見出し画像

こんなふうに生きてみたい

 感想文が書きたくなったのは、さだまさしの
「さだまさしが聞きたかった《人生の達人》タキ姐のすべて」を読んだからである。
 感想文なんて、小学校の夏休みの宿題には出したが自分で書きたいと思ったことがない。
 授業研究・学習指導案では、扱う文学作品について述べる部分がある。
 それについて書いた事は沢山あるが、読書し終わって
「はい!
 感想文を書きましょう!」
って言うのは、1番嫌な事だと思っていた。
 
 良い本に出会って、ボロボロ泣いて「そうだそうだ!」と頷いて、読み終わった本を抱きしめたら…。
  それが終わりでいいと思う。
 厚洋さんはそれがわかっていたから、自分の読んだ本が良かったと思った本なら、テーブルの上にポンと置いてくれていたのだ。
 年に数回、
「これ読んでみろ!
 なかなか面白いぞ!」
と、一言添えて手渡してくれたり、新刊本を買ってくれたりした。
 そう言う本は、本当に面白かった。
 そうなると、自分でその作家さんの本を買って読み始める。
 読み終わって厚洋さんにも…。と渡すと、彼は「ムッ!」としていた。
 真愛より先輩で居続けたいのだ。
「俺は良い本を見つける力がある!」
と、読書家の自尊心が傷ついたのだろう。

 真愛も厚洋さんも子どもに読書感想文を書かせるのは上手かった。
 彼の指導で「全国読書感想文コンクール・全国大会」で受賞した子もいる。教え子さんが賢い子だったことが大きな要因だが、その子の感じ方の面白さを上手に表現させた。
 真愛は、県大会までは進めさせられるが、全国大会までは進めさせられなかった。
 読書感想文の話になると、必ずこの話になって『俺のが凄いな!』と言ったので、
『教え子が凄いんでしょ?
 お互いに自分が書いたんじゃないもん。』
と言い返した。
 しかし、彼の作文指導はとても面白く、子どもが知らないうちに本音を、自分の言葉で書く様に育てていた。
(この点で既に真愛の負けは決まっていた。)

 そんな読書感想文なので、自分で書いた事はない。しかし、読後感想を誰かに読んでほしいと思った本を読んだのだ。
 ムッとされても、伝えられる厚洋さんがいないのでnoteに書く事にした。
(真愛にとってのnoteは、厚洋さんだ。)

「さだまさしが聞きたかった
 《人生の達人》タキ姐のすべて」である。
 このnoteに「使命感」と言うテーマで書いたが、それ以外にもいくつか大いに「生きる力」とさせてもらう内容があったので、自分の記憶のためにも書いておくことにする。
《使命感》
「使命感・自分ができることを遂行する。
 なにをしたいかが大事だってこと。
 それはいつでもみつけられるって。
 まず見つける気持ちを持ちなさい。
 自分は、だれの役にたちたいの?
 どうやってこれから生きていたいの?
 そのひとにとっての「生きがい」という
 優しい言葉もあるし、
「使命感」という哲学的な言葉もあるけど、
 とにかく何かをやって、何かを感じる。
 そのためにはどうしてらいいか。
 やっぱり人の話を機会ある毎に聞く姿勢が
 幾つになっても大切なんじゃないかな。」
と、さださんに語るのだ。

《老いても、尚、人間として生きる重要性》ということ。
 これを読んで、「使命感」なんて立派なものではないけれど、「生きる甲斐」「生きる目当て」は見つかった。
【真愛が死んで、
 厚洋さんが迎えに来てくれた時
『よく頑張ったな!』って褒めてもらうこと】
 これが真愛の目当てだ!
《いつでもあなた自身でありなさい》
 初めて公演の仕事をする時にバリバリに練習し準備をしていたタキさんに向かって、母である加藤シヅエさんが言った言葉。
「あなたはあなたなんだからね。」
「あなたは今日初めての講演だからね、
 きっと上手くやりたい、上手く喋りたい、
 気に入ってもらいたい、
 拍手をちゃんとして頂きたい、
 そう思ってるでしょ?
 その瞬間、
 あなたはあなたじゃないわよ。」
「万が一言葉が詰まったり、
 ここで笑ってくれると思ったところで笑って
 もらえなかったりしても、
 それはその時のあなたでしかないんだから、
 そこから何を学ぶかが重要なの。
 always be your self
 いつでもあなた自身でありなさい。」
「カッコいい。」
とさださんが反応してしまう気持ちがよく分かる。格好いい!
 人に良く見せたいと思った瞬間に、自分じゃなくなるんだ。相手に気に入ってもらおうとするのではなく、「一つの目標に向かって真心を持ってベストを考え、今自分が最大限できることをやる。
 失敗してもいいということではない。 
「今、やっている事に目当てがある事。
 その目当てに向かって、真心をもって
 私が出来ることを最大限やる」
 それで失敗したら、反省して次を考えればいい。死なないで生きていればいずれ、成せる!
 最高の応援歌である。
《心の洗濯時間》

加藤タキさん

 御歳78歳とは思えない美しいタキさん。
「タキ姐は、努力して来たからね。
    美しくなる努力をして来た。」
というさださんに、
「どうだろう。
 でも、まず大切なのは、
 毎日やる事があるということね。」
と、現在でも仕事がある事に感謝し、それは夫の黒川氏が言ってくれた事。
『何か止めるのはいつでもやめられる。
 でも、一回辞めちゃうと戻すのが大変だから
 細々でいいので、繋いでおきなさい。』
『仕事を続けなさい。』
と言われたという。
 真愛も厚洋さんに
『やめないこと!
 お前やめたら、
 絶対、またやるなんて事しないから…。」
と言われて、水泳も文章作りも絵を描くことも
ボランティア活動も続けている。
『始めた事は、最後まで…。』
って良く言われたが、自分は結構途中でやめていた。
 何かをやり続けるって、若くいるためには大事な事だと思う。 
で、美しい人についての話が面白い。
「どうしたら若く見られるかではなく、
 自分らしく見えるには何が大切か。」
だとおっしゃる。
 お母様の加藤シヅエ先生が言った
「美しくあるのはいいんだけれども、
 自分を省見ない人は決して美しく無い。」
という言葉が基本だという。
 鏡を見て、自分の表面しか見ない。
「心の中を映すのが鏡でしょ?
 鏡を見るときには、
 あなたは心と対話しなさい。」
 シミが増えたとかシワが増えたとかじゃなくて、「今のあなたの心の状態は元気なの?健全なの?」って自分自身と対話するのが大事。
 納得・納得。
 真愛は、いつも表面しか見てなかった。
 美しくないわけだ!
で、『否定的な3Dは言わない!』
《だって!でも!どうせ!》
 厚洋さんも言っていた。
「この言葉を言う奴は、絶対進歩しない。
 伸びようとか、学ぼうなんて
 気持ちがさらさらない。」
 そんな厚洋さんだったから、真愛がエステに通っても、着物を着たいと言っても、
「どうせ…。」
という言葉を言わなかった。
 世の旦那様たちの多くは、奥様がエステに通うと「どうせ!今更、やったって…。」とバカにする方が多いとエステの先生に伺った。
 エステの先生は厚洋さんを褒めていた。笑笑
 いいお客さまの応援団だったからだ。
 加藤シヅエ先生の言葉
「100歳だからって、
 100歳らしくする必要はない。
 あくまでも自分らしくしていたいの。」
 [ねばならぬ]から自由でいないとね。
 若い頃から、女優さんでもないのに、ぶっ飛んだ格好をする教員だった真愛に
「お前がお前らしくいられるなら、
 それでいい。」
と言ってくれた厚洋さん。
 陰で真愛の悪口を沢山聞いたのだろうな。
「教員だから…。・・・ねばならぬ!」
が大嫌いだった厚洋さんは、加藤シヅエ先生が好きだったのかもしれない。
 そんな厚洋さんに沢山守られていたことを実感した。
 そんな加藤シヅエ先生がやっていた事が、真愛とそっくりな事だった。
 旦那様が亡くなった後、シズエ先生は、
【心の洗濯時間】と称して、毎朝、旦那様の魂との対話の時間を続けていたそうだ。
「世間では今、こんなことが起きてるのよ。
 あなたならなんていう?」って対話。
 心の洗濯時間とは思っていなかったが、独りになって「自問自答」と同じなのかもしれないが、「己を厚洋さんの視点から省みたらどう見えるか。」「問題になっていることを彼の視点で言うとしたら」と、自分だけじゃない別の…それも師と思う厚洋さんの考え方を通して…。
 
ー 男と女 ー 
 加藤シヅエ先生102歳の折のエッセイ
「愛も信念も」の一節から
 近頃、結婚をすると、自分の自由がなくなる
 と思っている若い方が多いそうです。
 が、本当の自由とは、時間や空間ではなく、
 どれだけ自分の信念に忠実に生きるかと言う 
 こと。
 そして、信念を支えるのが愛、
 ひいては家庭なのです。
 愛し尊敬できる相手ならば、
 愛も自由も努力次第で確実に手に入れられる
 のです。
 私はそれを信じ、実行し、今年102歳。
 元気で今の空気を吸っております。
 happyです。」
 素晴らしい方です。
 そして、素晴らしい相手(旦那様)です。
 真愛もそうやって支えてもらって来た。
 涙が出るほど、嬉しかった、国会議員さんと教員とでは違うが、同じ思いと言うことが嬉しかったし、我が家も素晴らしい家庭だったと褒められた気がしたのだ。
 この本・加藤シヅエ先生に出会って、「これからどう生きたらいいか。」
 理想の人が見えて来た。
 加藤タキさんが「母が理想です。」と言うのと同じ、真愛も自分の母の生き方が理想だと思っていた。しかし、母は未婚の母であったので父と一緒の生活は少なかった。
 その不足分の夫婦像を教えてもらった気がした。
 感想文の文字数は限られていないが、ダラダラと書いてしまうと、自分の記憶にも残らなくなってしまう。
 なので、残りのさだまさしさんの話やタキさんの世界のスターから学んだ話の面白さは、別の機会に…。
  何しろ、面白いからちょっと自分で読むといいかもしれない。







ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります