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哀愁しんでれら3回目鑑賞記(ネタバレあり)

3回も観たらそろそろ慣れるだろうと思うのだけれど、オープニングは毎度鳥肌が立つ。
ただ信じる道を歩いているうちに、いつのまにかとんでもないところに辿り着いている。
教卓に立つ小春の表情は幸せそうにも、悲しそうにも、無の境地にもみえて、なんだか恐ろしくもある。

この映画のオープニングと幸せ絶頂のダンスシーン。
そしてエンディングは同じ曲。
もちろんアレンジは違うけれど、同じ曲を聴いてこんなにも受け取り方が違うのかと…困惑する。
幸せで涙が出そうな曲であり、苦しく切ない曲にもなる。

そしてインスリン…なくては生きていけない人がいる一方で人を殺めることもできる。

幸せと不幸は隣りあわせなんだと気付かされる。

この映画の切ないところは、みんなが愛のために行動した結果であること。

小春は大悟に愛されたくて、大悟の宝物のヒカリのことも大切にしたい。
大悟はヒカリのためなら命だって差し出せる。
ヒカリはパパとママが好きなだけで、ワタルくんにかまってほしいだけ。

それぞれが幸せになるために進んでいるのに、偏見や思い込みでとんでもないところに到達することは、誰にでも起こり得る事だから恐ろしく切ない。

幸せにならなきゃね。
親としての覚悟。
ちゃんと母親になる
親なんだから。
親としての自覚。

こういう言葉の数々が、刷り込まれた先入観が、こうあるべきという決めつけが、人を苦しめているのかもしれない。

だってさ…親になる前に、出産するための講座みたいなものは産婦人科で受けたけれど、お母さんになる講座なんて受けてないもん。
こどもにキレられた時の対処法のDVDとかもらってないもん。

大悟さんは「普通に母親をすればいい」というけれど、普通の母親がなんなのかもわからない。

でも自分のことならまだしも、子どもの一生がのしかかっているから手を抜けないんだよね。

完璧になるために動画とかインスタとか色々みて研究して、現実とのギャップに落ち込むんだよね。

人にとっての幸せが、別の人の幸せになるとは限らない。

最後にヒカリが読んだ『みんなちがってみんないい』が3回目にして、ようやく心に染みた。(過去2回はラストの衝撃でフワフワしていたので…BGMぐらいにしか聞こえていなかった)

リピーターの多いこの映画。
3回目でようやく細部に目がいくようになった。
観賞後のモヤモヤと余韻までひっくるめて楽しめる作品。

上映終了の映画館が少しずつ出ているので駆け込みで是非沢山の人にみていただきたい。

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