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唯一救いであったのは、その当時に初めた 「純金積み立てコツコツ」 を貯金代わりに始めたことである。
これが、数十年後に起こる人生上の出来事に役に立つとは思いもよらなかった。
その出来事とは、いま流行りの「FIRE」。 この意味は「仕事をしなくても、不労所得で悠々自適」ということですね。でもこれは「自分から、無能上司に辞表を叩きつけて仕事を辞める」前提ですよね?
俺の場合、 英語で「FIRE」の意味って 「仕事を首になる」 ってことですよね?そう、俺はそっちに近い「FIRE」なのだ。
一端のトレーダー気取りで玉の操作(まったくもって、訳も分からい、いわゆる団子玉になった)もどきを行い損失をくり返した。さらに、信用取引にも手を出して傷口を広げた。
今では簡単に信用取引をすることができるが、当時、信用取引口座を開設するためには、証券会社に申請し口頭による審査があった。
また信用口座が開けるネット証券会社も限られていて、たぶんM証券の一択であったと思う。(その後すぐにEトレード証券も開設できるようになった) 株の取り引きを始めて数年は、勝ったり負けたりの繰り返し、でも証券会社に預けている現金は着実に目減りしていった。
これらの本を読んで「これで何億も稼いで、悠々自適の暮らしだぜ」とウキウキしたが、「うわべだけの知識」だけでは、相場は甘くなかった。まったく、上手くいかない。
この著者が一貫して述べていることは、たとえて言うならば「いぶし銀のような職人技」を身につけて株の世界を生きていることである。
なかなか手を出しにくい値段だったが、俺は高校時代から本を買うことについてはためらいが無かった。
当時の俺には「手法」と呼べる(この呼び方に違和感があるが、今は便宜上こう呼ぶ)エッジ、優位性を持っていなかった。
しかし、この「酒田罫線法」を読んで、「これだっ!」と叫ぶほどの衝撃を受けて、時間を忘れて貪り読んだ。そこに書かれていたことは 「売買法、売買の技法を重視するもの」 であった。
その中で一番興味を引いたのが、 「酒田罫線法」 という書籍で税込みで5,000円を超える値段であった。