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㊗️ 御成人 おめでとう

 緊急事態宣言下での成人式は、中止となった。今年、成人を迎える子どもたちは、真愛の現役最後の担任だった6年生。あれから、8年が経っているのだ。
 どんなに立派になっているのだろう?
 会いたい想いが募る。
 
 真愛は、教員としてとても幸せだった。
 最初の成人式参列は、32年前のことだ。
新成人と歳の差がなく、彼らがとても立派に見え恥ずかしかった記憶がある。
 悪さをしてた子や困らせていた子が、
「先生。お久しぶりです。
 僕、今、寿司屋の見習いやってます。」
「先生。変わりありませんね。
 私、教員になりたいんです。
 先生みたいに、
 ちゃんと子どもを叱れる先生にね。」
「怖えったもんなあ!」
と語らえる幸せを味わわせてもらった成人式。が16回もある。
 16回めは、厚洋さんの亡くなった翌年の成人式だったので、断ろうと思った。
 しかし、厚洋さんが退職した後赴任した学校だったので、指導にあたり沢山の支援をしてもらった。
 合唱指導の相談・運動会の用具作り・公開研究会の相談・全国僻地教育の発表の相談・その学校の閉校まで、彼の経験をフル活動させ、頭も身体もお金も使って支援してもらった。
 だから、彼との思い出の中にたくさん残っている子供たちだった。
 いつもなら、
「これで良いかしら?」
と厚洋さんに聞いていた祝辞の内容もその日の服装も一人で決めて、出かけていった。

 晴れのお祝いの日だ。泣かない!
「この百合の蕾の中には、何が入っているので
 しょう?
 雌しべと雄しべと空気です。
 でも、不思議でしょう?
 最初の蕾は、硬くて空気なんか入っていない 
 のに、成長すれば成長するほど、蕾は大きく
 膨らんでいくのです。
 それは、中に入っていくのが空気だけではな
 いのです。
 夢が膨らんでいくのです。
 今のあなた方は、成人と言っても、まだまだ
 成長する蕾です。
 今持っている夢を大切に育てて
 大きな自分の夢を咲かせてください。
 おばあちゃんになった私も、今持っている蕾 
 を大きくしたいと思っています。
 いつ咲くかわからないけど、
 必ず咲かせたいです。」
 真愛が「おばあちゃん」と言ったところで、笑われたのは勿論のことだが、「蕾」の話に大きく頷いてくれた彼らだった。
 その後の記念撮影では、当時の中学校の校長先生が、真愛を真ん中に座らせてくれた。
 大好きな子どもに囲まれて、嬉しくて泣き出した真愛の背中を撫でてくれた大きな2人の手は、厚洋さんより大きかった。
 ひとりは消防士になり、ひとりは大学生だ。
このコロナ禍のなかで命を掛けて仕事をしている。大変な時期に就職活動をしている。
 
 この子達だけではない。
 16回分の成人式の思い出がある。
 いや、39年間巡り合った子どもたちを思い
(彼らが幸せであってほしいと思う。)
 彼らと出会ってこその今の真愛だからだ。

 我が街の今年の成人式は、中止となった。

 本来ならば、この子たちの8年後の姿に、泣き虫真愛がウルウルしている日だったのだ。
 はるちゃんは、今、看護学校で学んでいる。
「将来は、助産婦になる。」と言っていた。
このコロナ禍で、どんなに苦労しているのだろう。
 まほちゃんは先生になりたいそうだ。
 優しくって情にもろい、弱い子の思いのわかる先生になってくれると思う。
 みんなどんなに立派になっただろう。

    ー祝 御成人ー 
 生き方を問うこの年に
 成人となる君たちの無限の幸せを願う。
 本当の幸せってなんでしょう。
 自分が幸せかどうかは、
         自分が決めるのです。
 これからの人生。
 反省はしても後悔しない生き方をしてほしい 
 と願っています。
 昨日までのあなたが生きてきたからこその
 今日のあなたです。
 今日のあなたが精一杯生きてこその明日の
 あなたです。
 100年経っても1000年経っても
 同じです。
 これから、楽しいことも悲しいく辛いことも
 あると思います。
 そんな時はたくさん泣きましょう。
 でも、暗い闇に向かって泣くのではなく、明
 るい太陽に向かって泣きなさい。
 泣いてるあなたの瞼を閉じれば
「あなたが生きている限り、オレンジ色の明る 
 い光が見えるはず」
 そうしたら、明るい方へ一歩だけ進みなさい 
 必ず幸せに近づきます。
 いつか、瞼を開いた時、歩いてきた道のどん
 なに大変だったかを思い、それをあなたの誇
 りとしなさい。
 頑張れ!
 私の後輩!
 
全国の「成人を迎える皆さん」
 ー 御 成人 おめでとうございます。 ー

 

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります