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冬が来る

「霜降」は、季節の指標である「二十四節気」の18番目の節気。
「早朝に霜が降り始める時期」という意味。
2021年は10月23日(土)〜11月6日(土)、2022年は10月23日(日)〜11月6日(日)。

 草木や地面に霜が輝き、足元が冷える季節が到来、どころではない、もう雪が積もっているところもある。霜降よりずっと早い。
 つぎの24節気は、「立冬」冬が来るのである。
 もうすぐ白い冬♫って厚洋さんが歌ってた曲はなんていう歌だったかな?

オフコース の「さよなら」って言う歌だった。

もう 終わりだね 君が小さく見える
僕は思わず君を 抱きしめたくなる
「私は泣かないから このままひとりにして」
君のほほを涙が 流れては落ちる
「僕らは自由だね」いつかそう話したね
まるで今日のことなんて 思いもしないで
さよなら さよなら さよなら
 ーもうすぐ外は白い冬ー 
愛したのはたしかに君だけ
そのままの君だけ

愛は哀しいね 僕のかわりに君が
今日は誰かの胸に 眠るかも知れない
僕がてれるから 誰も見ていない道を
寄りそい歩ける寒い日が 君は好きだった
さよなら さよなら さよなら
 ーもうすぐ外は白い冬ー
愛したのはたしかに君だけ
そのままの君だけ

さよなら さよなら さよなら
 ーもうすぐ外は白い冬ー
愛したのはたしかに君だけ
そのままのきみだけ

外は今日も雨 やがて雪になって
僕らの心のなかに 降り積るだろう
降り積るだろう

 厚洋さんも人前で手なんて繋いでくれなった。 
 でも、寒い夜のお迎えの帰りは、彼のポケットの中に手を突っ込んで歩く。
 諦めて一緒に入れてくれる厚洋さんの手は大きくて暖かかった。

 真愛と厚洋さんが別離を迎えたのは死である。 
 だけど、「さよなら」には変わりない。
 彼が亡くなって1133日。
 もう、彼の死を認めなくてはいけなくなったのだろうか。
 いや、駄目だ。厚洋さんの手の温もりを思い出して、また会いたくなってしまった。

 真愛は、厚洋さんの手が好きだった。
 沢山のことをしてくれる手。
 いろいろなことを教えてくれた手。
「真愛は、俺の大事な嫁さん」
と握ってくれた手。

 霜降の季節に「さよなら」の歌を思い出させてくれたのも「縁」。

 寂しがってる真愛に、厚洋さんが優しい手を思い出させてくれているのかなとも思う。


 このひとつ前の節気は「寒露」で、寒くても凍っていない「露」だったが、霜降では凍って「霜」になるのだ。
 冷え込んだ早朝にキラキラ輝く霜は、なんとも美しいが、最近は霜が溶けた頃に起き始める。
 ひとりの夜も、ひとりの朝も寂しい。
 厚洋さんがいないので、朝の準備も夜のおつまみも作らなくていいのだが、寂しい。

 厚洋さんがいれば、「立冬」前に秋の味覚を堪能しようと食材を揃える。
 松茸の土瓶蒸しやいくらの醤油漬け、秋刀魚の糠漬けも用意した。
 秋の味覚ではなく、冬の用意をしたのだ。
 義母から教えてもらった「切り漬け」を2人で「あゝだ、こうだ。」と言い合いながら漬け込んだのも楽しい「霜降」の頃の年中行事だったのだ。

 リビングのガラス窓に断熱シートを貼った。
 厚手のカーテン、断熱のレースカーテン、そして、断熱シート。
 灯油ストーブも出した。

 もうすぐ白い冬。
 ひとりの夜はいっそう寒い。

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります