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後悔

 LINEのニュースの中に面白い記事が載っていた。【彼氏がゾッコン!浮気ゼロの恋愛の秘訣を持つ女性の3つの特性】
 真愛は、
「女房思うほど亭主もてもせず…。」と揶揄われるほど、やきもち焼きの女房だった。
 亡くなるまで、(真愛の方が彼に惚れてお嫁さんにしてもらった。)と思っていた。
 だから、誰かに取られちゃいけないと思っていたし、結構女の人に優しくする厚洋さんの噂を聞いては、ヤキモチを妬いて彼に怒鳴られた。
 しかし、真愛は、【浮気ゼロの秘訣を持つ女】に近かった事を感じさせる記事を読んだのだ。
 以下、抜粋しながら、考察する。

 男性が恋愛の中で浮気する原因は様々だが、
一部の女性に対しては【絶対に裏切れない】と感じさせることができる特徴が見られるという。
 それらの女性が用いている浮気防止策は厳しい束縛や厳重な監視ではない。
 男性が【浮気をしてはいけない】と思う女性の特性を3つピックアップしていた。

押しかけ女房

ー 抜群の記憶力 ー
 彼氏の小さなエピソードから大切な記念日まで、細部にわたって覚えている女性の存在。
 どんなに記憶がよくても、それがストーカーのように感じてしまうことはない。
 それどころか
「彼女が僕のこと覚えててくれるんだ」
と男性が感じることで愛情を感じさせ【裏切らない】理由になるという。
 真愛は、なかなかの記憶力である。
 学習でその力を発揮することはなかったが、好きな人の些細な一言もしっかり覚えていた。
「お前は、よくそんな事まで覚えてるね。
 女ってみんなそうなの?」
 初めてのキスの話をして、「同じがいい!」
って言って、大笑いされた事がある。
 当然、彼が好きと言ったことは、ちゃんと実行した。厚洋さんは、いつも笑いながらも嬉しそうだった。
 真愛は、可愛がってくれるからしていただけのことだったが、
「いつも、俺のことを考えてくれているんだ」
と思っていてくれたのだ。
 真愛を大切に思っていてくれたから、真愛が辛くなる「病気を知らせること」が出来なかったのだ。
「苦しみは分かち合いたかった。」
と言った真愛の頭を撫で撫でしてくれた。

あっくんとまあちゃんの話

ー 信頼心 ー

 男性は無条件の信頼を女性に預けることができるそうだ。
「彼女は僕を疑わず信じてくれるから、
 他の女性と遊んだり、
 嘘をついて彼女を悲しませる事は出来ない」と思うらしい。
 信頼関係の構築は男性が浮気しないための鍵であり、束縛や疑い深さは逆効果となる可能性があるという。
 この点は違うな。
 彼は真愛を信頼してなんでもやらせてくれた。しかし、真愛は、厚洋さんの仕事や生活全ては信頼して彼の好きなようにさせたが、女性のこととなるとすぐに「ヤキモチ」を焼いた。
 泣いて
「真愛を見て!
 真愛は、厚洋さんが大好きなの!
 どっかに行かないで!」
と喚くと大怒鳴りの後、真愛を抱きしめて
「浮気なんてしてないよ。
 お前しかいないだろう?
 どこにも行かない。」
と言われると全てを信じた。
「お前は子宮で思考するんだな。
 嘘なんてつけない。」
という言葉も鵜呑みにした。
 厚洋さんを信頼している真愛を愛しいと思っていてくれたことは確かだ。
「ヤキモチもお前のは真っ黒焦げだ!
 何をするか分からんから恐ろしいぞ。」
と呆れられて、浮気なんてできなかったのかもしれない。


ー 言葉ではなく、沈黙の意味 ー
 男性が何か秘密を隠していると感じた場合、それを直接問い詰める、または携帯をチェックしようとする女性もいるかもしれないが、それよりも会話中のピンとくる沈黙が有効。
「何か知ってるの?」
と男性が感じるような意味深な沈黙。
 それ自体が、浮気心を防ぐための力強い武器となるという。
 これは本当。
 浮気だけでなく、気に入らない事への対処法も【短い意図的沈黙】が有効である。
 女の人に優しい彼は、同僚や保護者の悩み相談を聞いてあげていた。
 飲みながら聞くので、当然真愛もお迎えのために一緒に聞く。真愛の前でもとても優しくするので、帰りの車の中で真愛は【意図的沈黙】をする。
 すると、
「ねぇ〜。なんか怒ってる?」
「……。」
「◯谷さんに優しくしすぎた?」
「……。」
「ねぇ〜。真愛ちゃん?」
「怒ってます。
 真愛の気持ちわかりますか?」
「うん。どうしたらいい?」
「誤ってください。」
「うん。ごめんね。真愛!」
「愛してる?」
「うん。愛してる!
 ミニストップの
 ソフトクリーム食べますか?」
って、一戦終了!
 長すぎる沈黙は良くない。
 お互いが笑顔で、さらっと過ごせる事が良かった。

本当はお馬鹿な二人

ー 尊敬できる一面の存在 ー
 男性がパートナーに対して尊敬心を抱くと「嘘をつけない」
「浮気なんてできない」
と思う傾向があるそうだ。
 彼が元気なうちは、専ら真愛が厚洋さんを尊敬していたし、厚洋さんは滅多に真愛を褒めなかった。
「頑張ったね。」とか「良かった。」と認めてくれたことは沢山あったが、6歳年下の教育実習生のまま、弟子のように可愛がってくれた。
 真愛も厚洋さんは「師」であると思っていた
亡くなってから
(私の事をどう思っていたのか、
 ただの同居人だったのか?)
と不安になり、「妻」としての存在を確かめたかった。そこで、彼の友人や同僚・弟妹に尋ねた。
「真愛の事をどう思っていたのでしょう?」
 そこで返ってきた言葉は、
「可愛くって堪らない奥さんだよ。」
「何でも一生懸命やるいい教師って言ってた」
「お兄ちゃんはね。
 真愛は凄い奴なんだ。
 何でもできる奴なんだって
 誇らしげに話していたわよ。」
と聞いた。
 彼が逝って5年が過ぎ、互いに尊敬できる存在だったと信じられる事をたくさん聞き、切なくて堪らない。

 浮気の心配をするよりも、豊かな心と落ち着いた態度を持つことが大切なのだ。
 今更知っても詮無い事だが…。
 彼は、
「そんなの噂だ。 
 俺は知らん。
 俺を信じられるか!」
と言った事も思い出した。

愛してる❣️って

 厚洋さんが逝って、1871日も過ぎているのに漸く分かった彼の言葉の真実。
 あの時言った彼の言葉を信じれば良かった。
「俺は浮気なんてしてない。」
 そして、彼に言わせなかったたくさんの真愛への思いを「残された言葉」と「周りの人に告げた言葉」から、1871日もかかって知る事ができた。(これからも真愛の接する情報から「告げられなかった真実」を知ることになるのだろう。)
 どうしよう。
 もう御免なさいがが言えない。
 病床で伝えた「愛してる」だけでは、言い切れなかった思いを伝える術がない。
 後悔とは、こういう事をいうのだ。

 生きているうちにもっともっと素敵な妻でいたかったな。

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります