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動物を飼うということ

長女のハムスターは、皮膚炎と癌が原因で、数日間で一気に体調に変化を起こし、獣医の勧めと長女の意志で、安楽死させることを選んだ。

ハムスターの死を見届けた帰り道、カーラジオから流れてきたスメタナの「モルダウ」が胸に沁みた。

数年前に鬱病を発症した長女は、今も精神科医と臨床心理士へと通い続け、薬の服用を余儀なくされている。
社会や他人との接触は極力避けようとする彼女は、医者へ行くことはもちろん、友人に会うことにすらストレスを感じ、直前になってキャンセルすることなど、日常茶飯事。

そんな彼女は、自分が飼っている動物のこととなると、性格がかわる。
ペットショップ へ行って、動物たちが心地よく、機嫌良く生きられるような物や食べ物を探し、具合が悪くなれば、自ら獣医の予約をとったり、相談の電話をする。
自分のことに、もう少し積極的になって欲しいと半ば呆れるものの、感心もする。
愛情を注ぐとは、こういうことを言うのだろう。責任感が生まれてきて当然だろうし、学ぶことも多いはずだ。

見送ったハムスターは、荼毘に付してもらい、もうすぐ遺灰となって、戻ってくる。
二年間、長女の心の支えになってくれて、ありがとう、日向。

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