かがみの孤城

都内に戻らない久々の休日、今期アニメ大量視聴も考えたんだけれど外に出たいな〜と思ったので美容室の予約ついでに、前々からTLでの評判を見て気になっていた"かがみの孤城"を観てきました。
観た人間に対して語るように書くので未視聴の人間は出来たら観てきて欲しいな。

いじめ
まずこの手の"いじめ"を扱う作品において長年テーマになるのが「いじめの解決って何?」という点だと思う。この作品の向き合い方はかなり真摯かつ切実で「取り合わないこと、許さないこと」を一貫していた。
真田との直接的な対峙の描写もない、勿論真田の更生描写も無い。
知ったこっちゃないからね、そんな事。
下駄箱の手紙とかやばかったな〜、こうも話が通じないのかという虚無感と絶望感がヒシヒシと伝わってきた。

真田がこうなったのも理由があるのでは?そこを解決しないの?という意見もSNSでは見かけたんですが、別に人が人を排斥するのにそんな家庭的な事情とか思想の問題って絡んでこない気がするんだよな。
そもそもこころのような立場の人に寄り添った作品を作る際に、傷付けた側の事情を描写すること自体そっちの方がフェアじゃないだろうと思うので、自分は全く気になりませんでした。

ジャンル
本作品はジュブナイルファンタジーという表現が1番近いのだろうか、かなり話の筋としてはわかりやすく描かれていて飲み込みやすい。伏線自体も比較的王道なものではあるけれど、この設定が陳腐にならずにスッと届くのは演出の妙なのかな〜と思います。
大人子供問わず触れて欲しいよね。

居場所
今自分がいる…いなきゃいけないと考えてしまう場所(学校であれ会社であれ…)なんてものは思ったよりずっと狭くて小さくて、少し外に目をやることが出来ればそのしがらみからは少しずつ抜け出せる。
こころの目線を上げた周りにはあたたかい人達が本当はちゃんといて、その人達の手を取るまでの物語…
そしてそれはこころがアキの手を取る終盤のシーン、喜多嶋先生の机の下にも繋がってくると思う。
誰かの伸ばした手を掴める人は 誰かに手を伸ばせる。アキとこころの巡る縁は素直にグッときた。

グロい
それとは別に、めちゃくちゃグロい作品でもある。ここでいうグロさとは、心的ダメージというか人の心が傷付けられる様がありありと描かれ過ぎていて観ている側はかなりしんどい思いをするという意。

やっぱアキが襲われるシーンに言及してる人は多くて、実際演出やり過ぎだろってくらいでしたね。
ただ個人的には同じくらい真田達が家に来るシーンが怖すぎた。窓の外で人影だけがワラワラ増えてくるシーンは本当にこころの焦燥が伝わってきて、アキのシーンとはまた違う急速な閉塞感…窒息に似たイメージを受けました。

主題歌
優里ってどっちかというと真田が聴いてそうだよな〜と一瞬思ってしまい、すまん。
MVにはこころの声優を演じた當真あみさんが出演していますが、めちゃくちゃ普通のラブソング的映像になっていてある意味面白い。

真実はいつも一つ
アレなんだったんだよ。

まとめ
エグみのある演出も踏まえると単にエンタメとして消化するには提起が大き過ぎてしまうためおいそれと観て欲しいとは言えない…のだが、それでもなお観て欲しいと思うのはやっぱり根底にあたたかさがある物語だったからかなぁと思います。

原恵一監督がパンフにて語っている「たいていのことは何とかなるよ、大丈夫」というフレーズは、楽観というよりも目線を上げるアドバイスのような印象を受けました。
東条さんの「たかが学校のことなのに」が象徴しているよなぁ。

余談
おおかみ様が怪力なのってなんか伏線あったっけ、そこだけ覚えてる人いたら教えてください。病弱に対する反証みたいなことかな。


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