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会いたくて1373日

 東山魁夷の「黎明」ではないですが、朦朧とした鹿野山の麓に立って、また、厚洋さんを思いました。
 このコンビニで、タバコを買いがてら、ソフトクリームを買ってくれたんですよね。
 あなたが逝ってから、今日で1373日が経ちました。
   5月は、素数日が全くなかったので、すっかり忘れていましたが、6月は3回もあるのです。
 で、御免なさい。
 前回の1361日には、兄貴が泊まりに来てくれて、一人じゃなかったので嬉しくってnoteに書かずに終わらせてしまいました。
 本当に御免なさい。
 こうやって少しずつあなたを忘れていくようになると思うと、とても切ないです。
 あなたの素数日は、決まって良いことがあります。
 だから、世界にたった1日しか無い「厚洋さんが逝ってから〇〇日め」を数え始めたのに、
1361日めを忘れるなんて…。
 1373日めの今日は、しっかり思い出せました。
 いや、忘れるところだったのですが、どういう訳かメモ帳の整理をしていて気付きました。
 きっと、あなたが
「おい、おい。思い出せよ!
 まっ。いいか!
 思い出さなくても、
 いいこといっぱい。
 幸せいっぱい感じさせてやろう。」
って思ってくれていたのですね。きっと…。
 なんと、なんと。今日は、夏至です。
 孫のTちゃんのお誕生日です。
 Tちゃんは、昼間が一番長い日に産まれていたのですね。
 あなたが元気だったら、なんというでしょう。 
 雑学博士なので、
「北海道当別町の夏至祭を知ってるか?
 当別町の夏至祭は、北欧の夏至祭のように
 夏の到来を祝福するんだ。
 ダンスやグリーンコンサート、
 ミッドサマーウェディングなんて、結構な
 催し物があるんだぞ。」
と、北海道人のお手本のようなことを言うのでしょうか。それとも、
「白夜だよ。夏至っていえば、沈まぬ太陽だ。 
 お前の好きな山崎豊子さんの小説だよ。
 “沈まぬ太陽”
 白く輝く夜。サンクトペテルブルクの白夜。
 白い夜と書いて白夜。
 衰退が来ない。継続可能な…。だな!」
というのかもしれませんね。
 孫のTちゃんの幸せが、ずっとずっと続くように何とか屁理屈をつけて(良い方向に)良い日に生まれた事を知らせるのでしょうね。
 Tちゃんがもっと大きくなったら、おじいちゃんが言ってましたと伝えましょう。
 でも、今のサンクトペテルブルクの夏至の空はどんななのでしょう。
 ウクライナへのロシアの侵攻がまだ止まず、長い長い苦しみと悲しみの闇の中にいます。
 ロシアの人々だって、ウクライナの人々だって、どちらの国の人達も悲しい思いをしているのにね。人間って愚かですね。
 あなたが元気な時には考えられなかったことですね。
 いいえ、火種は燻っていたのです。
 戦争なんて、突然起きることはないのだと思います。ちょっとした小さな火が何方にもあって、それが気付かぬうちに静かに広がり、「突然」のように人を殺し始めるのです。
 自国の正義をかざして。
 サンクトペテルブルクの白夜は、夜通し夕焼け色に染まり、叙情味あふれるロシアのクラシック音楽の旋律のようだといいます。

 あなたは、白夜についても百科事典のようなことを言うのでしょうね。
「地球は一日に1回自転する。
 そのため地球のある地点では、太陽に向かい
 合う時が昼、太陽に背を向けると夜だね。
 自転が、昼夜を作っているんだね。
 地球は自転しながら1年周期で太陽の周りを
 回る公転もしているから、季節を生む。
 地球の地軸は傾いているから、
 北緯48度以上の高緯度では夏になると
 地球の地軸が太陽に向かってさらされ続ける。
 だから、白夜が起こるんだ。
 昼のように明るい夜、白夜だ。」
 真愛は、聴きながら、(行って見たい。)と思うんでしょうね。
 でも、誘っても
「俺は行かない。
 家でゆっくり飲んでる方がいい。
 お前行きたければ、チケット取ってやろうか」
っていうのでしょうね。真愛は、いつだって、どこにだって、あなたと行きたかったのに…。

 北緯48度を超える所。
 ロシア、カナダ、北欧。
 スウェーデンのストックホルムの北緯は約59度 
 フィンランドのヘルシンキが約60度。
 そして48度線までの間にノルウェーのオスロ、
 ロシアのモスクワとサンクトペテルブルク。
 明日、白夜を見られる都市。
 当然、緯度がずっと高いアイスランドやカナダのユーコンも白夜が美しいそうです。

夏至の夕暮れ

 夏至の夕暮れ、小雨が降って我が家のある鹿野山の麓は霞んでいます。
 あなたにソフトクリームを買ってもらったコンビニからこの景色が見えます。
 何処にも出かけられなくても、朦朧とした美しい夏至の夕暮れをみることができますね。
 ここで…。
 青田の中の白鷺が美しく悲しく感じるのはどうしてでしょう。
 こんな素敵な話を一緒にすることができる厚洋さんがいないからです。
 今日は素数日。
 あなたが沢山の思い出を置いていってくれたので、楽しく過ごすことができました。
 そして、あなたを思い出して、声を上げて泣きました。
 今日は素数日。

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります