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コールドムーン

 今夜、2021年12月19日
 今年最後の満月「コールドムーン」が現れた。 
 寒い時期に見える月ということから、英語で「COLD MOON」と綴る。
 日本でも寒月との呼び名が付けられている。
 今夜のコールドムーンは、2021年で最も地球から遠い満月になると言う。
 地球との距離が最大だった5月の満月スーパームーンと比べると、視直径で約12%も小さく、何と輝面が2割も少ないという。
 昨夜の月も冴え渡り、プールからの帰りの足元は明るかった。そして、昇切った夜半の月もそんなに小さい気がしなかった。
 ただ、とても寒くて見ていられなかった。
 新聞の説明を読むと、月を見上げてその大きさの違いに気づくのは難しいとのことだった。
 また、翌月の2022年1月18日の満月は、「2022年で最も小さい満月」になるという。

 真愛のメモ帳には、
《2022年1月18日の満月》→【アクアの交差点】と記されている。
 今年の1月の満月が、大きな枯れ木に引っかかった様に昇って来たのを見たのだ。
 アクアの帰り道、一番最初の信号で停止した時のことだった。写真を撮ろうにも運転中であり、先に行って止めて戻って…。が出来なかった。
 この時間,この方角に、この月が昇るなら、必ず来年は写真に収めたいと思った。
 その日が、近づいてくるに従って、「雨なら…
曇りでも見られない。」と思い、やりたい時にやらないと2度と出来ない事が多い事にも気がついた。


 今夜は、16時24分に月の出が始まり、13時36分頃(東京で観測)に満月になるので、月の最大から3時間ほど過ぎて月の出を迎えることとなるそうだ。
 その後南の空へと昇り、翌朝6時40分頃には北西に沈む。
 1ヶ月も違うので、位置が異なりアクアの交差点のあの木には重ならないのかもしれないが、それでも「16時」には近くの駐車場に停めて月の出を待ちたいと思う。

 何度も、何度もこのnoteで月の話を書いたが、何故こんなに月が好きなのだろう。
 昔から月や星、夜の空が好きだった。
 いや、昇る朝日も沈む夕日も、澄んだ青空も好きだった。
 考えてみれば、見上げる空が好きだったのは、いつも泣いていて、下ばかり向いていたけれど、真愛は、必ず前を向いて生きてきた。
 前を向く時は、必ず涙を拭い…いや、涙はそのまま流れていても《上》を向いた。
 空を見た。
 空って未来や希望なんだと思う。
 空を見上げたら、縮こまっていた背中が伸びて、冷たい澄んだいい空気が肺を充す。
 酸素濃度が上がって、思考回路が前向きに動き出すんだろう。

 月や星が好きなのは、その光が静かだからだ。
 月は、自ら燃え盛る炎は持たないし、明るさも無い。しかし、他者の光を受け取って輝く、その奥ゆかしい光が静かで好きなのかもしれない。
 太陽が男性的で、月が女性的であると捉えるのは真愛がギリシャ神話が好きだったからかもしれない。
 月の神さま・女神アルテミス。
 彼女以上に好きだったのが、アポロン太陽神だった。
 アポロンの母レトはゼウスの愛を受けたが、ゼウスの妻ヘラの嫉妬を逃れてアポロンとアルテミスの双子の兄弟をデロス島で出産した。
 ここがなんとも自分と重なって好きだった。
(なんとも恐れ多い空想の世界を展開していたのだ。)
 ゼウスはアポロンの誕生を知ると、息子に金の帽子と竪琴と白鳥の引く車を与えた。
 女神テミスに養育されたアポロンは、誕生後数日にしてりっぱな青年に成長し、武具に身を固めて戦車でヒペルボレオイの国へ旅立った。
 よくこのシーンの挿絵を見てはドキドキしていた。アポロンに恋をしていた時期があったのだ。 
 北の果てに1年間滞在したのち、ギリシアのデルフォイへ移り、そこで大地から生まれたピトンとよばれる大蛇を殺した。それを記念して、ピティア祭競技を創始したが、ついで彼はテミスの神託を自己のものとし、三脚台を神殿に捧げた。
 この三脚台はアポロンのシンボルの一つで、デルフォイの巫女ピティアがその上に座して神託を告げたという。
 神の勝利と神殿の占有をたたえたデルフォイ住民の「パイアン」というアポロン賛歌を聞きながら、アポロンは大蛇殺しの穢を清めるために北方のテンペの谷へ向かった。
 そののち、神の勝利と清めの旅を記念して、セプテリアという祭りが8年ごとに行われたという。
 やがてデルフォイに神託を求めにきたヘラクレスは、それを拒否されたために神殿で狼藉を働くが、このときアポロンはこの英雄と闘い、ゼウスの仲裁で引分けとされた。
 ギリシャ神話は星の神話と思えるほど、夜空でそれを飾っている。
 オリオンが舞い立つのは、大熊を射るから。
その血は地上に降って紅葉する。
 ヘラの乳が溢れて山百合が咲いた。だから、あの香りは咽せ返るほどの嫉妬の香り…。こんな話が大好きだった。
 更に、アポロンは美しい青年の神であり、恋の話も多い。
 ニンフのキレネからはアリスタイオス。
 コロニスからはアスクレピオス。
 ムーサのタレイアからはコリバスたちを。
 そしてウラニアからは音楽家リノスとオルフェウスを得ている。
 トロヤ王プリアモスの后ヘカベもアポロンに恋をしてトロイロスを生んだ。
 また、預言者モプソスもアポロンとマントとの子。
 アポロンは、ヒアキントスやキパリソスのような美少年からも思いを寄せられる。
 ダフネだけがアポロンの求愛を拒否して月桂樹に変身したという。
「本当は好きなのに、私はそこら辺のミーハーな
 アポロン好きにはならないわ。」
って言うツッパリ姉ちゃんの悲哀を感じるダフネも好きだ。
 アポロンは幾たびか試練を経験しているが、そのなかでもポセイドン、ヘラ、アテネと謀ってゼウスを縛り、空中につり下げようと試み、逆にゼウスの怒りに触れるところも魅力的だ。
 またアポロンは、光の神「フォイボス」でもあった。
 ギリシャ神話の思い出話を書いてしまったが、日本神話では、太陽神は「天照大御神」である。
 日本神話も好きだが、国造り辺りと黄泉の国のイザナギ・イザナミさん達あたりの駆け引きが面白いのであって、アマテラスさんはどうもファンになれなかった。(原因は挿絵がいけない。多くの挿絵が美的では無いのだ。これがもっと美しくeroticであったら…。)
 伊勢神宮にもお参りしたし、箱根神社にもお願い事を言う癖に、日本神話はどうも…。なんて言うのは本当に不届だと思う。

 さて、月の話に戻るが、ハワイでは、月はたくさんの星々を総べる「長」であるとされ、光を意味する「マラマ」という名前で呼ばれるそうだ。
 また、ポリネシア文化圏では、お月さまの表面の模様は、女神ヒナの姿を表すと考えられ月は女神様なのだ。
 古代中国では「嫦娥」といい、お月さま=女性と考える。
 夜の暗闇をやわらかな光で満たす月は、多くの古代文明で女神たちに力を与えるものと考えられたのだろう。
 昔、生理のことを【月経・月のもの】と言った様に、一定の周期を繰り返すもの。
 それも、月の満ち欠けに近い周期なのだから、女性の象徴となるのだろう。
 同じ位置に留まらず、たえずその姿を変えながら夜空をゆっくりと進む様は、女性そのものなのだ。
 アルテミス、ダイアナ、セレネ、デーメテール、ヘラ、ヘカテ、イシス、ハトホル……。これらはみな、月と関係がある女神たちの名前であり、聡明で美しく且つ人間的である。

 月の女神たちは、月と同じく、様々な姿に変身し、純潔で処女を守る若い女性の姿だったり、多産で豊かな生殖力を持ち、「結婚」を守護するものとして崇められるものも多い。
 年老いた姿で描かれる女神は、神秘や知恵を司り、「死の世界」の媒介者として君臨する。
 ローマ神話では、女神には三重の本質があるとして、月のサイクルの三相にちなみ、女神を3つの異なる形で描いたそうだ。
 女性の一生を、処女、母、老女の姿で表され、それぞれ月の位相である満ちていく月、満月、欠けていく月に関連づけられたと言う。
 真愛は欠けていく月なのだが、新月になっても見えないだけで、まだ美しくありたいとまた満ちてくる《少女の様な思い》をもてる月でありたいね。
 さて、2021年12月19日。
 今年最後のコールドムーンが撮影できるだろうか?
 乞うご期待❣️


ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります