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絶好腸

 30年前に教えた楽しい男の子がいた。
 祐介君は、今はもう九州に行って、いいお父さんになっている。
 その子がよく校長先生に向かって
「よっ!校長。絶好調!」
と言って笑わせていたことを思い出した。
 そうだ。
 人間が絶好調の体調を保つためには絶好腸でなければならないのだ。
 腸は、生命の源とも言われるという。
 生命維持に欠かせない重要な役割を担っている。
 人間は1つの受精卵から細胞分裂を繰り返して胎児になるが、1番初めにできる器官は腸なのだそうだ。
 小腸は「十二指腸」「空腸」「回腸」と言う3つの消化器官の総称であり、その長さは約7メートル・表面積はテニスコート1面分ほど。この腸で胃でドロドロになった食べ物をさらに消化し、食べた物の約9割の栄養素を体内に吸収している。
 大腸は約1.5メートル「盲腸」「結腸」「直腸」に分けられる。
 ここでは小腸から運ばれてきた残りの食べ物の水分とミネラルを吸収し、残ったものを最終的に便として体外に排泄する。
 腸にはこうした消化・吸収・排泄の機能に加え、体内の70%の免疫細胞が集中していて、細菌やウィルスなどの外敵から体を守る働きもあるそうだ。
 さらにホルモンの分泌や合成、全身の代謝に関わっていて、私たちの健康の土台である。
 以前、脳が腸を動かすのではなく、腸が脳を動かすなんて言う話も聞いたことがある。
 腸が悪かった。厚洋さんを考えるともっと腸を大事にしてあげればよかったと思う。
 さてこの腸の働きのカギとなるのが「腸内細菌」。
 腸内には、約1000種類の約100兆個以上、重さにして約1から2キロの「腸内細菌」がいると言う。
(宿便ではない腸内細菌がいるんだ。 
 それも、2キロも!)
 腸内細菌が腸壁にびっしりと種類別に分布している様子が、まるで花畑のように見えることから、腸内フローラと呼ばれるそうだ。
 腸内細菌が豊かだと、互いに助け合い体の様々な要求やアクシデントに対応することができる。
 更に、腸内細菌のバランスを整え、全身の健康に栄養を影響を与える物質として注目されているのが、「短鎖脂肪酸」
 植物繊維やオリゴ糖が腸内細菌によって分解する際に、生み出され腸内に有害な菌が増えるのを抑制したり、便秘や下痢を改善したりする免疫機能の強化アレルギーの抑制代謝の活性化、血糖値に関するホルモン、インスリンの分泌の調整、肥満や糖尿の予防…。
 何しろ全身の健康に素晴らしい影響与えるのは、この腸内細菌のバランスを整えることなんだ。
 「短鎖脂肪酸」のことなんだ。
 腸内フローラのバランスが崩れると短鎖脂肪酸が少なくなり、下痢や便秘、肌荒れ、肥満などの不調を引き起こす。免疫力が下がり、潰瘍性大腸炎や大腸がんのリスクが高まる。
 まさしく、厚洋さんの腸内だったのだ。
 彼は大腸癌で具合が悪くなったのだ。
 腸内フローラのバランスが崩れたと言うことだが、考えられない!
 彼の食生活は良かった。
 腸内環境は食生活の影響受ける食生活を改善すると、最短で2週間平均4週間で腸に良い変化が見られると言う。
 腸を整えるためにも最も重要な栄養素が食物繊維、腸内細菌の餌となり、短鎖脂肪酸を増やすことになる。
 日本人は食物繊維の摂取量が低いと言われていて、女性で食物繊維の摂取量が極めて少ない人は最も多く摂取している人に比べて、大腸がんのリスクが2倍と言う研究があるらしい。  
 男性も同じなんだろうが、でもおかしい。

 食物繊維には水に溶けやすい水溶性と溶けにくい不溶性がある。
 水溶性は、わかめ、なめこ、納豆などのねばねばした食材や大麦などに多く含まれる。
 便を柔らかくしてスムーズな排便を促す。
 不溶性は、豆類、イモ類などに多く含まれ、便のかさ増しや腸の蠕動運動を促すことで便秘を改善する。
 動物性植物性などの食物繊維もあるが、最近特に注目されているのが、「発酵性の食物繊維」腸内細菌によってより効率的に短鎖脂肪酸を作ることができる。
 発酵食品とは異なる「発酵性食物繊維」を多く、取るには主食の選び方が重要で、白米より玄米や雑穀、白いパンより、全粒粉の食パン、白より茶のものにすると効率よく摂取できる。
 ご飯を炊くときにもち麦を混ぜることも良いそうだキャベツやレタスなどの刃物野菜よりも根菜類に多く含まれているという。
 様々な種類の食物繊維を摂取することが大切なのだ。バランスの良い食生活が腸のバランスを保つことに直結する。
 おかしい!
 味噌や、納豆、ヨーグルト、などの発酵食品も大切。
 これらの食品を摂取すると、腸内が酸性に傾き、腸内細菌のバランスが整うから…。
  しかし、発酵食品に含まれる菌は、腸内に定着しないため、毎日摂取するようにする。
 加熱処理で死んだ状態の「死菌体」でも免疫に良い影響を与えると言われている。
 オリゴ糖も食物繊維と同様に短鎖脂肪酸を作る腸内細菌の餌になる。
 玉ねぎ、バナナ、大豆、蜂蜜に含まれる。
 食事の際にはよく噛むことを心がけ、よく噛まないと胃腸に負担がかかり、腸内環境が悪化する。
 また肉、脂肪、砂糖を食べ過ぎると腸内で悪い菌が増えてしまう。
 穀類、野菜、魚なども意識して食べる。
 お酒の飲み過ぎも腸内環境を悪くするので幼注意これだ。
「何が変」かと言うのは、この話を聞いたときに理想的な朝食の写真が載っていた。

厚洋さんの作ってくれた献立の一部


 それは厚洋さんが作ってくれた朝の食事の御膳と全く同じだったのだ。
 焼き鯖があり、大根おろしがついていて、玄米のご飯に、わかめのお味噌汁、ほうれん草のおひたし、納豆にはネギがかかっていて、きんぴらごぼうが付いている。更に、糠漬けの野菜があり、メカブなんかも付く。
 バランスの良い食事をとっていたのだ。
 非常に良い食生活をしていたにもかかわらず大腸がんにかかった。
 だから、おかしいと思った。
が、最後でわかった。
 彼はお酒の飲み過ぎなのだ。
 タバコの吸いすぎなのだ。

 毎日夏日が続く体がだるくなる。
 そんな時にこそ腸整えて夏を元気に過ごさなければならない。
 発酵性食物繊維を多く含む食材を取る。
 短鎖脂肪酸を元気にさせるような植物繊維を摂る。
 こんな情報を早く知って、若い頃からお酒とタバコをやめていたら、もっと長生きをしたのだろうなあ。
「無理だよ。
 タバコが吸えない、酒が飲めないなら、
 俺はストレスでもっと早く死んでる。
 お前は酒は飲めない、タバコも吸わない
 俺が良い食生活をさせてやってだんだから
 長生きしろよ。
 墓守も家守りもするんだろう?
 一人だからって、
 適当な食事作ってんじゃないぞ!」
 今日は、彼の命日である。
 お説教しに真愛の所に来てくれたようだ。

陰膳

 暫くぶりに彼の朝食に似た料理を作って陰膳をした。
 準備・料理・食事・片付けで、1時間はかかる。こんなに大変な事を43年も続けてくれたのだ。(途中ダイエットと称して朝食を抜いたこともあるが…。)
 真愛の身体は厚洋さんが作ってくれたものだ。
 感謝感謝である。
 で、バランスの良い食事とは、早食いができないことも分かった。
 真愛婆さんは、食生活の改善^_^しなくてはならない。

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります