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子育てパニック 家族も社会 1

 家族が運命と血によって結ばれたとしても、そこに安住してしまえばその家族の可能性も閉ざされてしまう。(「家族の力」石風社)の著者内田良介氏の言葉である。

 前noteの最後に、
「子どもを含めて家族というが、大元は子どもを
 産み出した神様のような2人の関係が大切に
 なるのではないだろうか?
 その2人が赤の他人であり、神様ではないところ
 に大きな問題が生じて夫婦仲が悪くなる。
 子どもは最悪である。
 父親が変わって来たらしいが、母親もそれなり
 に変化しなければならないと思う。
 次のお話は、夫婦仲が大事なのではないか?
 家族が家族を救う?」

 この疑問をスッキリさせてくれた記事を書いてくれたのが内田氏だった。
 「言わなくても分かる」という幻想!
 この言葉は「子育てパニック」でなくても、真愛の心にドスンと重たい音を立てて落ちて来た。
 真愛は、今でも逝ってしまった厚洋さんが大好きで、恋しいと思っている。
 しかし、生前の彼に対して、これを言ったら嫌われるかもしれないと我慢したことも多かった。
好きだから言えないこともある。
 真愛は、時々ヒステリーを起こし、爆発し、厚洋さんに「いい子いい子。真愛が大好き❣️」と抱かれればスンナリ元の「厚洋さん大好きに戻った。
 しかし、昭和の漢は「ぐちぐち言わない」「沈黙は金・雄弁は銀。」寡黙を貫いた。
 しかし、(好きだからこそ言えない。嫌われたらどうして良いかわからない。)と彼も思っていたらしく、亡くなる数日前に
「お前は、俺なんかじゃなく。
 もっと他の奴と一緒になれば良かった。
 お前を好きな奴が…。
 そんな奴がいっぱいいただろうに…。」
と言われて困った。
 確かに色々な男に人にたくさんの笑顔を見せていたからだ。
「真愛は、厚洋さんが一番好き。
 色々教え子たちと遊びに行ったけど、
 貴方が考えているようなことはなかったのよ。
 どんなことがあっても、
 貴方が誰を好きでも、
 真愛は、厚洋さんを愛しています。」
「誤解してたんだな!
 俺もお前が一番…。」
と言ってくれた。
 心無い噂話に振り回され、意地悪な人の陰険な仕打ちに、病床にいる厚洋さんの浮気を疑い、半狂乱になりながら、彼を看病し、
(誰がなんと言おうと、私自身が厚洋さんを好き
 な事には変わりはない。)と自分の思いを確認した後の会話だった。
 厚洋さんは真愛の奇跡の人で、愛して愛して結婚したのに、【その幸せに安住】してしまい、彼は、(真愛なら、言わなくても分かってくれている。)と思い。
 初めて自分を飾ることなく、正直に語れた厚洋さんに対して、
(これを聞いたら、嫌われる。嫌われるのが怖い)
と思ってしまったのだ。
 1ミリもないすれ違いである。その隙間風が大風になって2人を壊さなくて良かったとつくづく思う。
 内田氏は、その隙間風によって子どもの不登校が起こった例を記されていた。(以下抜粋)
 中学校の息子さんの不登校の相談で来所した夫婦。
 2人は個別に会うととてもいい人なのにもの凄く夫婦仲が悪かった。不登校は両親の不仲と関係があるようにも感じる。
 やっと実現した夫婦揃っての面接でも、2人はお互いを詰り合うか沈黙に終始。
 万策尽きた内田氏は、2人の仲が良かった頃のことを聞いた。
「何がきっかけで今みたいになったのですか?」
すると、妻が反応し予期せぬ答えが返って来た。
「私、この人の何でも1人でやれる強さを尊敬して 
 いました。それはうちの家族にないところでし
 た。だから、思い切って実家で引きこもってい
 た弟のことを相談したんです。
 その時この人は、『ニヤッ』と笑い一言も答え
 ませんでした。ああ、やっぱり馬鹿にされた、
 と後悔しました。
 この人に相談した私が馬鹿でした。」
内田氏が夫に理由を聞くと
「羨ましかったんです。
 姉弟がお互いを心配し合うなんて、
   僕の家族ではあり得ないから…。」
 内田氏は驚き、その時、なぜ黙っていたのかを尋ねると、夫は
「どう答えて良いか分からなかった。」
 黙っている理由を聞かなかった妻は
「聞くのが怖かった」
と、夫婦は何とも言えない表情を浮かべていたそうだ。
(真愛も厚洋さんが黙ってしまうと
「何故黙っちゃうの?」とブチギレた。
 すると、
「なんて言っていいか分からない。
 俺の言葉を信じないだろう?」と言い、厚洋さ
 んは黙秘した。
 考えてみればいつもそうだった。真愛の勝手な
 思い込みだった。真愛が落ち着いてからフォロ
 ーしてくれた厚洋さんだったから、今でも好き
 でいられるのだ。
 夫婦ってそんなものなのかな?)

 その日を境にその夫婦の会話は少なくなり、用事を伝える時はメールか子供を介するように。
 ついには口も利かなくなったという。
 愛情を抱きつつも、いうべき事を言わず、聞くべき事を聞がなかった夫婦はともかく、そのことで子どもはどれほど悲しんだことだろう。
【深い思いを心に抱いていても、言葉にしなけれ
 ば他者には届かない。それは社会では当たり前
 のこと。】
 しかし、一番身近な夫婦や親子関係・兄弟関係の中で、そうした基本的なコミュニケーションがなおざりにされているケースが少なくないという。
 『家族なら言わなくても分かる】は幻想。

 家族だから必要なコミュニケーション。 
 家族療法は、家族を「家族システム」という視点で理解しようとする。
 個人個人の困り事を家族システムの孕む課題として受け止め、かぞくの力によって解決を目指す。
 また、その人の使う言葉がそのひとの現実を作り上げていると考えると共に、人は「コミュニケーションしないではいられない」存在と捉える。
 髪型も服装も、身振りも仕草も眼差しも…。極論すればコミュニケーションしないこともコミュニケーションなのだという。
(精神科医のようだった厚洋さんと同じ事を仰っ
 ていた。)
 問題は、その人の現在の内面は、それまでのコミュニケーションの結果なのだという。
 さっきの夫婦の場合どうすれば良かったのか。
 決して一回のコミュニケーションの失敗で夫婦関係が悪くなったわけではない。お互いの相手への理解不足・ネガティブな思い込みなどから、何度も何度もすれ違いのやりとりが積み重なって関係が悪くなったのだ。
 理想を言えば、第三者が状況を知り適切なアドバイスを双方にすることだが、そうした人を身近に持てる人は稀であるという。
 だから、日常的な心がけとしては、相手の言動に納得がいかない時は「自分は物事をネガティブに考える癖がある」と自覚した上で、
「それって、どういう事?」
と聞いてみる勇気を持つ事だろう。
 元々、愛情があった関係であれば、一つ一つの誤解をそのままにせずに、その都度確認して解消していく事で関係性は全然違うものになるという。
夫婦関係は子どもの心にも安定をもたらす。
(大いに納得。
 本当に厚洋さんに感謝である。)

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります