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Super Phoenixの牌譜検討してみた!!

今日は最強の麻雀AIであるSuper Phoenixの牌譜検討記事です。Super phoenixは天鳳の特上卓において平均順位2.33位ラス率18.5%というバケモノじみた成績を残しています。

参考までに日本プロ麻雀協会の木原浩一プロのアカウント「ロッソ」の特上卓での成績が2020年9月18日時点で平均順位2.32位ラス率19.6%となっています。
(youtue木原浩一の麻雀チャンネル 月曜を迎えたくない人のための特南ライブ配信の概要欄より。晒すんじゃねーよ!!バカヤロー!!と本人に言われた場合は削除いたします。)


プロ団体でのタイトル獲得だけでなく天鳳で十段到達や天鳳名人戦にも選出されている木原プロと遜色の無い成績です。この成績からSuper Phoenixがトッププロと並ぶ実力を備えていることが伺えます。

麻雀AIたる冷静な一打

最強麻雀AIのSuper Phoenixが見せた正確性の片鱗がこちらの牌譜です。

(東家が西家の第一打白をポン打1m)

この巡目にして4mを合わせて打っています。ただ浮いていた4mではなくマンズの複合形を一枚持ちのペン3mに固定して東の仕掛けを断ち切っています。

アガリを目指すのであれば後々になるほど危険度の高まってしかも現状は使いにくいドラ6sを処理しておきたいところです。

ここで仕掛けた東家の手出しに注目してみましょう。
数牌を5枚も手出ししており8sや3pといった中張牌まで手出ししています。ここまでくればテンパイあるいはイーシャンテンであってもおかしくはありません。

それに対して自分はMAX2600のリャンシャンテンですから冷静に考えればドラを通して勝負するほどではないと判断できます。

ヘッドを崩すこの一打からもドラだから残したのではなく明確に危険であるという思考が伺えるのではないでしょうか?

手出しツモ切りをキチンと一打一打確認すれば序盤でも確かにこの判断はできるかもしれません。

しかしこの判断を連ラスを引いた後にできますか?10半荘を打った後の11半荘目にできますか?と言われたら僕にはとても自信はありません。

Super Phoenixによる危険牌ランキング判断を見る

Super PhoenixのAIらしい正確な場況判断能力を確認したところで次の牌譜に移ります。

マンズ、ピンズ、ソーズで4メンツとヘッド候補が白の5ブロックが揃った手牌から孤立役牌2枚を残して打8sとしています。
ドラ受けは狭くなりますが赤々なので打点的には問題ないですし自然な選択でしょう。

注目するべきは次巡にツモ9sとしたシーンです。

前巡は残していた中をすぐさまリリースして場1の東や9sを残しています。

ドラ受けを考えるのであれば8sの方がむしろ優秀な牌のはずです。
これはどういうことでしょうか?
まず8s、中、東、9sのそれぞれの牌を5ブロック揃っていることを前提に分析してみましょう。

8s

・ドラ受けが残せる(ただし赤5sにもその機能がある)

・どこからのリーチに対しても現状は危険牌である。

・重ねた場合は白とのダブルバックに構えられる

・鳴かれると他家の大幅なスピードアップとなる

・白を除いた字牌で唯一の生牌

・場1で中より重なりにくい

・リーチを受けてもかなり通しやすい

9s

・打8sによってドラ受けの機能は大きく損なわれている

・リーチを受けた場合は東家、西家に対しては危険だが北家には完全安牌

手牌全体としては赤々で役牌トイツもあることから攻撃性能は高めですから8s、中、東、9sは孤立牌としての守備力が決め手でしょう。


それぞれの牌を分析してみるとリーチを受けた時に8sが最も危険牌であると言えます。そして9sと中ですが前者は2人に対して危険で一人には完全安牌、後者は全員に対してそれなりに危険といったところです。

どちら安全なのか意見が分かれそうなところですが大きく違う点は鳴かれた場合です。
9sチーはあるとしてもかなりのレアケースでしょう。
では9sポンと中のポンでどちらが対応しにくかと言われたらマンズ、ピンズ、ソーズ、字牌の全てに対応できる中ポンが圧倒的です。
せっかく攻めに出たい手牌なのだから中など鳴かれにくいうちに切ってしまえ!という結論に至ります。

個人的な意見を述べますと役牌の絞りはトッププレイヤーに必要な技術ではあります。
しかし現代麻雀においては役牌を”絞る”切らない技術よりもむしろ役牌を”殺す”切る技術こそ語られるべきだと考えています。

最速テンパイという偉大な価値

守備的な内容に飽きてきたところでSuper Phoenixの攻撃面に迫ります。
やはり麻雀はアガって点棒増やさないと勝てません。Super Phoenixはどのような攻撃を見せてくれるのでしょうか?

特に印象的なシーンがこちらです。

親番で赤々の手牌から早々に12000を拒否してしかもリャンメンをも崩すカン3mチーです。
トップ目といえど東3局でまだ先は長い道のりがあるにもかかわらずこの仕掛けです。

本来ならば12000を目指す手牌ですし当然そうするべきです。

Super Phoenixの副露率は31%台で天鳳というフィールドを考えると門前派と呼ばれるタイプです。
それにもかかわらず仕掛けたということは5800と仕掛けられる手牌はそれだけ偉大だということなのかもしれません。

スピード優先の判断をその次の局にも下しています。

ダブ東トイツにドラ2の手牌から2枚切れの中を残して赤5mを切っています。
ピンズが整っているので赤5mくっつきで8sのトイツ落としの手順を期待しても良さそうなものですが容赦なく切り飛ばしています。

そしてその直後です。

6pが二度受けを嫌ったのか8sポンのダブ東バックの仕掛けです。
こうしてイーシャンテンに受ける方が期待値は高いのかもしれませんがなかなか仕掛けられるものではありません。

話は変わりますが令和版の神速の麻雀 堀内システム55において福地誠氏はこのような打法を「究極のファストフード麻雀」と命名し、同時に空気を読まない勝利至上主義とも評していました。

麻雀界最高峰を謳うMリーグにおいてこういった打法にはなかなかお目にかかれません。しかし長年続いた空気は簡単に変えられるものではなく勝利を目指すプロ集団であるMリーガーにしか麻雀界の勝利至上主義に対する風当たりを変えられないのではないでしょうか?

配牌オリは是か?非か?

麻雀研究が進み一局一局の期待値が明らかになるにつれて配牌オリという一局においてマイナスを確定させてしまう打牌は否定されることが多いです。
ではSuper Phoenixは配牌オリをどのように捉えているのか?それを推察されるシーンがありました。

点棒に余裕のある親番トップ目のラス前です。

東、1s、西トイツという安全度の高い牌を多く抱えているにも関わらずカン8pを払う打9pとしています。
局の開始直後というわけではありませんが4巡目で大きな動きが無い状況でこの一打は配牌オリの範疇と言えるでしょう。

手牌としてはピンフくらいしか望めずしかもドラ無しときており打点不足は否めません。
形として優秀なのはマンズ部分のみで仕掛けも出来ない手牌ですが巡目を考えるとかなり思い切った一打です。

この手牌を和了したケースを考えてみます。
・得られるのは1500〜2900点
・最低でもあと2局続く

今度は配牌オリした場合を考えてみます
・誰がハネツモしてもまだトップ目でいられる
・手牌はオリ切れる可能性が高い
・この局を流せばあとはオーラスだけ

こうして状況を分析すると確かに加点によるメリットが薄い上に得られる点棒も雀の涙とくれば配牌オリもアリなのではないかと思わされます。

しかしこれほどドライな配牌オリ判断を人間がするには意識改革が求められます。
Super Phoenixと自分の成績を比べるにつくづく麻雀の技術向上には厳しい修練をせねばならないことを思い知らされます。

追伸

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