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躾はしなくちゃ困る

 締切日前々日に、毎日が発見という雑誌のリメイク作品の募集に応募しようと取り掛かった。
 構想は27日前から決まっていたが、真愛の良くない「後回し性格」により、夏休み前日の駆け込み学習のように取り掛かった。
 素材は、お友達がお母様から作ってもらった銘仙のお召し物。

良く似合って可愛かった。

 大正ロマン柄の素敵な着物で、息子の嫁さんが遊びに来た時に、ガッツリ着せて楽しんだ。 
 その後、脱がせる時にちょっと引っ張ったら「ピッ」と音を立てて縦に裂けてしまった。
 良く見ると虫に喰われた跡も何箇所も見つけた。
 捨てるしかないかと思ったが、なんだか悲しくってリメイクするかなと思っていた着物である。

 構想が決まっているので、裁断もスッパリ決まり、上身頃になる帯も簡単に解いて半分に切って、下部分は更に半分にして肩吊り部分にした。
 帯は既に折皺ができているので、しつけはいらない。まち針で止めて直線縫いだった。
 次に肩吊り部分を見頃に付ける時に帯と帯芯とで挟む。
 ところがここが大変だった。
 巻きスカートのように着物の下前・右裾を左脇まで回し、上前を右脇まで付けた状態で被るように着るため肩吊りの位置がハッキリせず困った。
 要するに付ける事を失敗したのだ。
 焦ってまち針だけで止めて作業を進めたので崩れたのだ。
「仕方が無い。躾をするか?」
と言いながら、極く簡単に躾をつけた。
 試しに試着をし、確認しているから縫うつもりで腕を通したら、躾がほつれた。
 やり直しである。
「急がば回れってねぇ。
 焦って適当にやれば必ずミスが出る。
 厚ちゃんが言ってたよね。
 はい、はい!やり直し!」
ちゃんと声を出して反省してやり直した。

青いしつけ糸で肩吊りを固定

 しっかりと丁寧に160cmほど、帯布と帯芯の間に肩吊り布を挟んで躾をした。
 10間分程度の間に
(躾って大事だよなあ。
 子どもの躾も大事。
 でも、今は躾と虐待の境目が曖昧で、
 親御さんたちが、躾をしなくなっている。
 子どもたちは躾をされていないから、
 自由?に我儘に育ってる来て、親の手に負え
 なくなってしまい、親は育児放棄をし、
 子は「親ガチャ失敗」なんて馬鹿な事を
 言う。
 変だ。変な世の中だ。)
と思いながら躾をした。

しっかり躾の後のミシン掛け

 しっかり躾をかけた後のミシン掛けは綺麗に失敗なく出来上がった。
 しつけ糸を取り外す時に、2度3度としつけ糸で縫った所と結び目を作った所が外しにくくて困った。
 躾は、ちゃんと形がついたら外さなければならないのだ。
 躾は出来上がりでは無い。
 出来あげるのは、子ども自身であるべきなので、躾はある程度のゆとりが無いと気持ちよくできない。
 グツグツでも、キチキチでもいけないのだ。
 では、子どもにとってどんな事を、どの程度の躾をすることが良いのかと考えたが分からなかった。
 最低限、人間社会に生きていく上でのルールや人への思いやりの心を「躾」として身に付けさせたいと思っている真愛ばあさんであるが、その最低限のっていう「限度」は、各家庭に任されることであって、厚洋さんと真愛が息子に付けた躾が絶対では無い。

90分でリメイク

【大正から令和へ 
 スッパリ切って
 巻きスカート風着物ジャンパースカート】
は、90分で出来上がった。
 しつけをしっかりとやり直したので、素早く完成させられたのだ。
 しかし、『子どものしつけ』は、やり直しが出来ない気がする。
 今回の応募作品作りでも、真愛の性格《後回しをする》《でもやりたい》《ギリギリになる》と言うことは、中学校2年生の頃にも困った性格だと気づいていたことだ。
 しかし、何十年経ってもその性格は直らない。母に文句を言うわけでは無いが、あの頃から
「もっと勉強しなさい。
 時間を計画的に使いなさい。
 締切があることは早めにやりなさい。」
と躾をガッチリつけられていたら、こんな性格にはならなかったかも?しれない。
 真愛の母親は上記のことは一切言ったことがない。
 高校受験で希望校に行けなかった時に、
(母さんがもっと勉強しろって言ってくれたら 
 もっと勉強したのに!)と思ったことがある。
 今回のようにいつもギリギリになって、焦って提出することが多い性格は、「しつけ」でなんとかなったのだろうか。

着付けは母から教えてもらった

 真愛は、小さい頃から母に着物の着付けを教えてもらった。
 お人形さん遊びをしながら、着物を縫う事も教わった。
 口三味線で、越後獅子も長唄も教わった。
 野の花を摘んでは、穿った石を水盤に生花も教えてもらった。
 童謡を歌い、昔話をたくさん語ってもらった。
 お膳の並べ方も、食事の仕方も…。

  性格を作り出すのは、養育者の躾だったり、学校の先生だったり、友達だったり、地域だったり、職業集団社会であったり、たくさんの要因で作り出されるのだと思う。
 当然、遺伝だってあると思うし、生まれた環境だってある。
「しつけ」だけでは無い。
 だが、「しつけ」されている方が、楽に過ごせる事も多いのが事実だ。

 今の真愛は、母にしつけられて良かったと思う。日本文化を大事にし、祖父母から教えてもらった事を真愛に伝えた「しつけ」は最高の力になった。
 だから、日本文化大好き厚洋さんと感性を同じくし、楽しく生活できたと思っている。
(厚洋さんにも結構躾けられたかな?)

書展のポスター

「しつけ」
 どんなに苦しくても前向きに生きて真愛を育ててくれて、亡くなるまで父を愛し続けていた母の生き様こそが、真愛にとっての「しつけ」なのだと思う。
 少々面倒くさがりで、後回しにする真愛であるが、胸を張って言える事
【真愛は、今でも厚洋さんが大好きで、
 ひとりでも、自分なりの「幸せ」を感じて
 生きています。
 ちゃんとリメイク作品も作って応募すること
 ができました。】

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります