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MAAちゃんパニック 足ツボ

 人間の体には第二の心臓というのが幾つもあるらしい。
「ふくらはぎは第二の心臓。
 心臓よりずっと下にある使い終わった血液を
 上まで戻すには筋肉がないと戻らない。
 歩かない時は、踵上げ運動が大事。」
って言いながら、鴨居に手を伸ばして、一生懸命に踵上げをやっている厚洋さんを見たことがある。
 確かに、病床に臥した厚洋さんの身体を拭きながら、一番衰えたのがふくらはぎだった。
 細くなったふくらはぎを見て、悲しくて泣いた。その時は、もう立てなくなっていたのだ。
 そして、血が巡らないから、足も冷たい。
 昔は、真愛の足を温めてくれた厚洋さんの足先が、いつも冷たかった。
 真夏でも寒がった。そんな時は、足をマッサージするのが一番だった。

 第二の心臓は「腸」
 食事は胃で消化され腸で栄養を吸収する。
 その腸が元気でないと身体にも影響を及ぼす。
 腸は第二の心臓と呼ばれるほど大事な臓器。
 腸活や免疫力を高めるためにはどうすれば良いのか。
 それは出来るだけ添加物をさけ、発酵食品や食物繊維が多い食事をとり体内に不要な物を蓄積させない、
 また身体を冷やさないなどが重要だという。体温が1度下がると免疫力は20%落ちるらしい。
 厚洋さんは筋肉については、なかなか注意をしていたが、見えない部分の内臓については、無関心。
 いや、無関心ではなく、自分の食べたい物、飲みたい物を止めるくらいなら、「死んだ方がいい」と思う人だったので、
「タバコは、ヘビー級。」
「お酒も毎晩。休肝日なんて無し。」
「熱い食べ物が大好きで、
 辛い食べ物も、大好きで…。」
「真愛には、山ほどの野菜を食べさせるが、
 自分の分は真愛のお皿に…。」
「ヨーグルトなんて腐ってるんだろう?」
という始末。
「納豆だって発酵してるのに、発酵食品には、
 変わりないでしょう?食べないの?」
って、ぐちぐち言っても好き嫌いが激しい。
「納豆菌は、純日本の細菌で、
 ヨーグルトのビフィズズ菌なんて
 カタカナの菌は信用できない。」
のだそうだ。
 そんな厚洋さんだったから、古希を迎えた時は「よくぞ元気で年金をもらえる年まで生きられたものだ。」と自分で感心していたのに…。
 彼は、肺気腫になり、大腸癌の末期になるまで病院に行かなかった。
(エコー検査で全ての臓器に癌が転移していた。 
   酷すぎて、内視鏡検査ができなかったのだ。
 病院を嫌がったのが、大きな原因だと思う。
 第二の心臓って「思考」かもしれない。
 健康で過ごそうと考えること全てが、心臓を
 元気に動かす力かもしれない。)
 要するに、厚洋さんは、第二の心臓の「腸」なんてなんにも考えていなかった人だった。
 それに、内臓は見えないから元気かどうか、分からないのもいけなかったのかな?

 そんな厚洋さんが、一時期、足ツボマッサージに凝ったことがある。
 青竹踏みがいいと言って、竹藪から孟宗竹を切って来て、真愛に踏ませた。
 日頃地面に着いていない土踏まずの部分が痛気持ち良く感じた事を覚えている。
 次は、自分が通っていた整体の教え子さんからもらったと言って、足裏のツボが書いてある靴下をもらって来た。
 真愛に履かせて、押してくれたが痛いこと、この上なく、悶絶している真愛を見て楽しそうに押してくれた。
「ここが痛いのは、胃が悪いんだ。」
「ここは肝臓。お前脂肪肝だもんな。」
「ここは頭?痛くないんか?おかしいな?」
 厚洋さんに触ってもらうのも、からかってもらうのも好きな真愛は、痛いのを我慢して押してもらったが、飽きっぽい真愛も厚洋さんも直ぐに忘れた。その靴下ももうない。
 厚洋さんが言って1243日。
 健康のためにスポーツクラブにもしっかり行って、泳いでいる。
 そこでは、スタジオプログラムもたくさんあり、しっかりしたジムも設置されている。
 真愛は、ゴールド会員なので、どこでもいつでも使えるのだが、お決まりの「面倒臭がり」でプールエリアにしか行かなかった。
 ところが先週、何を血迷ったか、旅行に行くような大きなバックにナイキのシューズを入れ、スパッツとTシャツも入れて、スタジオプログラムを受けることにした。
 姿勢が悪くなって、体の歪みがひどくなり、腰や肩が痛くなる。
 だから、骨盤や背骨を下の位置に戻す運動をすることにしたのだ。
 ヨガシートの上で、呼吸法を教えてもらったり、ゆっくりとした動きで稼働域を調べたり、ボールを使ったり、小さなカーブのある道具を使ったりと30分でいろんなところが痛くなった。
 日頃使ってないところに負荷がかかって、気持ちの良い痛さになったのだ。
 一番痛かったのが、足の裏をゴリゴリとする運動だった。
「痛っ〜!」
 バレないように手を抜いたが、泣きたくなるほど痛かった。
 足のツボをガッツリ押す形になったからだ。
 インストラクターのお姉さんは、
「痛って言うことは、そこを使ってない。
 あるいは、体の歪みによる内臓の弱りです」
って言いながら、気持ちよさそうにその器具を踏んでいた。彼女は健康なのだ。
 多少は痛がったが、なかなかの良い運動で、その後の水泳はいつも以上に気持ちよく泳げた。

 で帰ってきたら、足つぼ靴下の通算カタログが届いていたわけだ。
 noteに書かなくちゃあかんと書いた次第。
 靴下は買わなくても良い。
 自分で押しながら調べるのが一番安い。
 自分で押すのが嫌で、一人暮らしだったら、ゴルフボールの上に乗ってごろごろするのも良さそうだ。
 第二の心臓は、結構足元に落っこちている。

 足ツボマッサージもふくらはぎを鍛えるのも、三日坊主では良くない。
 真愛にとっては、何よりもまず
「面倒臭がらない」「努力を怠らない。」という
心臓というより,心の問題を解決しないと健康保持増進はないかもしれない。

 読んでくださった皆様へ
 左右の足ツボの位置を見ながら、ちょっと押してみてください。
 意外に「アレッ⁈」って思うところがあるかもしれませんよ。

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります