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日本語教室で
国際交流協会の日本語教室(土曜日)にボランティアとして参加している。
英語が苦手な真愛でも、日本語で日本語を教えるのはなんとかできる。
相手が大人なので、小学校教員をやっていた時より教えやすいが、言葉の壁は結構高い。
テキストから離れて、日本文化について話し始めると、片言の英会話となる。
身振りだったり翻訳機だったり絵を描いたりとそりゃ大変になる。
ネパール語しか話せない50代の女性が来た時には、ポケトークでテキスト内容を説明した。
全く日本語も英語も話せない人には、表情とジェスチャーしかない。
ジョン万次郎が最初に漂着した日の気持ちがわかる。
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さて、土曜日の日本語教室は、10時から11時半まで学習をする。
その後の30分の過ごし方だが、週4回あるうち1週目は「meeting・研修」
2週目は「読み聞かせ」
3週目は「meeting・連絡確認」
4週目は「お誕生会❣️お茶会」
である。
コロナが始まる前は、学習が終わるとみんなが一同に会してお茶会をしていた。
新しく入った人を紹介したり、最近のことについて話したり自分の国について話したりととても楽しい会をしていた。
ところが、コロナになって食事もだめ、密になることもダメ。
そこで11時半になるとみんな「さよなら」になった。
味気ない3年ちょっとを過ごした。
去年も曖昧で、最初は歌を歌う時間にした。
七夕様の時にみんなで七夕飾りを作って、歌を歌い、そうめんを食べたが…。
その後、なんだかたち切れになった。
そこで今年はリーダーさんがしっかりと宣言したのだ。
「今年は10時から12時まで
しっかりここで日本語、
日本の文化について学んでもらいましょう」
素敵なリーダーさんだと思う。
そして今回が真愛担当(読み聞かせ)の日だった。
前回の方が「笠地蔵」を読み聞かせた。なかなか良い雰囲気だった。
2回目になるとプレッシャーを感じる。
絵本だけだと難しくて興味を示さない子もいる。聞いてるだけだと日本語がわからないとつまらなくなるんだ。
悩んで、悩んで、悩んだ結果。
絵本は使う。
昔、厚洋さんが買ってくれた「しばわんこの和の心と」言う絵本だ。
その中に日本の伝統行事のことやお祭りや季節の過ごし方が書いてある。
いろいろな和文化についてワンコとにゃんこが人間の世界に入って一緒に学んで行くお話である。
小学校教員の時にも重宝した絵本である。
その中の「6月夏じたく」という項目にスポット当てた。
6月は梅雨時で「蒸し暑」という話をし、扇子と団扇の違い。そして、蒸し暑い日本でも和服は意外に涼しいという話もしたい。雨の話なので蛇の目の傘も見せる。
(最近の外国人にお土産に人気が出てきた)
最後に雨の日でもやれる和の遊びを…。
と計画した。
1つはお手玉。
小学校教員の時にたくさん持っていたのでそれを使おうと思ったが、10年前退職したときにきれいさっぱり「お手玉・けん玉・竹とんぼ・ビー玉…。」なんだかみんな捨ててしまった。とてももったいないと思った。
退職してからは、和文化なんて必要ないと思ったのだ。ところが、外の物置の奥に「おはじき」がいっぱい入った缶が錆びついて入っていた。
なのでお手玉は見せてちょっと遊ばせる程度。
おはじきはみんなでやる。
買った人には、「団扇の絵はがき」をプレゼントすることにした。
前日の夜お手玉を作った。
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当日、何せいつも服で通っているボランティア先生が着物を着てきたんだ。
「先生どこかに出かけるのですか。」
と聞かれた。
「いいえ、今日のお話にこの着物がどうしても
必要なんです。」
外国の人にとって日本の着物はとてもきれいに見えるらしい。
そりゃそうだ。
いつもの服をさっと着ていくのと違って、1時間も早く起きて、髪の毛をセットし、着物を着て、帯を締める。
歳をとってくると、帯を締めるのも大変。
一苦労だ。
でも和文化を知らせる時には、和装でないと味気ない。
まして6月、☂️雨。「夏じたく」には、どうしても着物が必要だった。
本当は着物は一重がいいのだが、前日までが寒かったので、色合いだけが「夏」だった。
蛇の目の傘を雨降りと一緒に説明するので、どうしても着物姿が必要だった。
更に団扇と扇子の違い。
団扇は、浴衣だが着物は扇子。
正式な場に着る留袖や茶席には小さな扇子を帯に挟む。
扇子にはいろいろあって香木で作ったもの、絹張りのもの。
そして舞扇まで持っていった。
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仲間のボランティアが途中で合いの手を入れてくれる。
「団扇は中国が発祥だね。」
「扇子は日本独特。」
「それ竹で出来ているけど、鉄扇とかもある」
「そう、戦いの時にも使う鉄の扇子。
ちょっとした刀は避けられるわね。」
ボランティアの仲間は面白い。
いろんな方向から突いてくれる。
ノリノリの真愛はやらなくても良いお座敷遊びの「扇子落とし」までやってしまった。
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「雨の日の過ごし方で、お家の中で遊んだ
ゲーム。
これは昔の女の子がやっていた遊びです」
と教えたお手玉に食いついたのが中学生の男の子。
ジャグリングってわかるけど、どうも2つを片手であげるのは難しいらしい。
真愛も3回までしか上げられない。
それまでの彼はなんと真愛の話も耳だけでは聞いているが、手はスマホを触っていた。
ところが「扇子落とし」で扇子を飛ばし小物を当てる事に挑戦してからスマホどころではなくなった。
お手玉を始めると自分もやりたくなったらしい。夢中で挑戦していた。
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最後の「おはじき」になると外国の方もボランティアの方も夢中になってやっていた。
ルールは昔よりも厳しくしないで、ちょっと簡単に…。
ほんの7分ぐらいしかやらなかったが、大笑いしながら、「止まった!」の「落ちた!」だの「もっと強く!」だの「悔しいな!」の声が飛び交い笑い声を上げながら遊んでいた。
日本文化なんて、肩ビジを張って知らせなくてもいいと思う。
あるボランティアがインドネシアの人に聞いた。
「ねぇ。
インドネシアにもこれと同じ遊びあるん
でしょ?」
「はい。」と答えながら夢中で遊んでいた。
真愛が思った事は、
(できれば、次は各国の遊びについて、
彼らが私たちにプレゼンテーションして
くれたらいいな。
君津の子供たちが、外国の人に日本の遊びを
教えて。
外国の人から子供たちの遊びを教わる。
素敵だな!)と思った。
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考えてみると、今は世界中どこに行ってもスマホでゲームだ。
ピカピカピコピコと動かしながら無言でゲームをしてる。
イヤホンをつけて音楽を聴いている。
外に出てゲームしようって言ったら、
「サッカーだ。」
「フットサルだ。」
「ボルダリングだ。」
「スケボーだ。」
世界共通の遊びである。
世界共通の遊びがあっていいと思うが、その国独自の遊びもあっていいと思う。
その国のその季節だからこそ遊べるもの。
それがどこの国にもあるはずだ。
食文化と同じように遊びの文化。
小学校の教員だった頃なら、きっと飛びついてこれを研究したんだろうが、夜年並みにはかなわない。
1回目の「読み聞かせ担当」の役割を終えたらもういいやと思ってしまった。
いやだねぇ。
折角、良いチャンスを貰ったのに、もうちょっと明日に向かって何かをしたいとか、1年後に向かって何かをしたいと思える人間でありたいな、
とちょっとだけ思った。
ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります