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高齢者講習

 ついに高齢者講習を受講した。
 数ヶ月前に高齢者講習の予約を取り、いろいろな人から情報を聞き、
(歳をとるのは嫌だな。
 めんどくさい講習で、もし落ちたら嫌だな。 
 できなくなっている自分がはっきりとわかる
 んだろうなぁ。)と、テスト嫌いな真愛はドキドキしながらこの日を迎えた。
 講習会場に15分前に行くと8人席はほとんど埋まっていて、真愛は最後から2番目の入室となった。
 私と同じ歳ぐらいな人が集まっている。
 その方たちの顔を見て、自分もこんな年齢なんだと思って見たり、私の格好からすると結構若い方だと思って見たりした。
 いや格好だけではない。
 講習年齢から考えるとまだ70歳と言うのは若い方らしい。
 どの人も講習が嫌いなんだろう。
 喫茶店で初めての人に会ったように挨拶をすることはなかった。
 ドキドキしてると言うこともあるかもしれない。
 お友達と一緒に来ていた人は様々に話していたが、内容は『やっぱりめんどくさいね。』
『でも来なければ取れないんでしょう。』
 真愛の心の中と同じようなことを話していた 
 この日の日程は、講義1時間、検査そして実車、まとめの話があって、合計2時間の講習時間となる。
 最初のテキスト座学講習では、なかなか良い話が聞けた。
 千葉県の交通情勢について話してくれて、死亡事故も多いワースト3位に毎年入る県だという。昔と変わりはない。
 高齢者運転者の事故も多い。
 なかなか良くない状況のわが町だった。
 千葉県の免許人口はおよそ4,000,000人。
 そのうち高齢者は850,000人程度。
結構な人数である。
 全国では高齢者が1885万人(全体の23%)近いとも言われた。
 高齢者の事故も多発している。
 テレビで報道するのは見せしめのためと思っていたがそうではない。事実なのだ。
 高齢者の多くの事故は1番多い。
✖️出会い頭の事故だそうだ。
 加齢に伴う視力の低下により信号機や道路標識を見落としやすくなると言う。
「交差点付近では寄り速度として安全に通行す
 ることを心がけてください。」と言われた。 
「交差点を通過するときは、左右から車や自転
 車歩行者が来るかもしれないという予想もし
 てください。」
 確かに、このnoteにも書いたが、外車の爺さんの運転が荒い。
 コリジョン交差点現象と言って見通しが良い交差点でも相手が見えなくなると言うこともあるそうだ。農道なんかを走っているとそれに遭遇するという。
(見通しのいい交差点に潜む危険
「コリジョンコース現象」
 ドライバーが相手のクルマが近づいていたこ
 とに気づかない、止まって見える現象の事」
✖️2 =追突事故。
 前の車がいつ停車しても対処できるよう適度な速度と車間距離を保ってと言うのがなかなかできないらしい。
 よく言われるアクセルとブレーキを踏み間違えて、突っ込んだというやつだ。
✖️3番目は思い込み・ゆとりが無い
 右折の事故対向車の速度は遅く遠くに見えやすいもの通過するまで待つ。
「行けると思った。」「大丈夫だと思った」
 要するに判断力の低下と運動機能の低下である。
「ゆとりを持った運転をしてほしい」と言う。 
 急げば右折できると思った時は、もうすでに事故だという。
 高齢者の特徴として視力が弱まることで周囲の状況に関する状況を得にくくなる。
 とっさの判断に適正さを欠く、反射神経が鈍くなることにより対応が遅れる。
 体力の衰えから運転操作が不適格になり、長時間の運転が難しくなる。
 交通環境を客観的に把握することが難しくなる。
 なんだかみんな聞いていて納得してしまうことだった。
 さらに70歳以上の運転、免許証の更新手続きについて触れられた。
 最も悲しくなった。
 免許証の更新の改訂、高齢運転者と免許制度が変わる。
 令和4年5月13日施行だったそうだ。
 75歳未満は高齢者講習を2時間受けて免許更新となる。(今日がそれだ。)
 ところが75歳以上になると、今日受けた2時間+認知機能検査があると言う。
 ちなみにプールで会うご高齢の方が受けてきたとおっしゃるテストである。
 15個以上の何かを見てしばらく経って思い出して書き出す。なんてテストも入る。
 認知症の恐れ無しならば免許更新になる。
 勿論、運転技能検査も入る。
 特に、11類型違反があった場合は、更新時でなくても受講が義務づけられる。
 不合格だった場合は繰り返し受験し期限内に合格しないと更新は不可ということらしい。
 繰り返し教官は言っていた。
「11型の違反とは、特に横断歩行者等妨害
 とか踏切不停止とか安全運転義務違反とか」
 なんだか11ある。
 その中で、1回でも違反をするとその時点で免許センターに行って、受講と実車テストらしい。
 臨時認知機能検査の対象となる違反行為の中の16番目に指定場所一時停止違反だ。
 これがダントツの違反だそうだ。
 そうなると臨時高齢者講習を受けなきゃいけなくなるんだそうだ。
「75歳以上過ぎたら、
 絶対に違反しないでくださいよ。」
と言われた。

座学講習


 座学のほうは(本当に加齢は怖いな)と思った程度だった。
 1人ずつ実車テストをしていく間に残りの人たちは視力検査をする。
 初めてやった検査もあった。
 視野測定→75度と85度だったので160度。 
 まぁまぁの見所だが、若い頃の真愛は190度くらい見えていたような気がする。
 2つ目にやった夜間視力測定。 
 これは初めての経験だった。
 何秒か視力検査のランドルト環「C」を見た後、真っ暗闇になって、その形が見えて来たら空いている方向をチェックする。
 小さく見え始めてくる。真愛は両眼で45秒。判定は普通・やや注意の段階だった。
「良い方ですよ。」と言われたが、真っ暗になってから見えてくるのに45秒もかかったら、対向車のライトに幻惑されたら大事故になってしまう。
 最後に動体視力測定をしてもらった。
 30キロメートル平均は0.1これもなかなか目の力が落ちていると思う。
 この視力検査をした後が一番(自分の体が本当に歳をとってきているんだ)と言うことを感じた。
 高齢者講習、まだ元気だから大丈夫と思わずに、自分の体を知るために必要なことだと思った。

動体視力検査


 さらに最後の実車!
 最初に普通免許を取ったときの教習所だったので懐かしい感じがしたが、凄く狭い感じもした。
 そこで30キロを出す。
 短い距離で30キロを出すことが最初は難しかった。2回目の時は踏み込みすぎて出しすぎた。
 歩行者がいた歩道で待つこともできた。
(なかなかいいじゃん!)と思って教官に
「この教習所で2輪も取ったんですよ。」
なんて話をしていたら、一時停止違反をしてしまった。
 気がついたときには50センチ程度、車の鼻先が停止線から出ていた。
 最後の乗り上げも何とかできたが、自分の車では無いのでポールまで5cmでストップ!
 昔の自分では無い事。
 過信は禁物という事。
 これから、この講習でやったことを生かして安全に車を動かし生活しなければいけないなと思った。
 何せ、山の中の我が家である。
 車がなければ餓死することを意味する。
 何もできない。
 車は最低限の必需品なのである。
 無人島に行くのと同じなのだ。
 講習終了の証書をもらった。

 数日経つと免許の更新の手紙が来るようだ。 
 話では、もうしばらくすると80歳で運転免許の強制返納になるかもしれないと聞いた。

車と我が家

 厚洋さんとの思い出の我が家。
 ここに住むためには、
     この車が無かったら…。

悲しくて切なくて堪らない未来にベッタリとハンコを押された気がした。

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります