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冬日 カチカチ山と寒風山

 昨日の朝。初霜が降りた。
 今朝は,薄氷が張った。
 日本海側が大雪のニュース。
   関東内陸でも豪雪のニュース。
 我が家の紅葉が小さな庭を魅力的な模様にしてくれていた。
 年金支給日。遺族年金が貰えない一人暮らしのおばあさんは、今後の事を考えて節約しなければと思い立った。
 だから、家中の電気を消そうとする。エアコンも点けず灯油で賄う。
 
 厚洋さんが元気な頃は、冬になると電気代と灯油代で数万円使った。
 広いリビングをTシャツ1枚で過ごせる程の室温に上げるからだ。北海道出身の方は、そう言う人が多いらしい。外は極寒。内は真夏。
 暑がりの真愛は、半袖で過ごした。
 真愛も働いていたし、(困った奴だ。)と思いながらも、まだ支払える範囲と楽観的だった。
 しかし、彼はすでに暑さ寒さを感じない処に逝ってしまった。真愛は、歳をとったり、痩せたり、収入も痩せたりで、寒さが身に沁みるようになった。
 
 そこで、「節約」を考えたから、
「さあ、大変!」
 泥鰌も誰も出て来ないが、冬のお日様が出て来てくれた。
 このnoteをUPする作業を冬の陽だまりの中で始めた。
 厚洋さんが「俺の部屋」と独占した南向きの和室にコーヒーと椅子を持ってやって来た。
 いつもは、チャーちゃんが椅子の上で一日中いるだけの部屋だ。今日も…。
「あら?ここでやるの?」
って、一瞥しただけで、また寝た。

 この部屋の素晴らしさが分かった。
 
 設計した厚洋さんが
「凄いだろ?
 今頃気づいたか?
 だから、この部屋は俺の物!
         素晴らしいだろう?」
と自慢げに話す声が聞こえる。

「狡いよね。真愛に気づかないように
 何も言わなかったものね。
 真愛は、いつも、寒いリビングでお裁縫した
 り、セーター編んだり、絵を描いたりしてた
 ものね。
 まあ、ストーブはガンガン焚いてくれたけど
 ね。
 今日は、ここを使います。」
 
    ー快適である。ー

 太陽光発電とか、自然エネルギーとか色々言われるが、太陽が誰からも「神様」になる気持ちがよくわかった

 暫く優しい暖かさに包まれ、コーヒーを頂きほっこりとした。
 そして、noteの記事公開。
 ついでに、下書きの部分の手直しもしようと始めた。その時、
「やや、背中がカチカチ山のようだ。」
カチカチとは音はしなかったが、背中がジリジリと焼けつくように暑くなった。


 驚いて日陰に移動すると、チャーちゃんが
「馬鹿だねぇ。
 太陽から放出されるエネルギー量は、一年を 
 通してほぼ同じにゃんだ。
 でも、地球の公転軌道が楕円形であることや 
 地軸の傾きといった天文学的要因によって、
 地球が受け取る太陽放射エネルギー量は変化 
 するんだにゃ。
 地球が最も太陽に 近づく場所は近日点。逆
 に遠ざかる場所は遠日点。
 で、地球の北半球は太陽から遠い距離にある
 夏より も、近日点付近を通過する冬のほう
 が太陽から受ける放射エネルギーは大きい 
 らしいにゃ。
 あとは,お日様の傾きが違うにゃよ。
 だから、夏より冬の方が日差しがお家の中に
 入って来るにゃ。
 それを沢山取り込んでいるから、暖かいと
 感じるにゃあ。
 直接日向ぼっこは、カチカチ山だにゃぁ〜」

 確かに、チャーちゃんは障子越しにお日様を感じている。
 真愛も慌てて、日陰に入って、足だけお日様にあててnoteを書き始めた。

 すると30分も経たないうちに、
「うっ!寒!」
 風邪を引きそうな寒さだ。
 ジリジリと暑くなった真愛の背中は、汗をかいていたのだ。それが急冷されたのだから…。
 チャーちゃんは、もう何も言わなかった。
 お仏壇のある部屋なのに、厚洋さんも何も言わなかった。
 そう、真愛は、いつも二人に馬鹿にされてた事を思い出した。
 
「猫は、その家の中で一番快適なところで寝ている。猫の居るところを探せば良い。」
 厚洋さんが言ってた事。
 ただ、何を着て何分ぐらい過ごすことが良いかは、それぞれの好みで決定しなければならない。
 
 

 関越自動車道では、1000台近くの車が豪雪・事故で立ち往生している。
 湯沢では、人の背をはるかに超える雪が車の上に積もっている。
 狭い小さな日本なのにも関わらず、こんなにも気候差があるのに驚かされる。
 雪で苦労していらっしゃる方がこのnoteを読まれたら、きっと苛立つだろう。
「何を馬鹿なことを書いてるんだ。」と。
 申し訳ない。
 読み手のことを考えないで書いている。

 背中がカチカチ山。
 背中が寒風山。
 自分の視点でどちらを見るか、
       どう考えるか、
 で、感じ方が違う。
 それと同じで、さまざまな立場に立って考えないと本当のことはわからないのだと思った。
 立ち往生中の方々が、
 早く目的地に行けますように。
 ちゃんと暖かい食事が取れますように。
 風邪を引かずに過ごされますように。

 何もできない遠い地から願うことしか…。
 
 

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります