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住み難うございます!

 何十年も前にカッコいい男性歌手が!耳に手を当て
「何もかもが、住み難うございます。」
って語ってから歌い始めた歌があったのを思い出した。

 教員をやっていた真愛は今だに、教員の不祥事ニュースを聞くとゾッとする。
 教え子たちに会うと
「先生。
 今だったら、即、首だね!」
と言われる。
 セクハラ教師・パワハラ教師・モラハラ教師、ジェンダーフリーを解さない教師…。
  枚挙にいとまがない。

 近くの病院に薬をもらうために診察を受けると、血圧を測ってくれた看護師さんに
「先生をやってました?」
と尋ねられた。
「はい。
 この地区の小学校で…。」
「ああ。そうでしたか。
 子どもは教わってはいませんが、
 怖い先生だと言ってました。」
 測られている血圧計が、ドーンと跳ね上がるほど恥ずかしかった。
(それでも血圧123の70で正常。)
 そう言われたら決まっていう言葉がある。
「今の時代で先生やってたら、
 直ぐ首ですよ。
 教え子たちによく言われます。」
と。
 当然笑いながらいうのだが、心底『今の教育界ではやっていけない』と思う。
 当然、厚洋さんも同じだ。

 選手養成の水泳指導で、泳ぎ足りない子に向かって竹刀を持って待ち構え
「後、50!」
と怒鳴ったという。
 その当時、彼はまだ新任。
 北海道から来て、水泳なんて全くできなかっ
 たのに…。
 市内水泳大会で連続優勝の学校に赴任してし
まったので、親からの期待も大きく焦りもあったのだろう。
 お昼になるとその子たちに近くの食堂でラーメンをご馳走したという。
 彼の教え子たちは、決して彼を悪く言わない。「怖い」「型破り」「変わってる」でも
「先生が好きだった❣️」と言ってくれる。
 無理な練習で速くなるはずがない。
 でも、子どもにより良い力をつけたかった思いに偽りはない。

 真愛だってそうだ。
 新任は熱血教師だった。
 市内の大会では勝たせたかった。小さな学校でも大きな学校に勝てる力を持っていると知らせたかった。
 当然、子どもたちの優れた能力は分かる。
 だから、苛立った。
 能力があるのにもっと真剣にやれば…。
 ソフトボール選手の練習のデレデレ感に
「デレデレするじゃない。
 もっとダッシュ出来るだろ!
 私について来い、私を抜いたら上がりだ。」
 苛立った私は、水も飲ませず何十周も走らせた。
 子どもより一緒に走った自分の方が熱射病(当時はそう言った)になって倒れた。
 大馬鹿である。
 真愛も厚洋さんも食べ物で人を釣るのが似ている。真愛は、バスケ部の時はかき氷。サッカーの時は肉まん。合唱部の時は飴で釣った。
 そんなんだから、陰口もたくさん言われた。
 自業自得だと思うし、申し訳ない。
 しかし、今だに「先生❣️」と思って一緒に付き合ってくれる教え子たちもいる。
 良い時代だっのだ。
(良い子どもたちであった事に感謝である。)

 そんな事を思い出してしまう中で、以前見た「変な昔話・桃太郎」の話をしてしまった。
 このnoteにも書いたが、桃太郎が鬼退治をしない話だ。
【鬼たちは、猿・雉・犬の叫び声の騒音に困り
 宝物を返す】お話である。
「おかしくないですか?」
「今は難しいね。
 健康診断の診察だって考えものなんだよ。」
とおっしゃる。
 真愛を怖い先生と認識していた看護師さんも
「変ですよね。」
 その後、数秒、昔の先生に叩かれた話に花が咲いた。 
 真愛も小中学校で平手打ちをされたことがある。我が家でも悪さをすれば、母の平手打ちが飛んできた。
 今なら虐待として、児童保護の観点から真愛は大好きな母親と離れ離れにされてしまうのだ。(今の時代に生まれなくて良かった。今の時代に生きてはいるが…。)
 お尻を叩かれるなんてしょっちゅうだった。
 考えたら、真愛は結構悪い子だったのだ。

 診察室での話はそれだけ。
 だが会計までの間に「学校医セクハラ問題」をリサーチして驚いた。
[小学校等で行われる健康診断を巡り、
 時代の変化が小児科医達を悩ませている。
 健診では衣類を脱がせて異常が無いかを
 確かめたり、気になる部分に触れたりする
 必要が有る。
 しかし、こうした行為に対して
「セクハラを受けた」等と過剰に反応する
 生徒が増えているというのだ。

 一方で、学校健診の場を利用して盗撮等の犯
 行に及ぶ不届きな医師が存在するのも事実。 
 犯罪は許されないが、必要な健診については
 全国一律の基準を設ける等、子供達も納得す
 る方法での実施を検討すべきだろう。]

 どんな職種にも良い人もいれば、犯罪と知ってそれを犯す悪い人もいる。
 それらが全部ではないのに、一人が問題行動をすると「全部がそうだ」と思ってしまう。 
 それによって、一生懸命に良き事を考えて活動して来た人たちまで悪者になる。
 それが怖くて、熱い思いを持っていても無難な事をして終わりにしてしまう。
 そんなんでは、世の中良くならないと私は思う。
健康診断で触診したら「セクハラ?」ですか。
 子どもの健康を気遣ってしている事なのに、
【だったら、辞めちゃえ!】
とケツをまくりたくなる。

 思い出した。
 男性歌手は鶴田浩二さん。
「傷だらけの人生」

厚洋さんがよく歌ってた


「古い奴だとお思いでしょうが…。
 古い奴こそ新しいものを欲しがるもんで
 ございます。
 生まれた土地は荒れ放題、
 今の世の中、
 右も左も真っ暗闇じゃござんせんか。」

   どこにも「住み難うございます」は出てこない。
 この言葉が出てくるのは「花街の母」で、若い頃の真愛の持ち歌だったので、ごっちゃになっていたのだ。
 しかし、「傷だらけの人生」の歌の部分は、今の世の中そのままを表現していた。

何から何まで 真っ暗闇よ
     すじの通らぬ ことばかり
右を向いても 左を見ても
     ばかと阿呆の からみあい
どこに男の 夢がある
(男の夢ではなく、
 何処に人間の誠が有るのだろうか)

 何十年も前の流行歌で有る。
 その時から、人間は堕落の一途を辿っているのだ。

 仏法界でも「末世」と言われ始めて
(シャカの死後,2000年
“この期間を 正法 ・像法 の世という”を経ると
 末法の世となり, 仏法 が衰えて世の中が
 乱 みだ れるという。
 日本では1052年からその時代に入った)
 既に972年も経っている。

 人間界が「いじょう」で有る。
 人の事を思い遣っているようで、すべて自分が大事、自分が一番(自分=人間)な世の中、
「住み難うございます。」

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります