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下3(下水道技術検定試験第3種)に受かってみる そにょ14「特定事業場・特定施設ってなんぞ?」

はじめに

下水道法を学ぶうえで結構厄介なのが下水道法第12条、第12条の2です。なお、とりあえずノートを書いたり自分の勉強データをまとめたりするのに各条文と逐条解説をまったり読み込んでいましたが、10回くらい寝落ちしました。

条文、施行令や施行規則、そして対象とする自治体(都道府県条例と、市町村条例があります)にわからせられないおっとちがった押さえないといけません。下3の範囲たぶんそんなに突っ込んで聞いてこないとおもうのですが、向学のためにもとにかく条文にあたってみます。

すごくざっくりいうと、排水規制は2つのポイントからできています。

下水設備の機能障害損傷防止(法12条)

 下水管とか排水設備に影響を与えるというイメージを持ちましょうか。これはすべての事業場対象です。詰まらせるとか、腐食させるとか中を危険にする物質です。
 分流式の雨水管は下水道法12条+水質汚濁防止法(+ダイオキシン類対策特別措置法)の規制ということに注意ですね。

終末処理場が技術上の基準に適合できるようにする(法12条の2)

 終末処理場が、水質汚濁防止法とかダイオキシン類対策特別措置法を守れるように、特定事業場に守らせている。特定施設の一覧は、東京都HPが見やすいと思います。[3]

下水道法第12条の2って?(一番難しい)

(1)終末処理場において処理困難な物質にかかる基準
いわゆるシアンや水銀のような有害物質です。基本的には、一律排水基準と同一です。ただし、フッ素、ホウ素は「公共下水道」の排出先が河川か海域かで基準が変わってきます。その他、ダイオキシン類対策特別措置法との関連や細かい事例もあります。

(2)終末処理場において処理可能な項目にかかる基準
終末処理場で処理可能な項目については、政令より厳しくない基準を条例で決めなさいとなっています。
(アンモニア性窒素、亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素、水素イオン濃度、生物化学的酸素要求量、浮遊物質量、ノルマルヘキサン抽出物質含有量、窒素含有量並びにリン含有量)
面白いのは、アンモニア性窒素だけ水質汚濁防止法と基準が違っています。これは、水質汚濁防止法の方はアンモニア性窒素が排出されてから硝酸性窒素に変わるので水質汚濁防止法の基準のみアンモニア性窒素量に0.4掛けなさいとなっています。

ここからは、大枠で抑えておけばよいと思いますが、広島市のHP[5]を参考にしつつ足りないところは永野さんの著書(ケーススタディ環境法令管理実践ガイド)[6]を見ながら書きました。

逐条解説のフロー図を参考にイメージを作ったのがこんな感じです。

規制フロー

その他、特定施設関連の届出に関する規定について

日数は、下水道管理者の審査が必要な新規、変更は審査日数込みで届出日から60日以内、それ以外は事実が起きてから30日以内という規定があると理解すると覚えやすいです。

特定施設の設置等の届出(設置届:法第12条の3、第12条の6)
特定施設を設置するものについて、届け出の義務を課しています。届出は
新規⇒設置する60日以上前
使用届出⇒なった日から30日以内
(既設の施設が新たに特定施設に指定されたとき、既存の特定施設を下水道に接続するとき)
届け出ることは次の通り
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 工場又は事業場の名称及び所在地
三 特定施設の種類
四 特定施設の構造
五 特定施設の使用の方法
六 特定施設から排出される汚水の処理の方法
七 公共下水道に排除される下水の量及び水質その他の国土交通省令で定める事項

特定施設の構造等の変更の届出(法第12条の4、第12条の6)
変更⇒工事着工日の60日以上前

計画変更命令(第12条の5)
基準に適合しない排水が排出されうる場合、届出受理日から60日以内に限って、計画変更命令を出すことができる。

実施の制限(第12条の6)
設置の届け出、構造等の変更の届出が60日以内であることの根拠で、計画変更命令と整合性が取られています。
公共下水道管理者は、短縮することもできます。

氏名の変更等の届出(第12条の7)、継承(第12条の8)
氏名変更、継承⇒30日以内
廃止⇒30日以内

事故時の措置(第12条の9)
事故時は、応急措置を講じるとともに速やかに届け出る必要があります。なお、対象物質は有害物質(=水質汚濁防止法施行令第2条各号及びダイオキシン類)及び油となります。


流域下水道管理者への通知(第12条の10)
要は、受けた届出を流域下水道管理者遅滞なく、事故は速やかに通知することが決まっています。(下水道管理者の義務)

除害施設の設置等(第12条の11)
特定施設以外については、下水道法第8条の下水処理場の放流水に悪影響を与える場合は、除害施設の設置を命令できることと、その場合に
2 第十二条の二第四項の規定は、前項の条例について準用する。

水質の測定義務等(第12条の12)
特定施設の設置者は、水質測定義務があります。
(pH:1日1回以上、BOD:14日に1回以上、ダイオキシン類:1年に1回以上、その他:7日に1回以上。ただし、条例で緩和措置などがある場合もあります)
なお、法律上下水道法第8条の悪影響関係の記載もありますが、政令が定まっていませんので結局特定施設の設置者の義務となります。

該当の条文

いろいろ記事書きましたが、最後に条文を引用しますので、もう一度ご確認ください。ガチで勉強するときには、条文と対応する規則・政令・自治体条例を同じページにノートに張るとかするとわかりやすいかもです。

下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)
(除害施設の設置等)
第十二条 公共下水道管理者は、著しく公共下水道若しくは流域下水道の施設の機能を妨げ、又は公共下水道若しくは流域下水道の施設を損傷するおそれのある下水を継続して排除して公共下水道を使用する者に対し、政令で定める基準に従い、条例で、下水による障害を除去するために必要な施設(以下「除害施設」という。)を設け、又は必要な措置をしなければならない旨を定めることができる。
2 前項の条例は、公共下水道又は流域下水道の機能及び構造を保全するために必要な最小限度のものであり、かつ、公共下水道を使用する者に不当な義務を課することとならないものでなければならない。
⇒⇒規則§9
(特定事業場からの下水の排除の制限)
第十二条の二 特定施設(政令で定めるものを除く。第十二条の十二、第十八条の二及び第三十九条の二を除き、以下同じ。)を設置する工場又は事業場(以下「特定事業場」という。)から下水を排除して公共下水道(終末処理場を設置しているもの又は終末処理場を設置している流域下水道に接続しているものに限る。以下この条、次条、第十二条の五、第十二条の九、第十二条の十一第一項及び第三十七条の二において同じ。)を使用する者は、政令で定める場合を除き、その水質が当該公共下水道への排出口において政令で定める基準に適合しない下水を排除してはならない。
2 前項の政令で定める基準は、下水に含まれる物質のうち人の健康に係る被害又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあり、かつ、終末処理場において処理することが困難なものとして政令で定めるものの量について、当該物質の種類ごとに、公共下水道からの放流水又は流域下水道から河川その他の公共の水域若しくは海域に放流される水(以下「流域下水道からの放流水」という。)の水質を第八条(第二十五条の十八において準用する場合を含む。第四項(第十二条の十一第二項において準用する場合を含む。)及び第十三条第一項において同じ。)の技術上の基準に適合させるため必要な限度において定めるものとする。
⇒⇒規則§9の2、9の3、9の4
3 前項の政令で定める物質に係るものを除き、公共下水道管理者は、政令で定める基準に従い、条例で、特定事業場から公共下水道に排除される下水の水質の基準を定めることができる。
4 前項の条例は、公共下水道からの放流水又は流域下水道からの放流水の水質を第八条の技術上の基準に適合させるために必要な最小限度のものであり、かつ、公共下水道を使用する者に不当な義務を課することとならないものでなければならない。
⇒⇒規則§9の5
5 第三項の規定により公共下水道管理者が条例で水質の基準を定めた場合においては、特定事業場から下水を排除して公共下水道を使用する者は、政令で定める場合を除き、その水質が当該公共下水道への排出口において当該条例で定める基準に適合しない下水を排除してはならない。
⇒⇒規則§9の6
6 第一項及び前項の規定は、一の施設が特定施設となつた際現にその施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。)が当該施設を設置している工場又は事業場から公共下水道に排除する下水については、当該施設が特定施設となつた日から六月間(当該施設が政令で定める施設である場合にあつては、一年間)は、適用しない。ただし、当該施設が特定施設となつた際既に当該工場又は事業場が特定事業場であるとき、及びその者に適用されている地方公共団体の条例の規定で河川その他の公共の水域又は海域に排除される汚水の水質につき第一項及び前項に規定する規制に相当するものがあるとき(当該規定の違反行為に対する処罰規定がないときを除く。)は、この限りでない。
⇒⇒規則§9の7

参考文献、その他

[1] 下水道法
[2] 下水道法施行令
[3] 下水道法令研究会 編著「逐条解説下水道法 第四次改訂版」(ぎょうせい)(現在売り切れです)
[4] 東京都HP 特定施設
https://www.gesui.metro.tokyo.lg.jp/contractor/regulation/information/4tokuteisisetu/
[5] 広島市HP 下水道法における特定施設等に関する届出様式
https://www.city.hiroshima.lg.jp/site/gesuido/2710.html
[6] 永野 亮 著「ケーススタディ環境法令管理実践ガイド」(第一法規)

結局これ書くのに何日かかったのでしょうか…のどかわいた…おやすみなさいぱたり


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