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初詣 和服姿は 外人さん

 国際交流協会で日本語教室のボランティアをしていると、沢山の国の方と知り合いになる。みんな日本に来ている方々なので、「日本文化」について興味を持ってくれている。
 1月2日。
 今日は、スペインのご夫妻に「日本のお正月」を楽しんでもらう日だった。
 元旦は息子夫婦が来てくれて、睦月の幸せを感じさせてもらった。
 本来ならば、大晦日からの一連の文化を味わって欲しかったが、コロナ禍で、3密になるのを避け大晦日におせち料理だけを届けた。

 お元日には、写真と一緒に
「ありがとうございました!!!!!
 こんな美味しいいいいいいいいい料理を
 食べさせてくれて
 ありがとうございました!!!
 一生で忘れられないほど旨いです 。
 🥰おいしいです。」
とLINEが送られてきた。
 こんなに喜んでくれる方なので、2日の「和服を着て初詣」の体験は、もっと喜んでもらえるとワクワクしながら準備をした。
 真愛は、教員の時代から、外国の方には
「日本文化の素敵を伝えたい」と思っていた。
 小学校の英語学習のために中学校のALTの方と仲良くなると必ず、子どもたちの「日本文化を伝えよう」という総合的な学習の単元を計画した。
 子どもたちは、まず、「伝える」ために日本文化を学ぶことになる。そして、何をどのように説明するか考え、英語で話すことにも挑戦した。
 この単元をやると子どもたちは、「日本の文化の素晴らしさ」を再認識し、「もっと日本人として自国文化を知り伝えなければいけない。」と考えてくれた。
 知らせるために調べたことが「学び」になるのだ。
 そして、知らせるために学んだ英語は、
「どんな言語であっても、伝える心さえあれば、
 相手は聞いてくれる。
 出来れば、もっと通じるように、
 伝わったか分かるように英語を話したい、」
と言い、言語活動の本来的な姿を学び取り、使える英語を学びたがるようになる。(意欲化)である。
 現場から離れて何年も経っているが、真愛の意識は変化していなかった。ワクワク学習である。 

成願寺へ初詣

 2人のお家から我が家までは、車で30分。
 車を運転しながらの会話は、電話と同じで聞き取りが大事になる。
 1番最初にALTの先生を乗せた時、大変な苦労をした。真愛の言いたいことは沢山あるのに、文法を考えながら話すと通じないのだ。
「My house is at the foot of Mt. kanou.」
「麓」が「foot」であることが分からず苦労した。沢山の単語を使える方が会話は成立する。
 今日は、奥さんが熊本大学に留学したことがあるらしく、なかなか上手な日本語を使ってくれた。

なかなかお似合い


 真愛は、まず旦那様に厚洋さんのアンサンブルを着てもらった。(厚洋さんがいたら,きっと英語で話してくれたのにと思うとちょっと残念だった。)
 次は、真愛の着物を奥様に着せた。
 髪も長いので、ちょっと編んで飾りをつけた。

スタイルがいいのでよくお似合い
共布のリボンがお気に入り

「素敵」「綺麗」「かっこいい」の言葉と笑い声が溢れた着付け時間だった。
 真愛もその国の民族衣装を着るのが好きなので、彼女たちの嬉しさが分かる。
 浅草界隈で外人さんが着物を着たがる気持ちがわかる。そして、変身していく自分を見ていくのも楽しい。
 喜んでもらえている真愛は、「日本」を好きになってくれていくことが嬉しかった。
 で、真愛の教え子さんが若住職をしているお寺に連れて行った。

説明を聞く

 由緒正しいお寺のお年賀の日に伺ったのに、欄間の説明やご本尊の説明をしてくださった。
 なんと、若住職さんの息子さん(一年生)が
「Hola.オラ」とご挨拶したのだ。
 2人はびっくり❣️
「凄いです。
 日本の子どもたちはスペイン語も
 話すのですか?」
 奥様が大学でスペイン語を専攻したらしく、2人が行くと知らせたので教えていてくださったのだ。
 恥ずかしそうにしながら、挨拶をしてくれた息子さんに感謝である。文化とは、人と人のふれあいの中で本当の思いやりや優しさを感じ取ってくれるのだ。
 仏様からのお年玉もいただいて2人は最高の学びの楽しさを感じ、日本文化を楽しんだ。

 我が街最古のお寺に初詣。
 面白くて奥様と抱き合って笑っちゃったのは、
参道を歩いている時だった。
「あっ。着物だ。」
と珍しそうに振り返ってみた後、
「えっ?外人さん?着物?」
 最初は恥ずかしそうにしていた奥さんは、途中から、ニコニコ笑いながら
「真愛さん。見てみて❣️
 また驚いてますね。」
と楽しんだ。


 今日の初詣で着物を着ていたのは、真愛と一緒のスペイン人の2人だったのだ。逆転文化みたいで妙な感じがした。
 帰りの車の中で、真愛はセビジャーナス・スペインの春祭りでフラメンコを踊りたくて、暫くフラメンコを習ったことを話し、文化についての話して盛り上がった。
 真愛は、地域の昔話をし、彼らにスペインの昔話を聞いた。そして、
「どの国でも、自国文化を大切にし伝えることが 
 重要なことだ。」
と、とても大切なことを確認できた。

お餅を焼いて

 着物を着たまま「お雑煮」が食べたいというリクエストで、自分達でお餅を焼いてもらった。
 前日、お元日なので、和服でいた真愛を見て、孫たちが言った
「真愛ちゃんみたいにお着物で
 お雑煮が食べたい。」
「まだ小さいから、
 お着物、汚すので大きくなってからね。」
と返事をしたことを後悔した。
「〜したい。」というのは、興味関心意欲の塊で「学びたい」の姿なのに制止させてしまったからだ。来年は、安い着物でも用意してあげようかなと思った。
 今日の二人も「学びたい」の塊なのだ。
 お雑煮も磯部巻きも美味しかったらしく。
「スーパーに売っていますか?」
と言うので、食べきれないお餅と海苔をもらってもらった。

本堂の前で

 浅草に行くのもいい。
 しかし、小さな街のお正月を体験したことが忘れられない思い出になったようだ。
 真愛としては、「着物の着付け」が出来て、
「お節の話」ができて、「日本人と宗教」について話せることができて本当に嬉しかった。
 今日は、両山とも真言宗。
 真愛の臨終の時には、蓮の台だけでもちゃんと迎えににてくださると思えた1日だった。

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります