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似てると言われてファンになる

 インデージョーンズ 「最後の聖戦」を見た。
見ている最中に、何十年も前に保護者から
「厚洋先生は、ハリソンフォードに似てるよね」
と言われた事がある。
 真愛も同僚に
「旦那さんは、スターウォーズの
 ハン・ソロに似てる。」
とスターウォーズが大流行りの頃に言われた。
 真愛は、映画を見てもいないのに、(流行りの時は嫌いと言うへそ曲がりだったので)
「映画俳優になんて似てない。
 確かに、日本人離れした鼻の高さと
 唇の厚さで、何世代か前に
 外国の血が入っているかも?」
と気に留めてはいなかった。

 厚洋さんもそんな話を笑って聞いていたが、内心嬉しかったのかもしれない。
 退職してビデオ三昧の日々には、スターウォーズを見ていたし、インディージョーンズもよく見ていた。
「主役に似てるのか?」って思ってニタニタしてたのかもしれないと思うと可愛い感じがする。
 真愛は、厚洋さんに
「お前は、木の実ナナによく似ている。
 ホイホイミュージックってやつに出ててね。
 可愛かったよ。」
って言われてから、木の実ナナファンになった。
 木の実ナナさんが出るドラマは欠かさず見たし、姉御肌の彼女がカッコよかったので、仕草や喋り方も真似をした。
 年をとった木の実ナナを見て、
「いい女になった。」
といった後も、いい女になろうと頑張った。
 好きな人に「〇〇に似てる」と言われて可愛いとかかっこいいとか言われたら、自分のことではないのに嬉しくなった。

 真愛が退職してからも、「インディー・ジョーンズ」は何度も見た。
 真愛は、ハリソンフォードと知らずに見て、あのスペクタクルシーンに大喜びし、
「かっこいい。」
「いいね。凄いね。」
を連発した。
 厚洋さんは隣で冷静に見ていたが、(かっこいいだろう。)って自分が言われているように聞いていたんだろうなあと思う。
 今回は、吹き替えではなく、ハリソンさんの生の声で映画を見た。
 声も仕草もそっくりだった。
 何より笑い方が似ていた。
 顔が似ていると言うことは、骨格が似ているので、声が似てくると言う事を聞いた事がある。
 厚洋さんはいつも、吹き替えなしで見ていたので、似てると思ってのかな。
 自分の声は、自分では分からないと言うので感じなかったかもしれない。それにしても仕草が似てると言うことは、厚洋さんがハリソンフォードの真似をしていたと言うことだ。
 真愛が木の実ナナさんの真似をしたように。

 真愛がハリソンフォードを好きになったのは、昔のことを思い出して、ハリソンフォードの映画を見るようになって、
(あら、厚洋さんといっしょに見ていた人なんだ 
 わ。よく見ると本当に似てるわね。)と思ったからだ。
 好きな人に似ているからファンになったのだ。
 自分に似ているから、好きになる人。
 好きな人に似ているから、好きになる人。

 恋は盲目、アバタもエクボである。
 さて、このnoteを読んでいるあなたは誰に似ていると言われますか?
 きっと、その似ている人のことは「好きな人」ですよね。

 似ている人を好きになるパターンを考えると、
真愛は、小さい頃から博学コンプレックスがあった。頭が悪いので頭の良い人を好きになった。
 もちろん顔の良い方が良いのだが、顔より「知識豊か、知恵者」が好きだった。
 小学校の時の理想にの男子は、(ひょっこりひょうたん島」の博士君だった。中山千夏さんの声も喋り方も魅力的だった。
 中学校でも、賢い男子に憧れた。スポーツマンより知的な人が好きだった。
 当然、厚洋さんの魅力は「知性」である。

 そして、結婚してから思った。
 厚洋さんと真愛は考え方がよく似ている。
 自分に似ている人と恋に落ちる理由、それは安心感があったからだ。
 変わり者同士、自分の物差しで判断して、相手を扱えばいいので、相手の考えていることが手に取るようにわかるので、楽だったのだ。
 真愛が何を求めているか、厚洋さんが何を考えているか、お互いにわかって、優しく思いやることができたのだ。
 ところが、真愛が厚洋さんに気に入られようと自分を我慢をさせると、大爆発をしちゃうんだ。
 性格が似ている人と恋愛すると恋が長続きするとよく言うのは、相性もいいからだぅたのだ。
 「思考・生き方」が似ている人を好きになった事は、最大の幸せだと思う。
 生き方の相性がいいと 一緒にいることがストレスにならない。性格が似ている人といる空間は居心地のいい場所になって、ずっと一緒にいたいと思える。
 何も喋らず黙っていても楽なのだ。
 気を使わなくても良かったのだ。
 厚洋さんと真愛は、似ている人だったのだ。

 ちなみに、正反対の性格の人に恋するのは、 自分にないものを持っているからで、心理メカニズムとして立証されている「相補性の法則」と言う。
 自分にない長所や考え方を持った人を好きになることで、自分の足りない部分を補おうする。
 自分のない長所を持っている人には、一緒の尊敬の念を抱き、その尊敬の念が恋愛に変わるパターンも少なくない。(なんだか、真愛の厚洋さんに対する思いもそんなところがあるのかな。)

 性格が全く違うと、自分ではまずやらないことを相手はやってみる。お互いの存在が刺激になるのだ。
 恋人に引っ張られることで、今まで自分が知らなかった世界に飛び込めるのは大きな刺激で、
 自分のないものを相手が与えてくれることで、人間的な成長が見込める。
 性格が違っていると「今度彼は何を言い出すのか?」と常にいい意味で緊張感をもって接するので、その分マンネリになりにくく常に新鮮だった。
 まあと厚洋さんは夫婦というより、ずっと恋人同士でもあり、先輩後輩でもあり、お父さんと娘だったり、光源氏と紫の上だったり(笑笑)常に新鮮な関係だった。
 変人同士の相性が良かったのだ。

 厚洋さんは厚洋さんでハリソンフォードではない。
 でも、大好きな人に似ている俳優さんのファンになる気持ちはよくわかった。
 厚洋さんの写真に向かって言う。
「浮気じゃないよ。ファンなだけ❣️」と。

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります