)生まれて初めて飛行機に乗って島根県は石見空港に舞い降り、途中浜田駅で雨による電車の運休によりしばし足止めを食らいましたが、何とか目的地行きのバスを見つけて江津市にたどり着いたのは午後4時を回った頃でした。
今回参加した石見麦酒さん主催の「醸造大学」。小規模ビ
甘く浮く醸造への道①
第1回 「何故ビール造りを志したのか」あなたはどんな人間ですか?
僕はどちらかといえば自分に無いものに目が行きがちで、時に自分に無いものの数を数えるタイプの人間でありましたので
『今、自分の手のひらにあるもので最大限に夢を叶えたい』
そんな見出しで綴られていたとあるWEBマガジンの石見麦酒さんの記事には目を奪われました。濃度の高い慰めを摂取したら人は意外にも行動的になるらしく、島根にビール醸