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芒種の末 梅子黄(うめのみ きばむ)

 下書きを溜め込んでいたら、栗鼠ちゃんみたいに、埋めた場所を忘れてしまって…。
  春になって芽が出れば良いが、芽も出せないまま、夏が来ちゃったnoteです。
 証文の出し遅れですが、後悔します。笑笑!
 愛しい人の月命日なので、彼の大好きなお稲荷さんを作って供えた。また、今時期大好きでよく買って食べるプラムも供えた。
 そのプラムは、購入した物ではなかった。もちろん、盗んだ物ではない。
(小さい頃は、柿を盗みに行ってつかまったこと
 もあったが…。)
 昨日、三絃のお稽古に行き、いつもの所に車を停めると、お師匠さんのおうちの庭に可愛い赤い実がなっているのが見えた。
 可愛いな❣️と思っただけで、急いでお稽古に向かった。

 真愛の行動様式とガキっぽい思考回路を知っていらっしゃるお師匠さんはその赤い実をとっておいてくださった。
「可愛いでしょ?
 うちのプラム!」
「エッ。アレプラムの木なんですか?
 厚洋さんが大好きで、
 ボタンキュって言ったかしら。
 お友達のうちからゴッソリ頂いて来ては、沢山
 食べてました。懐かしいです。
 旦那の好きな何とかで、真愛も好きになりまし
 た。
 美味しいから食べ過ぎて、何時もお腹が痛く
 なって厚洋さんを困らせていました。」
「あら!そんなには無いわ。
 だって、高くて取りにくいのだもの。」

plum

【梅の実が黄ばむ】
 季節は仲夏。
 二十四節気の「芒種」から「夏至(げし)」に向かって進んでいる時だった。
 まさしくどこの梅の木も黄色い実をつけているし、スーパーの果物売り場では、梅の実と焼酎・氷砂糖・大きな瓶がセットで売られている。
「芒種」の末候にあたり、6月16日から6月20日までが、七十二候の第27候の「梅子黄(うめのみきばむ)」であった。

 梅の実が黄色く完熟する。
「梅雨」は、梅が熟するころに雨が降ることから名づけられだという。
 黴が生えやすい時季でもあり、中国では、「黴雨で(ばいう)」と呼ばれたとも言われる。
①日本すもも
 (中国原産。過去巴旦杏(はたんきょう)、牡丹杏(ぼたんきょう)と呼ばれた。)
 厚洋さんが言っていたのは、牡丹杏を「ボタンキュ」と聞き違えたのだろう。
 真愛は、「バタンキュー」と倒れた感じがしてとても甘酸っぱい可愛い名前だと思っていた。
 人の聞き違いとは、巡り巡って面白い言葉となる。
 さて、この牡丹杏。19世紀(明治初期)にアメリカに日本すももが渡り、育種家のルーサー・バーバンク氏により様々なアメリカすももと交雑が行われ、「プラム」という名で日本へ戻る。
という数奇な運命の果物だ。
(ビューティー、サンタローザ、ソルダム、
 ケルシー、ホワイトプラムなどの品種があるそうだ。
 厚洋さんはお店で買う時には、ソルダムを買っていた。少々酸っぱいのだそうだ。
②ヨーロッパすもも
 (コーカサス原産)
 プルーンやダムソンプラムの名で知られる。
 知らなかった。プルーンはすももだったのだ。
 長生きすると色々なことを知ることができる。
「俺はプルーンは好きじゃない。
 黒っぽいラグビーボールだろう?」
と言っていた雑学博士の厚洋さん。
「本当は、おんなじ“すもも”の仲間なんだよ。」
と言ったらなんと言い返すのだろうと思ったらニンマリしてしまった。
 他にも、シュガープルーン、サンプルーン、スタンレイなどが栽培されるという。
③アメリカすもも
 野生種が多く、果物としての利用が少ないそうだ。
 日本すももは6月ー8月に実ることが多い。
 ハウスものは5月頃からも出るそうだ。
 ヨーロッパすもものプルーンは8月ー9月。
 日本では90%が生食。
 プルーンは干したものが好きだ。身体にいいと流行ったこともあった気がする。

日本すもも
 栄養素は平均的な果物。
 食物繊維と葉酸を多く含むので、貧血に悩む人や妊娠した女性におすすめといわれる。
 カリウム、カロテンなども多い。
(真愛にはあまり良くないものだった。)
 アントシアニン(抗酸化作用)、
 ソルビドール(便秘改善)も含む。
 (葉酸は、緑黄色野菜やレバーなどに多く含ま
 れるビタミンB類の一種。
 厚生労働省が妊娠を希望する女性に1日
 400μgとるよう推奨している栄養素。
 たんぱく質をつくる手助け、皮膚や粘膜を強く
 する。
 妊娠を希望される方や、妊娠中・授乳中の方、 
 とりわけ妊娠前から妊娠初期に葉酸をしっかり
 とることで、妊娠初期、大切な器官の原型が
 つくられるおなかの赤ちゃんの発育を助け、「神経管閉鎖障害」という先天異常が起こる
 リスクを遠ざけることができると言われている

凄い果実

 お師匠さんのお家のすももは売り物にできるほど美味しい果実だった。
 春に花を咲かせる「桜」「梅」「桃」「すもも(李)」
 全て、薄紅色の可愛い花を咲かせる。
 これら全てが、バラ科の花木である。

 この4つの花の漢字をつなげ、「桜梅桃李(おうばいとうり)」という言葉がある。

 桜梅桃李とは、桜、梅、桃、李のことで、転じて、それぞれが独自の花を咲かせること。
 意味は、「みんな違って、みんないい」
ということ。とっても素敵な言葉である。
 桜には桜の素晴らしさが有り、
 梅には梅の可愛らしさがあり、
 桃には桃の華やかさが有り、
 李には李の煌びやかさがある。

 それぞれの良さがあるというのだ。よくぞ考えついたと思う。「花」だけではなく、その果実の素晴らしさを知り、納得納得である。
 また、桜梅桃李の意味として、
「別の花に憧れても、その花になることはでき
 ない。しかし、自分にしかない美しさがある。
 自分にしか無い良さがある。
 だからこそ、
「みんな違って、みんないい」なのである。」
いい言葉だ。美味しい果実たちである。

 美味しくって種のギリギリまで齧っていて思い出した。
「青梅には毒があるのよ。
 美味しそうな香りがしても食べちゃダメ!」
と母に言われた。
 食べ物に意地汚い真愛は、なんでも口にしている。厚洋さんに詳しく聞いたことがある。
「青梅には、青酸配糖体のアミグダリンってのが 
 含まれていてね。これが分解されて青酸を
 出し、中毒を起こすんだ。
 青酸だぜ!猛毒だよ!」
って脅かされた。
 ひょっとしたら、同じバラ科なのだから、なんかあるかもと思って調べてみたら…。
 あった!
「アミグダリン」は、その他、スモモ、ビワ、アンズの種子にもあるそうだ。
  症状は、頭痛、めまい、発汗、けいれん、呼吸困難などを起こすそうだ。

 このnoteを書いているのは、「夏至」。
 急激な気温上昇。
 発汗。目眩も起きそうだ。

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります