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散歩

頭の中が散らかると、外を歩く。本屋さんや喫茶店に出向くこともあれば、ただ町をふらりふらりすることも多い。

まあ結局は、歩きながらもまたいろいろなことを考えてしまうのだが、家にこもっているときと違って思考が巡って淀んで沈んでいくようなことはあまりない。どうしてだろうか。

まず、体を動かしていることと、太陽と風に触れていることは、きっと大きい。というかほとんどはそれに尽きるのだろう。でも無理やり他を挙げるならば、例えば道を進むにつれて視界が変わること。その都度目に入る何かが、頭の中に「やあ」と顔を出す。彼がヒントになって、また新しい感情や考えが浮き出たりする。こうして思考の対象が散れば散るほど、個々に対しては距離が生まれる。そんな感じかなあ。

この曲は、たぶん、ぼくがいままでで一番上手につくれた曲です。目や鼻が気になるのは、花粉の季節だから。

散歩
作詞・作曲:あまいさと

川沿いの道を、ゆらり歩いたり
たまに歌ったり
郵便屋さんと、すれ違いざまに
思い馳せたり
目がかゆかったり

とけないで幻
いつもここで笑っていて
吐き出した気持ちも
今はただ聞いていて

電信柱の、影に染まったり
けつまずいたり
前を歩くスカートの、チェックと歩幅に
懐かしんだり
鼻すすったり

消えないで木漏れ日
いつか見たままでいて
泣き虫が鳴く街
かすむときまでは

歩道橋の上から、足跡なぞったり
雲つないだり
猫かと思ったら、カレーパンの袋じゃない
って声出したり
猫もいたり

止めないで指先
いつのぼくが決めたの
負け恥も誇らしい
風が冷たい

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