![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82923726/rectangle_large_type_2_00397360e52666d23e4adaf75ffc887d.jpg?width=800)
MAAちゃんパニック 噛む
月に一度、歯のお掃除に出かける。
厚洋さんの具合が悪くなり、入院して看護をするようになって驚いたことは、(あら?厚洋さんってこんなに歯がなかったの?)ということだ。
彼との初めてのキスの後、
(初恋の味はレモンの味。
キスだってレモンの味だと思っていたのに、
タバコの味?
なんだか、焚き火の中の焦げた焼き芋の味?)
と思った。
中学校の理科の岩沢先生は
「男の唾液は弱酸性。女の唾液は弱アルカリ性。
蟻には蟻酸という酸だ。
だから、蟻に刺されたら、男は小便をかける。
女は舐めるんだな!
アンモニアはアルカリ性だ。
だから、中和するんだな。」
と言ったことを覚えている。
酸とアルカリと中和についての学習だった。
その頃、好きな男の子がいたので、キスをしたらきっと、口の中で中和して「塩」ができるから、檸檬というより、海の水のような塩味なんだろうと思ったので覚えている。
なんでも面白く上手に教えてくれるさん先生だったので、理科の成績もぐんと良くなった。
その後、真愛が教員になる事を支援してくださった先生でもある。
今考えれば、とんでもない情報である。人間の唾液も尿もほとんど中性であり、唾液が酸性になれば虫歯ができやすく、尿が酸性になれば結石を作りやすいという。
しかし、アンモニアと蟻酸という酸と合わせれば中和が起こるという話はよく分かった。更に、化学式を書いて結果、「中和」して塩が沈澱するという予想式を立てるのが大好きでとても楽しかった。
おっと、話がとんでもない方向に進んでしまった。
要するに、若い頃の厚洋さんは歯もあって、たくさんキスをしてくれたのだが、歯医者に行く事を嫌って入れ歯になってからは、そんなにしてくれなくなった。男として嫌だったのだ。
そして、具合が悪くなって入院した時には、大変なことになっていたのだ。
教員時代「8020運動」と言って、80歳になっても自分の歯が20本残しておくと元気に過ごせるという口腔内衛生の授業をしたことがある。
毎日の晩酌・毎日一箱の喫煙。さらに歯の健康を考えないでは、病気に負けてしまうよなぁと今は思えるようになった。
厚洋さんが人前で笑わなくなったのも、歯がなくなったからだと今は思う。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82983543/picture_pc_0adad358d8cb2b15b6f55394f43c03b8.jpg?width=800)
口は“命の源”の器官だという。
食事の時に、口の中に魚の骨や髪の毛があると、それを感知して吐き出すことができる。
『口』という器官は非常に鋭敏で繊細な器官である。
「食べる」「話す」「呼吸する」「表情を作る」「キスをする笑笑!」など、口は命の源となる働きを持っているのだ。
ただ、現代社会は昔に比べると軟らかい食べ物が増え、噛む回数が減ってきている。
噛む回数が減ると、噛む筋肉や顎の骨が十分に発達せず、歯並びの乱れや顎関節症の原因になる。
口腔内の酸性度も唾液の分泌と関係があり、噛むことによって酸性度を下げることになるようだ。
厚洋さんも歯が悪いから柔らかな物を食するようになり、噛む力がなくなり食も細くなっていった。
さて、真愛も母から
「もっとゆっくり噛んで食べなさい。」
と言われたし、子どもたちにも、
「30回噛んでから…ごっくん!です。」
と教えたが、自分はテストの丸付けをしながら、早食いが得意だった。
最近、注目され始めたのは、
「噛む事は、脳を活性化させる働きがある。」ということである。
全身の中でも、口や手は脳に最も刺激を送ることができる「感覚受容器官」であり、脳からの指令を受けて細かい動きができる「運動出力器官」でもあるそうなのだ。
よく噛むことは、脳に流れる血流を増やし、脳神経も刺激され脳が活性化する。これが、認知症の予防につながる。
また、咀嚼はリズム運動にもなるため、脳内ホルモンであるセロトニン(幸せホルモン)の分泌を高めストレス軽減・うつ病予防などにもなるそうだ。
そういえば、元気に食べている人に「鬱」は無さそうだ。
噛むことで唾液ごの分泌が促され、むし歯や歯周病・口臭予防になる。
唾液には、カタラーゼやペルオキシダーゼのような構造が含まれ、発癌性物質を抑制するという報告もある。
口腔機能の衰えがフレイルの一つの持病となることから、前進のフレイルと区別をして「オーラルフレイル」と称する。「口腔機能虚弱」である。
健康寿命を延ばすためには、「良く噛むこと」である。
「よく噛むことが元気な秘訣!」
これは年寄りだけではなく、若い人にもなのだ。
唾液が大事!
そうだよね。元気な赤ちゃんは涎だらけだものね。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82985873/picture_pc_b7c1a114af3994ef655256b54dfd6faa.jpg?width=800)
飲酒や喫煙は体内の水分を奪うので、唾液が足りなくなる。だから、こまめな水分補給で唾液不足を補うことが必要。
厚洋さんがよく水を飲んだ理由が今わかった。
単なる水よりはスポーツドリンクなどの吸収に優れたものの方がいいが、砂糖の甘味は口内を酸化させるので、水がいい。
よく咬んで食事をすると、咬む時の顎の働きで唾液腺が刺激される。唾液を増やすにはガムを噛むのも有効!
厚洋さんは歯がなかったので、飴玉だった。だから、糖分で更に口腔内は酸性化していたのだ。
舌の運動をする事もいい事。舌を動かすと唾液がでる。
👅口を開けて舌を出し、上下左右に動かす
👄口を開けずにほうれい線を押すようにして舌を
回す
👅舌先で歯の裏側の奥歯から前歯を通って
反対側の奥歯までなぞる
マッサージするのも良い。
👍指を使って外部から唾液腺を直接刺激する方法
こめかみの下、
耳たぶの前側に耳下腺という部分があるの
で、
ここを4本の指でゆっくりと回すように
マッサージをすると唾液がじんわりでて
くる。
顎の下から親指で舌を押し上げるように
マッサージするのも効果的!
(これはすぐに唾液が出る!)
真愛は、厚洋さんの止まった年に近づいている。
真愛の方がずっと若かったのに、
「婆さんになったなぁ!」
と言われるのは嫌である。
「オーラルフレイル」にならないように、
noteを書きながら、舌の運動をせにゃならん。
ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります