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白露も重陽もお月見も…。

 こんなに近かったっけ?
 厚洋さんが元気で、毎日、晩酌をしていた時にも感じたんだろうか。
 9月  8日 白露!
 9月  9日 重陽の節句
 9月10日 お月見❣️

 我が家の「白露」の日は、
「今朝から、涼しくなりました。
 しめ鯖を少し炙りましょうかねぇ。」
なんて言っていた気がする。
 興梠の声も心なしか落ち着いて聞こえた。
「白露」
 二十四節気のひとつ。
 早朝などに草木の先や花に露が結び、白く光って見える頃なので、白露。
 今年は9月8日(木)から9月22日(木)までがその時期。
 まだまだ、昼間は蒸し暑いけれど、秋の気配が色濃くなっていく白露である。

 そして、翌日9月9日が、縁起のよい
「重陽の節句」
 五節句の一つで、菊の節句ともいう。
 家訓「酒の一滴は、血の一滴🩸」という厚洋さんだから、その日は、ウヰスキーを飲む前に日本酒に菊の花びらを散らして頂く。
 当然、おつまみだってそれなりに、「重陽」らしくする。
 9月9日は、中国で縁起がよいとされる陽数のうち、最も大きい「9」が重なる日。
 この日、中国では、小高い山に登って、菊の花を浸した菊酒を飲んで、健康や長寿を願ったので、菊の節句。
 菊の香りには、長生きの効能があると考えられていたので、この日に「菊の枕」なんて贈る人もいたらしい。
 要するに健康で長生きを願って菊酒を飲んだのだが、重陽の酒も飲み過ぎれば良くないのだ。
 今年の「中秋の名月」は満月。
「中秋」とは旧暦8月15日の別称で、
 今年は9月10日(土)が中秋。
 1日前の月は「待宵」…。美しい!
 十五夜は旧暦で毎月15日の夜のことだが、単に「十五夜」というと、旧暦の8月15日の夜をいうらしい。

お月見のお団子が売られていた。

 中秋の名月は「芋名月」と言い、これは中秋の名月にサトイモを供えたからだ。
 サトイモのほかに、団子、栗、ススキなどもいっしょに供えるが異常気象で暑かったのか、ススキの穂はまだ緑色をしている。
 我が家の地区では、「お月見」→「団子釣り」の風習がある。
 子どもたちが「お月見の夜」だけ、お月様にお供えしたものを、釣り竿で刺して盗むのだ。
 その夜だけは、子どもたちは月の化身で、盗んだのではなく、
「お月様が召し上がった。
 これで、来年も豊作じゃ!」
と喜ぶのだ。
 中秋の名月=満月と思っている方も多いが、意外にそうではない。ただ、煌々と輝くので何となく丸く見える。
 しかし、今年の中秋の名月は満月!
 団子釣りの釣竿もハッキリ見えてしまうのだろう。
(最近では「盗む」行為が良くないので、
 子どもたちは、各家々を回って
「今晩は。お月見にきました。」と言って
 お菓子を貰うらしい。
 お団子と並んで、「お月見セット」として
 駄菓子の詰め合わせが売られていた。
 なんだか…。
 の世の中である。
 子どもたちは、来る遠足のオヤツとして、
 ばっちり頂いてくる。
 まるで、ハロウィンである。)

萩の花

 今日、食用の菊を買いに行ったが、何処にも売っていなかった。
 お刺身の横についていた黄色の小菊は、作り物だった。
 厚洋さんが逝ってしまっても、季節の行事はやりましょうと思っていたのだが、喜んでくれる人がいないと、「勿体無いのでいいかな?」と思うようになってきてしまった。
 健康を願うのも、美しいものを語り合うのも、相手がいてこその事だ。
 お月見に飾る花は、吾亦紅と芒だったのだが、我が家の庭の「萩の花」と「月のような色の薔薇」になってしまった。
「おい、おい。
 萩の花良いとしても、薔薇か?
 団子釣りが、ハロウィンになったような
 もんじゃないか?
 お団子は、真愛が一人で食べるんだろう?
 また太っちゃうね。
 満月を孕んでしまうぞ!」
って厚洋さんが笑ってる。

萩の花

 厚洋さんの部屋から見える萩の花は、溢れるように咲いている。
 夜露の一粒一粒に月の光が入り込んで、萩の花が光っている。

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります