見出し画像

極めて危険な日

 極めて危険な日が1週間も続いている。
 庭の鉢植え植物は、水をやっても熱射で枯れ始めている。
 末10年前に「神宿りの石」という地元の言い伝えをもとに子ども劇の脚本を書いた。
 君津市の黄和田畑を舞台とする弱虫男の勇気の話だ。(良いお話なのでマガジンで開いてお読みください❣️)
 さて、お話は、しばらく日照りが続き、作物が思うように育たない年が続いた夏のある日のこと。
 花立を通った太郎べえは、道ばたの仏さんから、うんうんと苦しんでいる声を聞きました。 
 よく見ると、女の子が屈んで泣いています。足首からは血がにじみ膨れあがっていましたと展開する。
 遮光カーテンから漏れる光ですら熱く感じる時刻になったのにまだ寝ている。
(昔話って、日照りや嵐や大水の時に作られる
 んだなあ。
 人間の力ではどうすることもできない天候や
 災害に対して、理想の人間像を作り出すんだ 
 ね。
 何とかの大飢饉なんていうのも干ばつや災害
 の時に人がたくさん死ぬのだものね。
 こんな冷房の中でゴロゴロしている人間なん
 て想像できなかっただろうな。
 申し訳ない。
 起きなければ…。)
と、効きが悪くなったエアコンを消して、一階のリビングに降りていくとムッとする暑さである。
 いつもの掃除と仏唱と薬を飲みすぐ出かけるのだからリビングのエアコンはつけず扇風機を回す。
 電気代の節約である。
 政府は7月28日、物価高対策で再開する電気代の負担軽減策について、8、9月は1キロワット時当たり4円を補助すると発表した。都市ガスは1立方メートル当たり17.5円を補助すると言っていたが、既にこの7月が危険な暑さなのだ。7月分を節約して死んでしまう高齢者は無視なんだろうなと思いながら床掃除をした。
 汗は吹き出てくるし、息も苦しい気がする。
 床のモップ掛け、ゴロゴロを使ってのマットの上掃除。テーブルや棚の上をウエットティッシュで拭くのだが、家の中のテーブルが温かい。
 洗濯を干しにガラス戸を開けようとするとアルミサッシで火傷をしそうだった。
 物干し竿の移動は、干す状態の濡れタオルで触ったが数秒で熱くなった。
 毎朝のお仏壇前での「般若心経読み」真愛は「仏唱」とメモしている。
 仏唱していても、心穏やかにはならない。
(暑いよ。厚ちゃん。
 言い方が悪いけれど、早く逝って良かったわ
 こんな暑さの中では、冷房嫌いな貴方は生き
 られない。そんな貴方と真愛は絶対に喧嘩す
 ると思う。
 コロナ禍も台風被害も地震もこの異常気象も
 経験しないで良い時に逝って幸せよ!)
 舎利子ではなく自分に言うが、
 是諸法空相不生不滅不垢不浄不増不減
 是故空中無色無受想行識無眼耳鼻舌身意
 無色声香味触法無眼界乃至無意識界
 無無明亦無無明尽乃至無老死亦無老死尽
 無苦集滅道無智亦無得以無所得故
 菩提薩垂依般若波羅蜜多
 心頭滅却してもこの暑さは涼しくならない!
 
 9時まで寝ていて、10時に歯医者さんにいくのだからぐずぐずしていられないのに、余分なことを考えてしまう。
 仏唱が終われば、ヨーグルトを食べて薬を飲んで支度をすれば良いのに、そんな時に限って、お腹が空いて朝ごはんを食べたくなる。
 作ればガスを使うから熱くなるし、片付けもしなければ出かけられないし、時間がないのに賞味期限が明日切れる卵を2つも使って玉ねぎと人参とトマトを入れた大きなオムレツを作った。
 オムレツだけ食べるのは、見た目が良くない。こんなふうに思うのは厚洋さんとしっかりした生活をしていた習慣のせいだろう。
 ピザトーストを作り豆乳ココアを作った。
 夏バテは、『食べないことから起こる』厚洋さんに言われたことを思い出し、作ってもらって食べていた幸せを飲み込むように大量の朝食を摂って薬を飲んだ。
 歯医者さんに月一度の歯のお掃除に行くのだが、その前に(歯医者さんに褒められるように歯磨きをする。)
 時間がなくなるから、洗顔の後は日焼け止めクリームのみ、せかせか動くので汗も一層出る。
 2階に行って着替えたが、既にエアコンを止めている中での着替えは更に汗をかく。
 節電のために全ての電気を消してSECOMをセットして施錠。
 9時50分の外気温は34度あたり。
 車の鉄板部分はオムレツが焼けそうだ。
 エンジンをつけると熱風が汗のTシャツを温める。
 窓を開けて外気を入れたが、熱風温度は内外一緒。
 歯医者さんの待合室は涼しかったが吹き出た汗は、シャツのあたりに染み込んでいる。
 予約制なので5分後には診察室へ。
「お変わりはありませんか?」
「はい。」
「では、お掃除していきます。」
「すみません。
 汗が噴き出ていて…。」
 このクソ暑さの中でパタパタと動いた結果、5分足らずのエアコンの中では汗が引かなかったのだ。更に歯医者さんだと言うのに、顔。それも鼻から口にかけて汗が出る。
「すみませんね。
 私、こんな涼しいところで仕事をしていて
 今年の暑さは異常ですね。
 いや、年々酷くなるみたいな気がします。
 ほんと‼️すみません。
 涼しい所で仕事させてもらって…。」
 どう答えて良いものやら、困ったまま口を開けて掃除をしてもらった。
 大きな鯨になった気がした。
 歯の掃除は5分もかからず終了する。

 清算まで待合室でスマホを開いて占いを見た。
【暑い時は自分の幸せを優先することで、
 心から満足する時間を過ごすことができるで
 しょう。
 目標に向かって進む前に、自分は何を望んで
 いるのか、明確にしてから行動すると◎。
 より効率的に目標に近づいて。】

【真愛の幸せ=厚洋さんを思う事】なので、予定通り、厚洋さんのお墓参り(月曜日・命日)に行ってお掃除をして夏のお花に取り替えることにした。
 これがいけなかった。
 暑い時は家の中でcoolerをつけてじっと我慢がいいのだ。
 暑い時は自分の幸せを優先したお陰で、
《お墓石で火傷をし、
 熱射病?日射病?熱中症?になった》
 家に帰ってもOS1が無くなっているので、ドラックストアに寄ったら、更に吐き気がした。
 涼しい・暑い・涼しい・暑い・涼しい・暑いとたった2時間の間の変化に身体がついていかなかったのだ。
 極めて危険な日だったのに…。
 
  世の中、極めて危険な日に働いている方々がいる。
 心からご無事を祈りたい🙏

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります