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子育てパニック 今日から夏休み

 今日から夏休み。
 福岡では世界水泳大会が開催されていて、Aqoursプールで泳いでいる真愛は、ちょっぴりアーティスティックスイミングの真似事をして鼻から水が入って痛い思いをした。

 50年前は、夏休みが始まると同時に「学校のプール開放」が始まった。
 まだ、市民プールが出来ていない頃のことである。
(隣のF市には、関東最大のジャンボプールが 
 造られ、20歳の真愛はセパレートの水着を 
 着て、流れるプールや波のプールを楽しんで
 いた。まだ、ちゃんと泳げなかった頃だ。)

 だから、子どもたちは学校のプールに遊びに来るのが大好きだった。
 我が千葉県は海に囲まれた良い海岸線を持っているので、良い海水浴場を持っていることにもなる。
 夏になれば、海水浴客で国道は大渋滞となるほど、東京からのお客さまが来た。
 海に近い子どもたちは海に行って泳げるが、我が街は新日鐵が来てから、海岸線は護岸工事をされ船専用になった。

 夏休みになっての一番の楽しみは、ラジオ体操に出てハンコを貰うことと、午後からのプール開放で水遊びをすることだった。
 午前中のプールは、「水泳特訓」と称して、泳げない子の指導や水泳選手の育成だった。

水泳大会

 この写真は、34年前の地区の水泳競技会の様子だ。厚洋さんが監察・真愛が計時係。
 そして、息子が背泳の選手として泳いでいる一枚である。
 地区の水泳大会は随分前から行われていて、その大会で良い記録を出した子どもは、郡市水泳大会に出場する。
 当時はスイミングスクールなんてものはなかったので、各学校で指導した子どもたちの代表が出場した。
 北海道出身の厚洋さんは、当時、連続優勝をしている小学校に赴任した。
 若いと言うだけで、「体育主任」にされ、水泳指導もすることになった。
 泳げない先生が指導するのだ。
 子どもに甘く見られないために、厚洋さんは子どもが帰った後に水泳の猛練習をしたらしい。
 当時は、宿直というのがあった。
 独身で住む家もなかった彼は、学校の宿直を全部引き受けて、学校の宿直室が彼の部屋となった。(まるで、坊ちゃんの世界だ。)
 厚洋さんは偉そうに言った。
「暗くなってさ、
 誰もいないプールで練習したんだ。
 洗面器に酒と懐中電灯と水泳の本を入れて
 浮かせるんだ。
 酒飲んで、本読んで、蹴伸びする。
 それでちゃんと泳げるようになったぞ。」
 呆れてものが言えなかった。
 死ななかった良いものの、
【お酒を飲んで冷たい水に入って泳ぐ!】
 最高に危険な行為である。
 1年目は、前任者の指導を受けた子どもたちは、何とか「優勝」してくれたが、2年目は、準優勝となり、先輩の先生から嫌味を言われたそうだ。
 あまりにも悔しかったのだろう。
 彼は、独学?で全種目を泳げるようになり、県民大会のメドレーリレーの平泳ぎ泳者として出場、優勝するまでになっていた。
 だから、K地方水泳連盟の役員にもなり、新任教師の水泳研修の講師だった。
 超ビキニパンツで、モッコリさせて真愛に近づく厚洋さんは好きではなかった。
 おっと、また脱線である。

 何しろ、50年前の夏休みの始まりは、ラジオ体操とプール開放(水泳)だったのだ。
 文部省(今の文部科学省)も体育振興に力を入れていて、指導要領の体育には、学年別の水泳の技能指導が明記られていた。

真愛の周りで遊ぶ子どもたち

 ところが、我が街では令和2年の話し合いで、下記のようになっている。
       記
 小中学校における水泳指導は、学校プール施設を使用し、当該校の教員によ って行われてきたが、児童生徒の泳力差が大きくなっており、個々の能力に応 じた指導が難しくなっている。
 施設面においては、老朽化から改修を必要とする施設や使用できない施設が あり水泳学習の実施に支障がある。
 今後の水泳指導に向けては、
 小学校では、実技指導に重点を置き、水泳指導を市民プールや民間のプールや新しい学校のプールを使用する。
と記されている。

 使用されない古いプール施設については、地域の防災貯水池でもあるため、解体せずそのままにする。解体するのに多額の資金がかかるためでもある。
 だから、当然、市内小学校水泳大会はない。

 土台、出場する子どもたちは民間のスイミングスクールに通っている子どもたちが選手として出場するのであって、学校対抗の必要はないので有る。
(水泳大会が無くなり、水泳記録会になったの
 も随分昔のことで有る。
 だから、厚洋さんがビキニパンツで格好良く 
 泳いだのは本当に大昔のことである。)

 明日から 入道雲の 夏来る!
 紫外線をたっぷり浴びて、シミをいっぱい作って、楽しい思い出をたくさん作った夏休みだったのだ。

 最近の中学生や高校生・若者が水難事故を多く起こす。
 それは、ひょっとしたら「老朽化したプール」による水泳指導の甘さにあるのではないだろうか。

「俺たちは、水泳選手を育てるんじゃない。
 海洋国日本人・海人として、
 水と親しみ、水の恐ろしさも知らせ
 水難事故に遭わない、遭った時になんとか
 生きられる力をつけるべきなんだ。」
 彼が、市内小学校水泳大会を開催しないと決定した時に言った言葉だ。

二冠の乾さん・大蛇!


 福岡世界水泳大会では、素晴らしい記録がたくさん出るのだろう。
 そして、子どもたちの水難事故も多発するのだろう。

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります