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好きな物を好きな人と食べる

 兄貴が「東京ネコネコ」でニャンコパンを買って来てくれた。
 
 厚洋さんが亡くなって、猫と二人暮らしになった真愛を心配して来てくれる。
 
コロナ禍でなかなか来られないがそれでも、妹の心配をしてくれるのは嬉しいし、心強い。
 真愛の母は、大変な猫好きで「にゃあにゃおばちゃま」と呼ばれるほど猫を可愛がった。
 貧しい家にも関わらず、真愛の近くには猫がいた。(真愛が拾って来るから…。)自分のご飯にお味噌汁をかけたのが、キャットフードだ。
 兄はよく犬を拾って来た。
 私達は、拾って来る度に
「僕のご飯を減らして良いから。飼って」
「私のお味噌汁も煮干しもあげるから…。」
と懇願した。結果的には、母のご飯が少なくなっていた気がする。
 
 母が妹夫婦の家に同居したので、こちらに出張が有ればよく来てくれた。
 母も父がいなかった分、昔から兄に頼る事が多く、妹よりも離れて暮らす兄の事を思いやる事が多かったと思う。
 そんな妹(真愛)の家には、母の大好きな猫がいた。厚洋さん(妹の夫)が猫好きになってくれた事もその大きな要因だと思う。
 だから、「猫が好き」な事を知ってくれていた。
 母が亡くなって、やや足が遠のいた兄だったが、厚洋さんも亡くなりひとりになった真愛を心配する様になった。
 そして、少しでも元気が出る様にと思ってくれてだろう。真愛の好きそうな物を買って来てくれた。
 勿論、妹だって「お兄ちゃんの好きな食べ物」を用意したいが、長いこと一緒に住んでいないので「好きな物」が掴めない。
「俺、山芋かぶれる!」
「茄子嫌い!」
「だって、中学校時代には、茄子の味噌炒め
 食べてたよね。」
「覚えてないね。」
 きっと、母は兄には好きな物しか出さなかったのかな?と思う。
 母が亡くなった時
「母さんは俺の好きな甘い卵焼きを作ってくれ 
 たなあ。」
と枕辺で呟いた事を覚えている。
 だから、甘い卵焼き・お稲荷さん(甘過ぎるけど)・お赤飯・ニラ餃子・作ってあげたいと思うが、兄は 
「和より洋の方がいい。」
と作らせてもらえない。
 また、一緒に生活したのが14年間しか無いので、兄のことがよく分からない。
 お義姉さんが一番わかるのだろうね。

 結局、ニャンコのパンに合わせて
 「洋」でまとめた。

兄の第一声が
「おい。こんなに食えるか?」
だった。
 真愛としては、「感謝」の思いで、あれもこれもと作った。
 結果、まるでバイキングで取りすぎたワンプレートになってしまった。
 自分としても「センスが無い」と思った。

 小さい頃から大好きで自慢だった兄貴だ。
 大好きな厚洋さんと一緒に食事をするのが好きだったから、彼が亡くなり一人での食事が多く寂しかった。
 だから、大好きな兄と一緒に食事ができるのは嬉しい。出来れば「大好きな物」を大好きな人と食べるのがいいな。
 まっ。ニャンコのパンが食べられて、真愛は、幸せだね。

 兄が帰ってから、何時ものコーヒー屋さんで、「タイのグリーンカレー」を食べた。
 今日は、「食べ物」について考える事が多い。

 カレーが辛かったので、「抹茶ムース」と「オレンジティー」も頂いた。

 「アラモードプリン」も…。
 
 食べながらふっと浮かんだこと。

 食事をして、
 口に最後に残すのは好きな物の余韻。
 美味しいけれど、
「辛いタイカレー」より「甘いプリン」。

 最初に食べるのも
 今日の思い出に残る美味しい味がいい。
となると、中間に食べるのはどうでもいいと言う事? 「そりゃおかしい。」
 
 美食を楽しむためには、スプーン料理がいいかも。でも、その都度味が変わってしまったらぐちゃぐちゃになって味わえないかもしれない。
 だから、高級料亭の一品は、
            少ない量なのだ。
 大衆食堂では、
 美味しいも大事だが「満腹」が大事なのだ。
 こんな事をnoteに書ける幸せを感じた。

「何をどう食べるか」考えられる事が、
     幸せな生活をしている証明なのだ。
 いや、贅沢な生活をしているのだ。
 飢えている人は8億2100万人。
 1億5000万人の子どもが栄養失調で発育障害だという。
 好きな物を好きな人と食べられる「最高の喜び」を味わえる人は、何人いるのだろう。

 水出しのアイスコーヒーは、
           とても苦く感じた。

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります