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636日 会いたくて

636日め。会いたくて泣いた。
もう泣かないと思っていたのに
           身悶えして泣いた。
           声を上げて泣いた。
100万回生きたトラ猫のように泣いた。

 厚洋さんとの思い出を忘れないように
              noteに書く。

 世の人からは、馬鹿な女だと言われるかもしれないが、亡くなった厚洋さんにまだ会いたくて、思い出を辿っては、泣いている。
 出版した本にも書いたが、ページに限りがあった事と書いた時期には思い出せなかった事が今になって溢れてくる。
 愛しい人を亡くした方は同じ思いをしているのだろうなあと思う。
 日記やメモにその思いを綴っている方も多いと思うが、真愛は敢えてnoteに書いて読んで貰いたいと思う。
 真愛という人間が、厚洋さんと言う人間に恋をし、共に生き、置いていかれて「切ない」事を知ってもらいたい。
 今、あなたに愛しい人がいるならば「自分を大事にして、元気でいなければならない」ことを考えて欲しい。
 どちらも死んではいけない。 
 機会があったら「手紙 息子へ Vol 2」としてnoteに書かせて頂こうと思っていたが、なかなかその話題にならないので、たくさん泣いた日に涙でくもる画面を見つめて書く。

  ーきっかけー 
初めての手紙をくれたのは彼。
  教育実習最後の授業。「レンズの働き」 
  曇って太陽が出ない。OHPが太陽。
  理科室のヒューズが飛んで大失敗。 
  出張する彼から手紙をもらった。
  「いい教師になる。俺が保証する
         応援するから頑張れ!」
  教員になる決心をした。  

初めてのプレゼントは真愛から  
  教育実習でお世話になった先生方に
  保育所のバイトで貯めたお小遣い
  先生方へのお礼の一つ
  彼には「灰皿」
  彼の健康より 彼の笑顔が見たかった

初めての手料理を食べて貰ったのは
  市民体育祭の昼休み
  先輩のために持って行ったお稲荷さん
  先輩の彼女の方が上手で
  真愛のゴロゴロお稲荷さんは
  売れ残り…。
「美味いじゃん。」って
  男の人に行って貰ったのは
  厚洋さんが初めて。

同じ団地にお引越し
  引越しのご挨拶は、お素麺。 
  浴衣を着て玄関のお掃除。
  打ち水をしていた
  「ああ。」ってしか、言わなかった人。
  彼は亡くなるまで素麺好きだった。

初めてのお誘いは彼から
  ボーナスの入った日。
  真愛は、お友達とお買い物。
  彼はお友達と飲み歩き。
  誘われたけどお友達がいるので断った。
  「電話はあるか?」と尋ねられた。

初めての電話は彼から
  「オイ。お前のうちにバターは有るか?」
  「フランスパン買ったから持ってくぞー」
  有無を言わさず、訪れた。

涙を拭いてあげたのは真愛が最初。
  大阪の彼女に電話をかけた。
  振ったか、振られたか分からないが
  怒鳴って電話を切った彼
  飲みすぎたのか切ないのか
  電話の横のベッドに倒れ込んで寝た。
  彼の瞼に涙が溜まっていた。 
  男の人の涙を初めて見た。 
  切なかった。
  拭わなければいられなかった。
 人は「それは計画的だった」と笑う。

初めての姫様抱っこをしてくれたのは彼。
  彼にベットを取られた真愛は、
  炬燵でお仕事。
  仕事しながら眠っちゃった
  気がついたら「お姫様抱っこ」
  襲われたら、パンチの準備…。
  ちゃんと寝かせて
  オデコにチュッして帰って行った。


くちづけを迫ったのは真愛。 
  一年ぶりのスキーに行った。  
  遠恋の彼には、許嫁がいた。
  振られて狂って男遊びを考えた。
  厚洋さんにお土産買った。 
  彼の顔を見たら、泣けてきた。
  「正直」に全てを話して泣き続けた。
  ウィスキーを飲みながら
        ギターを一晩中弾き
  黙って全部聞いてくれた。
  髪を撫でられ彼の膝で夜を明かし
  帰り際に真愛から
  迫った「キスして」って

真愛の初めての男は彼。
  キスをしたらそのまま彼のベットへ
  遊び男が
  餓鬼んちょ相手に本気になった?
  恋愛体質を目覚めさせたのは彼。
  離れられなくなったのは真愛。
  職業忘れて、毎日通った。

初めて人前で手を繋いで歩いたのも彼。
  夜中から出かけた初詣。
  真愛は、振袖。彼も和服。
  暗い道を手を繋いでくれた。
  夜店が並ぶ参道もずっと手を繋いでた。
  人前で「好きな人」と言える幸せ。

別れようと言ったのは始業式前夜の彼。
  「評判の悪い俺といると
   お前まで悪くなる。
   お前には俺じゃない方がいい。」
   と言ったのは彼。

「嫌」と駄々を捏ねたのは真愛。
  「別れたくない。正直に生たい。
   好きな人の子どもが産めるのは幸せ
   一人で育てるから大丈夫。」
   と言ったのは真愛。

「嫁になるか」と先に言ったのは彼。

初めての彼からのプレゼント
  彼がしていたカーテンレールのような指輪
  嬉しくって、休みの日にはしてたけど
  女の話しで焼きもち焼いて
  ハサミで切って、粉々に
  306号室のベランダから
  飛ばした。
  純金だった。

初めての喧嘩は、昔の女の人の話。
  「昔の女の人を好きでもいい。」って
  心の広さを見せたけど、
  やっぱり「私を好き」って言って!」 
  彼は真愛を愛してくれたのに
  真愛は、思い出しては
  焼きもち焼いたし、疑った
  自信がないから、疑った。
  喧嘩して、一人で夜道を歩いたら
  痴漢未遂にあって大騒ぎ、
  「俺から離れるな」と言ったのは彼。

それでも
  「昔の女の人が寝た腕」
   と言って困らせた。消毒したのは真愛。それでも
  「貴方が好き」と抱き着いたのは真愛。 
  「お前が1番」と言ってくれたのは彼。

愛してる」と言ったのは二人。 
  何時も、抱き合ってた。
  彼に嫌われたくなかった。
  彼の色に染まりたかった。

人のために尽くす幸せ。
人のために尽くす大変さ。 
  外に出ては才女の如く
  厨に有りては女中の如く
  褥に入りては娼婦の如く
 「酒の一滴は血の一滴。 
    俺の友達は、お前の友達。 
       俺は給料は入れない。」
  厚洋さんが喜んでくれるなら
       それでいいと思った。    

結婚2ヶ月。
「貴方の女中じゃない」と言ったのは真愛。「あるがままのお前でいいんだ。」
            と言ったのは彼。
でも、ずっとずっと
  厚洋さんが喜んでくれるのが
            一番嬉しかった。

「頑張って、偉くなれ」と言ったのは真愛。
  真愛から見れば賢くていい教員だった。
  無口で、協調性がなくて、無愛想。
  読書家・研究熱心・平等・博愛
  子供のことを考えるいい教員だった。
  彼の良さを認めない人の方が多かった。
  真愛は、悔しかった。
「一生、一教師でいたい」と言ったのは彼。

「本を書いてる貴方が素敵」
         と言ったのは真愛。
「死んでも残るものが書きたい。」
         と思ったのは二人。
  真愛がやりたいことは全て許してくれた。  
  厚洋さんがやりたいことは
         全て素敵なことだった。
人として、教員として
  同じ考え方で
  同じ方向を向いて進んだ
  同士でもあった。

言うことを聞いてくれなかった事も山程あった
  ダンスは踊らない。
  嫌いなものは手もつけない。
  歯を見せて笑わない。
  スーツを着ない。
  タバコをやめない。

ー病院に行ってくれなかった事ー

真愛が退職した日
  「感謝」と書いたカードと時計を貰った。
      新しい二人の時を刻むためにと。

穏やかな不安なときを刻み始めた。
  彼は、病について黙っていた。
  気づかない、
  気づかないフリをする真愛がいた。

若い頃のように、泣いて駄々を捏ねて
  「病院に行って!」と言ったのは
  手遅れの時だった。 
  「maaの為に治さなくちゃ」と
  思ってくれた時は、手遅れだった。

「一番好きだった。誰よりも好きだった」
            と言ったのは真愛。
「お前が一番!愛してる。」
          と言ってくれたのは彼。 
「命がけ」で看護したのは真愛。
「命をかけて愛してくれたのは彼。
      「命がけの恋」をしたのは二人。

彼と一緒に焼かれたかったのは真愛。

「貴方の名誉を守る」と誓ったのは真愛。 
「彼の生き方の素晴らしさを残したい。」
「貴方になって貴方のやりたかったことを
 やる。」
「私は彼です。彼の心で生きています。」

 ようやく涙が枯れてきました。
 今日も厚洋さんを思って
         生きていけます。

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります