一匹の蟻から

太古は昔の化石 琥珀に一匹の蟻

甘い樹液の 中でなにを夢見ているのか

歌でも うたっているのではなかろうか。

琥珀の中を 覗くやからがいる。

我らの祖先らが 手に手に、琥珀をとりて 不死のしかばねを崇め奉るのだ。我らに足りないものがある。我らに無いものは無いはずなのだ。

地べたを這いつくばり 蟻を観察する。
それらは 皆必死で隊列を作りて
運び 守り 巣をもち 育て 君臨しているではないか。

我らも 地に着くあいだは、一匹の蟻と変わらない。違いがあるとするならば 我らは殺し合い 孤独で 群れを恐れる。

一匹の蟻になれ!

蟻には我らに無いものがある

それは 家だ 家族だ 教育だ 共に住み 共に生きる道を探すのだ。琥珀の中で蟻は笑っている。蟻のままの姿で 笑っている。

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