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晩春
「さあ、今日は何を書こうか。」
と、南部屋の籐椅子に腰掛けて遠くを見た。
網戸にしていた方が暖かい風が入ってくる。
遠くで鳴く鶯たちの声。巣立ち遅れたかメジロのチチッチチッという声も聞こえる。
山の中の狭い空の上にちぎれ雲がゆっくり流れる。
春物の洗濯物が少しだけ揺れた。
森でホトトギスが鳴いた。初音かな?
お墓参りに行くのが、また日課になった。
去年のお彼岸前に納骨してから5ヶ月余り毎日のように会いに行った。台風が来てボランティア活動を広げてからは、一日置きになった。
太り始めてガンガン泳ぐようになって週2回程度になり「ごめんね。来なくって」と謝ることも多くなった。
しかし、このコロナ騒ぎで外出自粛になってからは、雨の日以外はよくお墓参りに行く。
「他に遊びに行くなよ。俺ん所に来い。」
って言ってるのかもしれない。
カラスノエンドウが実を付けていた。
姫踊子草も群れなして咲いている。
名前がわからないが可愛いヤマブキみたいな菜の花みたいな花だった。
ヒメジオンが咲いていた。
小さい頃「ビンボー」って言われて、その花の首を投げ付けられた記憶がある。「貧乏草」と言われていた。貧しい家の近くにいっぱい咲いていたからだろう。
真愛は、薄紅の細い花弁の花が好きだったが、「この花。可愛いね。」と言ってあげられなかった。今日は、「可愛く咲いてるね。」って素直に言えた。
誰もいない晩春だからかもしれない。
カラスノエンドウの前を大きな蟻が歩いて行った。外出自粛は、無いんだね。
ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります