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七草

 七草って打ったら「憎さ」って出できた。→を入れなかったからだ。「肉さ」とも出る。
 ひょっとした偶然が面白い記事を書きたくなる。しかし、今回は打ち間違いの面白さではなく、正当な伝統行事「七草」について語りたい。
 noteを書き始めてまる2年。
 毎日、一記事公開を目標にしてきたので、同じ季節には話題が重なってしまう。
 去年だって、コロナ禍の真っ最中、無病息災を願って「七草粥」を作って、その思い出話を書いた。
 どこかのテレビ番組と同じで、話題がなくなると昔のVTRを流して済ませてしまう。
 それでは、noteを書くことによって「文章表現力」を身につけるという目標は達成しないので、今年も新しい記事にしたい。

 穏やかなお正月も終わり、
「さあ、出勤前に七草粥。
 それじゃあ。
 腹持ち悪くて昼まで持たねぇ〜。」
 飯も食べてくよ。」
って言いながら、お丼のようなご飯茶碗でお代わりをして、3学期の初出勤をして行った厚洋さんを思い出す。
 若い頃は、朝ご飯をたくさん食べてくれた厚洋さんだった。
 新婚から、2年間は真愛が朝ごはんを作っていたから、無理して食べてくれていたのかしら。
 つわりが酷くなって、妊娠中毒症寸前で出産。夜泣きの新生児の世話と大変な真愛を心配して「朝ごはん作り」を代わりに始めてくれた厚洋さんだが、お正月のお雑煮と七草粥だけは真愛の分担にしてくれた。
 季節の行事をちゃんとやらせてれたのだ。

 いにしえ人は、年初に雪の間から芽を出した草を摘む「若菜摘み」という風習あった。
 これが七草の原点だと言う。
 また、中国の歳時記に
「人日」(人を殺さない日)である1月7日に、「七種菜羹」という7種類の野菜を入れた羹
(あつもの、とろみのある汁物、お粥)を食べて無病を祈る習慣が書かれている。
「四季物語」には
「七種のみくさ集むること人日
 菜羹を和すれば一歳の病患を逃るる
 と申ためし古き文に侍るとかや」
とある。
 したがって、七草粥の風習は、中国の「七種菜羹」が日本に伝わり、日本なりの方法で広がったものだろうという。
 だから、七草を切る時に
♫七草なずな、唐土の鳥が渡らぬうちに♪
 ストトン。ストトン。ストトン トン!
と叩きながら切るそうだ。
(音楽の教科書に書いてあった。)
唐土とは、中国のことだ。
 こんな事を厚洋さんと毎年話しながら、七草粥を食べたのだ。母は、七草粥にお餅を入れていた。

 百人一首の中にある
「君がため春の野に出て若菜摘む
         我が衣手に雪は降りつつ」
の歌も七草のことなのかなって、厚洋さんと話した事がある。
「七草は全て身体にいい食べ物なんだ。
 昔から、健康でいたい。長生きしたい。
 っていう思いは同じなんだね。
 君が為なんだよな。
 男って、何時も自分より
     「あなた」なんだよなぁ。」
と笑うので、
「それは、帝のために罪に行ったのです。
 まっ、大切な人の長寿を願って
 春の野草を贈ったのは違いないけど。」
と言うと、
「いや、女の人にだな。」
と強調した。自分が真愛のために作っていることが言いたかったのだろう。
「そうかあ。真愛は厚洋さんのためにスーパーで 
 七草を買ってきて、
 厚洋さんは真愛のために七草粥を作ってくれ 
 てる。ありがとうございます。」
って言ったけど、本当に真愛の身体のことをいつも考えてくれていたのだから、もっとしっかり「感謝」の思いを伝えたかったと今は思う。

 真愛の方がロマンチストだと思っていたけど、色々思い出すと厚洋さんの方がよっぽどロマンチストだったのだ。
「ありがとう。私のために摘んでくれて。」
って、満面の笑顔で感謝すればよかったと思う。

 退職してからは、スーパーでは買わず、真愛が我が家の庭の若菜を摘んだ。厚洋さんの長寿を願って…。
 今年も我が家の庭に小さなハコベ・ナズナ…の若菜を摘む。
 食べてもらいたい厚洋さんはいないけど…。
って書いたが、6日は朝から雪が降って来た。

 スタッドレスタイヤを履いているので、車を走らせたくて、スーパーに出かけて「七草セット」を買って来てしまった。
 厚洋さんを思ってなんてロマンティックは、無し。
 雪が降ってウキウキして、出掛けるなんざ、ガキである。厚洋さんも苦笑しているだろう。
 さて、新事実を発見❣️
 お粥は、じつは美容食だったと言う話。
 お粥は、胃腸に負担をかけずに、水分と栄養分を体に届けてくれる優れもの。
 体を温める効果もあるため、血液やリンパ液の流れがよくなり、免疫力アップになるそうだ。
 永平寺の食事を頂く際の雲水(修行僧)の心構えを記したその著書『赴粥飯法』には、
「粥有十利」として、お粥の効能10個が書かれている。
 
<粥有十利>
1.色 (肌の色艶をよくする) 
2.力 (気力が増す)
3.寿 (寿命が延びる)
4.楽 (食べ過ぎになることがなく、
   体が楽になる)
5.詞清辯 (血流がよくなり頭が冴え、
     言葉もなめらかになる)
6.宿食除 (胸やけをしない)
7.風除 (風邪を引かない)
8.飢消 (飢えを満たす)
9.渇消 (喉の渇きを潤す)
10.大小便調適 (便通がよくなる)
 
 お粥は、お腹を満たし、体の活力を取り戻してくれるだけでなく、美肌やダイエット、脳の活性化、便秘解消などの効果もあるというわけだ。
 風邪のときに限らず、美容やアンチエイジングの食べ物である。
 ちなみに、道元禅師が開いた永平寺(福井県)では、365日、朝食はお粥なのだとか。
 お正月で食べ過ぎた真愛には、理にかなったダイエット食だったのだ。
 厚洋さんは知っていたのかしら?
 ダイエット食の話。

 今年の七草粥は、七草をお粥に混ぜ混ぜってしました。
 雪の朝だったので、熱々のお粥も写真を撮っている間に冷めてしまいました。
 厚洋さんが作ってくれた朝ごはんは、冷めていたことがありませんでした。
 早く作ってくれていたのに、真愛が起きる前にもう一度温め直してくれていたことを、「今朝」気がつきました。
 七草粥に
「バター入れると上手いぞ。」
って、冷蔵庫から出してきたバターがスッと溶けていったのだから、熱々の七草粥だったのです。
 相手を思いやるとは、
「熱いものは熱いうちに、
 冷たいものは冷たいうちに」
と、1番美味しい状態で出してくれる事。
 真愛は、厚洋さんの沢山の思いやりに包まれて「最高に幸せな嫁さん」だったと言うことも痛感しました。
 人日…良き日。

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります