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浴衣体験 好きな事

 若い男の子に囲まれてニコニコ笑顔の真愛ちゃんである。厚洋さんの浴衣や帯も総動員して外国籍の男性に浴衣を着付けた。
「俺がいなくなって、
 伸びやかにボランティア活動をやってるな
 あれ?その浴衣、俺のだろう?
 まっ。いいか。
 喜んできてくれる人がいるんだから、
 真愛が笑顔でいるんだから。
 そんなにくっ付くなよ。」

 厚洋さんが逝って1783日。
 今までは、真愛がヤキモチを焼いていたのだが、厚洋さんの同僚の『あいつは恋多き女でね。』と言っていたという一言で、真愛が教え子の男の子と遊びに行っていたのを勘繰っていたのかもしれないと思った。
 そして、全て知った上で、繋いでいても解いて動き回る真愛を見えない糸で自由に操っていたのだと確信したのだ。
 真愛にヤキモチを焼いてくれるなんて、凄く嬉しかった。
 だから、彼の浴衣を着せて、彼の帯を締めて腕組んだりしたら、今夜あたり出て来てくれるかもしれない。
(出て来てくれるなら、何でもしちゃうぞ!)

 今日は朝から浴衣を着て活動した。
 午前中は、国際交流協会の日本語教室へ。
 担当のマンラさんがお休みだったので、新規会員見学に来てくれたリンさんに「浴衣」来てもらった。
 何も脱がずそのまま着てもらう。
 5分で完了である。

リンさんの髪は編み込みに

 今日は見学だけだったようだが、何と即
「入会」してくれた。

張さんは褒めまくり!

 彼女はN 2まで合格しているので、日本語もよく分かる。「浴衣は初めて!」と喜んでくれた。真愛は、浴衣を着て喜んでくれる人の笑顔が大好きである。
 自分の好きなものを「好き」と言ってもらうことの喜びなのだ。「共感」という応えを貰うことの幸せなのだ。
 で、午後からは、周西公民館の「日本語ひろば」という教室にお手伝いに入る。

日本語ひろばの予定

 年間数回の外国籍の方のための教室だという。書道体験をしたり、海苔巻きを作ったりしているらしい。その中の一コマとして、「浴衣を着たい」という要望があり、今回の着付けを頼まれたわけだ。
 打ち合わせの時、『着付けて、写真を撮るだけではなく、日本の遊びをさせたい』というとたくさんの遊び道具を用意してくれた。

頼さんと着付け

 折角なら、「日本語ひろば」の担当者三枝さんにも着て頂いた。

主催者側も楽しむことが大事

 浴衣の良さは、可愛い帯を結べることだ。結婚式とか、式たりの厳しい場所に来ていくわけではないので、「こうしなければならない!」
がない。まして、公民館から出ないので、「完全自由」である。
 和装の着方に煩い人が見たら、「いけません。年齢は相応です。」なんて言われるものでも締められる。
 和装が廃れていくのは、ひょっとしたら「伝統伝統」と昔のままでいるから、その文化がなくなるのかもしれない。
 文化とは、その時代時代で変化していくものだと思う。一方で口煩く「伝統」を保持しながら、一方で伸びやかに「変化」を楽しまないといけないと思う。

男帯と兵児帯が合わさった帯で

「日本語ひろば」のボランティア・磯野カツオちゃんも自分の浴衣を着てくださった。

江戸角出しに挑戦

 嬉しいことに、「日本語ひろば」のボランティアさんの殆どが浴衣を着てくださった。
 頼さんと一緒に気付けるのは、素早くできる。彼女は台湾の方なのだが、紬を上手に着こなし、所作も美しい。だから、鏡がなくても前が美しく整う。
 真愛は、着せる方の帯結びが被らないように「江戸角出し」に挑戦してみた。

予定の説明

 予定の説明・自己紹介がなされた。
 何と今日の男性軍は殆どが「日本に来て1〜2ヶ月」であるにも関わらず、しっかりと話し、しっかりと聞いている。
 この教室に参加しているのだから、「日本文化」が好きな事は間違いない。
 カッコよく着せたいと思った。

スタート 自分で…。
後ろの2人が偉い!
三人同時に
キーズの先輩も手伝ってくださった
男結び
片挟み
色の兵児帯と半幅?

 楽しんでいたのは、着せる方の真愛だった。

初めての草履・下駄

 この全ての写真を撮ってくれたのは、文化交流委員会の加藤さん。
 アングルがいい。
 浴衣の良さは、「下駄」でもある。
 真愛の外反母趾なんて、下駄を履いていたらならなかった。窮屈な靴(屈)ハイヒールを履いて過ごしたから、今痛いのだ。
 いかに、日本人が日本人じゃなくなって病気になっているかよく分かる。
 特記しておかなければならないのは、この写真家の加藤さんだ。
 真愛なんて「お願い!撮って!」と出たがりな困った奴だが、加藤さんは常に良いアングルから撮ってくれる。(こう撮ったら、いずれnoteやHome pageに使えるかな?)って考えて撮ってくださる。
 だから、沢山の写真の中に彼女が写っているものが一枚しかなかった。遊び方のフォローはするが、自分はやらない。
 裏方に徹するのだ。
 彼女が居ないとこのnoteは気持ちよく書けなかった。

夏の風物詩

 さて、下駄を履いて講習室へ。
 浴衣を着付ければそれで終わりなのだが、そこはお節介焼きの真愛なので、主催者側が用意してくれた「蚊遣り豚」と「房総団扇」の説明をしちゃう。
 しかし、英語が辿々しいので助っ人を頼む。
ボランティアさんが一緒についてくれたので「浴衣の尻っぱしょり」まで話してしまった。

お手玉が上手!
剣玉が上手
折り紙も上手
ヨーヨー釣りも
頼さんは一苦労

 沢山の日本の遊びを体験してもらうことができたようだ。

運営側も
参加する側も

 運営する側も参加する側も楽しいのが一番いい。
「楽しませるんだ」という意気込みはいいが、責任感でギチギチになって、その会の運営で手一杯になり自分が楽しめなかったら、「疲労」しか残らない。
 目的を「楽しませる」という使命感でやっていたら、靴を履いたように窮屈になる。そんな思いは、参加者にだって伝わるだろう。
 主催者側の目的が、「私の日本文化好き」を伝えたいと共に楽しむ目的にすれば、笑顔で一緒に活動できる。
 体力的に身体的には疲れが出ると思うが、その疲れは「心地よい疲れ」なのだ。
 一緒に活動した方から、
「今日は楽しかった!」
の一言が聞けたら、最高の喜びになる。
 いや、聞けなくても一緒に活動する中で、沢山の笑顔に出会えれば、嬉しい笑顔を返す事ができる。
 その笑顔の輪の中にいられることが「幸せ」なのだろう。

 無料で開催したから、その後の洗濯が大変だった。

 こんな日に限って、夕立なんか降るんだから…。
  どんなイベントも後片付けが大変。
 でも、またやりたくなっちゃうのは、
「楽しいからだ!」

 そうそう、写真家の加藤さんから、
《blogにupしたよ。》と早速連絡が来た。
 早い!(リンとヒメの散歩道で検索)

植えた人がいるという事


「楽しい」を支えてくれる多くの縁の下の力持ちに感謝して、生きなければならない事も、もう一度確認した。

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります