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日向ぼっこは骨強化

 去年厚洋さんの元に逝ってしまったチャーちゃんが日向ぼっこをしていた場所でnoteを書く。
 紫外線にあたるとシミが増えると言われるが、骨が弱い真愛には大切な行為だ。
 身体の歪みの原因は「姿勢」だが、事故や怪我によっても、長い年月をかけて「酷い歪み」となる。
 真愛は、高校2年生の春、交通事故に遭った。
 信号機も横断歩道もない頃の市役所通りで、右から来た車に当たり、ボンネットの上に乗り落ちた。
 落ちた時か、当たった時か分からないが、右側の足を酷く打ちつけたらしく、右大腿部・膝・脹ら脛が腫れ内出血は身体の中で固まり、暫く治療を受けた。
 短大に入り体育の授業で、カッコよく側転・ロンダートをして着地に失敗して、膝を捻った。
 この捻挫の治療も長く続いた。
 教員になり、子ども達とマラソンをやったが、ロードレースになると膝の何処かが「カクッ」となる時があった。
 子どもを産み、産後の体重は膝足首への負担を強めていたが、本人は「ダイエット」を始めた。
 子どもが2歳の頃。勤務先小学校の体育館の出口で、階段から飛び出ていたマットの上を歩いて、右足首の骨3本全部折った。
 救急車も呼ばず、保健室で当て木をつけて、我が家の近くの接骨院に運んでもらった。
 レントゲンで見ながら、引っ張って骨を元の位置に戻し、石膏のギプスで右脚太腿から固めた。
 幼児もいて、車の運転ができない母に面倒を見てもらう為、入院往診してくれる骨継ぎの先生が良かったのだ。
 およそ一か月、足を上げて安静。
 ギプスを外した時は、右足の筋肉は全くなくなり、棒のようになっていた。布団のような柔らかい所を歩くことすらできなかった。
 人は筋肉で動くのであって、骨で歩くのではない。筋肉が衰える衰えさせるのは簡単で、動かさなければ良いのだ。
 ここあたりから真愛の身体の歪みは深刻になって来ているのに、本人は気づいてなかった。
 母に
「貴女、猫背になって来たんじゃない?」
と言われ、
(出産前から太って胸が大きくなったこと。
 いや、高校の頃から胸が大きかった事を
 恥ずかしく思って、背中を丸くして歩いたこと
 この2つが猫背にして来たかな?)
と思ったが、直す気は無かった。
 右足も背中も歪んでいたのだ。
 その後、何度も骨を折った。
 サッカーのスライディングタックルで…。
   相撲をやって投げた後の捻りで…。
 窓掃除を事務椅子でやっていて落ちて…。
「お前は本当によく骨を折るよな。
 うちの家族で骨を折っていないのは
 俺だけだ。」
と厚洋さんに言われた。
 食生活もダイエットを繰り返したので、骨には良くなった。
(厚洋さんは、カルシュウムやビタミンDを
   含んだ食品を朝食にてくれたのに…。)
 右足を庇いながら動いたり、歩いたりするので、変な力が左足にかかる。
 よせば良いのに15cmのハイヒールを履いた。
 悲鳴を上げた身体は、ハードリングの師範をしていて「左足前十字靱帯断裂」を起こした。
 左足にはその時のボルトが身体の一部になっている。
 動けなくなった身体でも、体育の授業になると気持ちだけが動かしていまい激痛が走った。
 右足は「膝関節変形・外反母趾」の病名を頂いた。
「歪んだ身体」が痛いので運動を控える。
 運動をしなければ筋肉は衰える。
 筋肉が衰えるから、代謝が悪くなって太る。 
 太ると生活習慣病になる。
 太ったと言ってはダイエットをする。
「負」のスパイラルにハマってしまう。
 心まで「歪んでくる。」

日向ぼっこしながらnote

 厚洋さんを荼毘に付した時、火葬場の方に
「この方のお骨は立派ですね。
 脛骨も大腿骨も骨頭まで美しい。
 こんな美しいお骨を見たことがありません。」
亡くなった厚洋さんの骨を褒められた。
 妙な気分になったが
「お前はよく骨を折るな!
 俺は折ったことがない!」
 要するに、「歪んでいない。」のだ。
 確かに、根性の曲がっていたのは真愛の方だったと思う。
 それに、お酒も煙草も辞めなかったが、退職してからは、「日向ぼっこ」をしながら、チャーちゃんのブラッシングを良くしていた。

日向ぼっこ

 年寄りが日向ぼっこをしていると、優しい気分になる。
 それは、全ての「歪み」から解放されているからだろう。日向ぼっこを楽しめる「心」と「時間」のゆとりがあるからかもしれない。

 昔々の「小さな歪み」が体全体を蝕んでいくのだ。「歪みの負の連鎖」を断ち切るためには、より良い「日向ぼっこ」と「運動」なのだ。
 そう言えば、厚洋さんはプールには行かなかったが、チャーちゃんのブラシングのあとストレッチや腹筋運動・ダンベル運動をやっていた。

チャーちゃん乗っけて腹筋

 にも関わらず、真愛より先に逝ってしまった。
 彼の「歪み」は、
 内蔵器の異常を発見できなかったこと。
 病院嫌いで健診を怠ったこと。
 それは、「歪み」ではなく、肺の「汚れ」腸の「汚れ」だったのではないかと思う。
 歳を取ったら、「歪み」も「汚れ」も「錆」「黴」も酷くなるのは、当たり前のこと。

 のんびり「日向ぼっこ」をしながら、少しでも「心の歪み」を取り除いて、火葬場の方に
「立派な心の方でしたね。」
って言ってもらえるようにしなくてはと思うが、
「骨」は焼いても残るけど、
「心」は残らないよなあ。

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります